▶︎前回までのあらすじ
・大阪万博でポーランドの合唱団が歌っていた中島みゆきさんの「時代」が感動的だった。
・歌詞は意味だけでなく、『サウンド』ー響きーがあるからこそ音楽として成り立つ。サウンドによって、私たちは意味を超えて“感じる”ことができる。
・外国の人や小さい子の日本語歌唱に感動するのは、発音の丁寧さと、響きの純粋性が関係しているのかもしれない。
・逆に、普段の発音の「ゆるさ」は、歌った時にもサウンドを悪くしてしまうし、喉を痛める原因にもなる。
・余計なものを過剰に加えてしまうのも、同様である。
・丁寧な発音が発声を引っ張る。
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今回は、余計な動きやクセを排除し、いったんまっすぐ歌ってみることがなぜ重要なのか?についてです。
ではつづきをどうぞ!
歌詞が“意味”を超える時 ー心に響く歌の秘密ー③
⑸ まっすぐ歌う
歌詞を、メロディーを、そのまままっすぐ歌うこと。
これは大人になる程難しいことなのかもしれない。
だからこそ、私もたまに純粋な響きの歌声に出会うと「わー!」と感動してしまいます。
心の奥までスーッと入ってくる歌声に、プロアマ、有名無名、上手い下手も全く関係ありません。
冒頭のポーランドの合唱団の話で、「頷かずに歌っていた」と書きましたが、「うんうん」と頷きながら歌うのは、まさに代表的な無駄な動き。
無意識の身振り手振り、表現に必要のないしゃくりやアクセント、がなりなど…
そういった余計なものをいったん取っ払って、ただまっすぐ歌ってみましょう。
これがなかなか難しいのだけど、
「あれっ、まっすぐ歌えない」
「まっすぐ歌おうとしてるのに、変な癖が出てしまう」
など、まずは気付くことが第一歩です。
素っ裸の自分の声をまっすぐ響かせてみて、それができた上で初めて動きやテクニック、個性を活かすことができるのです。
⑹ 自分らしさって?
歌の生徒さんに、「自分を解放してもらえた」という感想をいただいたことがあります。
精神論ではなく、発音から見直し、まっすぐ心地よく歌ってもらうためのレッスンを行った結果でした。
何も加えずにまっすぐ歌うだけでは、自分らしさが出ないんじゃないか?
と心配する人がいます。
確かに、正直、個性が出にくい人もいますが、まずまっすぐ歌ってみないことには「あなた」という素材の可能性さえ見えてこないのです。
自分らしさ云々の前に、自分を知って、そこからがスタート。
「解放してもらえた」と言ってくれた生徒さんも、丁寧な発音とまっすぐな発声を身につけた先に、より豊かに素敵な歌を歌うようになってゆきました。
最初は失敗が多くなった感じがするかもしれない。
しばらくの間は、前より下手になった感じすらするかもしれない。
でも、何もごまかさず、素の自分の声と向き合った先に、本当の成長があるはずです。
さらに、それによって後々の喉のトラブル等を避けることもできて、末長く、心地よく歌い続けられるのです。
ーーーつづくーーー
次回、歌詞が“意味”を超える時 ー心に響く歌の秘密ー④
⑺ 歌の中にはすでに“全て”がある
⑻ 歌のために普段からできること
です(^ ^)
ぜひまた読んでね!