誰かが天国に旅立った時
疎遠になっていた人や ほんのちょっとしか関わらなかった人であっても
自分の一部が空虚になる
大きな穴 ほんの小さな穴
いびつな穴が開くこともある
小さな穴だから痛くないとは限らない
どんな穴であっても
それは確実に私を変化させる
私は私が思うよりずっと
出会った人によって作られているんだなあと
思い知る
ご飯食べに行こう
またお仕事しましょう
今度釣船に乗せてね
口約束だったとしても
社交辞令とわかっていたことでも
果たせなかった約束を思い出す
あの時「お元気で」とちゃんと伝えてよかった、とか
最後に会った時に気持ちを込めて伝えた言葉には
今になって自分が救われる
ひどいことしてきた奴でも
穴は開く
旅立てば穴が開いて 私の人生に関わった人だったんだなと
確認する
恨みを通り越して感情が湧いてこないくらいの人でも
確かにそこに穴が開いている
穴をなかったことにして無視すれば
自分のどこかが空虚なままだ
慌てて表面だけ埋めようとしても すぐ崩れてしまう
記憶がある限り
全ての出来事はなかったことにはできない
出会った全ての人を 出来事を どう捉えるか
開いた穴を見つめて 今度は何で満たしていくのか
それが旅立った人への弔いでもあり
生き方ってことなのかな
