ちょっと前に稲中に触れた記事を書いて、その流れで古谷実作品を読み返していた。たくさん読んで、読んだまま感想記事を書かないで次の漫画を読んでいった。

鳥飼茜のおんなのいえを一気読みした。どこか既視感。
 先生の白い嘘 を読んで確信。これは古谷実だ。どこかが古谷実。

ググってみたら、鳥飼茜は古谷実のアシスタントをしていた。やっぱりね。滲むよね。
絵はあんまり似てないけど、漂う気配が似ている。


この世界、現実、目の前に広がる日常への違和感。

漫画の中で描かれているのはそれだと思う。


とくに、強く主張しているのは、性に対する束縛と解放。


古谷実は稲中の頃から描いてきた。何度も何度も。
その後の作品でも繰り返し描いてきた。

女の性欲。女性器。おっぱい。美しい女性のからだ。ババアの皺んだからだ。

前野のかぎりなく愛らしいちんー。
ちよこと京子ちゃんの怖ろしいまんー。
(アメブロに記事を消されないように自主規制。性表現ってどこまでがアリでどこからナシなのか明確な線引きが欲しいなあ。官能を刺激するエロい記事は書かないので許して〜)

女のからだは怖ろしいのかもしれない。

複雑怪奇な空洞はどこまでも続く闇。
暴力も恐怖ものみこんで貪欲に幸せを掴もうとする。

ときには憎しみや痛みすら快楽にかえてのみこむこともある。


早藤はそんな女がこわく憎くて許せなかったのかもしれない。


美鈴もそんな女の自分が許せなかった。

弱いおんな。
隙だらけのおんな。

コントロールできない性にふりまわされて、自分の立つ地面が崩れてしまう。
いや、そもそもしっかりした地面なんてあったのか?
ちゃんと着地していたのか?

バラバラになった気持ちを搔き集めることもできず、呆然と流されて、流されている濁流の中で新妻くんに出会った。

新妻くんは向かいの岸から流された少年。
男という鎖が重くて苦しくて、流れてきた。

ままならない性に振り回されるのは女だけではない。

男という役割も苦しい。


セックスで奪うのは男だけなのか?
女は奪われるだけなのか?


好きだからからだをゆるすのよ。
あなたが求めるから触らせてあげるのよ。


愛なのか、性欲なのか。
衝動なのか。


たくさんの嘘と、嘘の中に紛れ込んだ真実。

誰もがほんとうのことを話しているつもりで、
誰もがほんとうのことを隠して話しているつもりで、
いつしか嘘と真実は、自分でもわからなくなる。


男と女の違いを上下で区別したくはないけれど、強弱はある。
だけど認めたら負けた気分になる。



女はおんなというだけで優遇されている。
女はおんなというだけで虐げられている。

男はおとこというだけで優遇されている。
男はおとこというだけで虐げられている。



それらは全て同時に起こっている。

女なんだから。
男なんだから。



武器になるのか、弱みになるのか。

ままならないからだと、それにつけられた役割から、どうやったら自由になれるんだろう?


押さえつけられて屈服されなくても、女はずっと女だというだけで「女」というラベルのつけられた商品のように扱われている。

美しくパッケージされガラスのケースに飾られる高級品、特売セール品の山に投げ込まれた激安商品、古くなってどんどん値下げされていく商品。

ひっそりと物陰に積まれた在庫のつもりでも、商品価値なんてつかないから販売競争から降りた気分のつもりでも、そこにすら値札はつけられる。

法外に安い値が、売りに出してもいないのに勝手につけられたりする。


じゃあ、どうしたらいい?


男にも値札をつけたらいいのだろうか?

そうしたら対等になれる?
男のように、奪われるのではなく奪う側になれる?

綾香は性欲の解消とうそぶいて妻帯者とホテルに行く。
自分が気が向いた時に会って、気持ちよくなるために行為する。それだけなのだと。
体目当ての男が気楽な遊び相手に人妻を選ぶように、快楽のための道具として。

だけど割りきって遊んでくれる女ほど都合のいい女はいない。
強い女、カッコいい女、と賞賛する男に浮かぶ笑みは嘲笑ではないのか?


不器用に男の猿真似をして商品価値を下げている女を利用しているだけではないのか?

自由な女として生きることはリスクを伴う。

綾香も緑川椿も戦っている。

女につけられた値札に怒っている。




おっぱいを寄せて上げて、押し付けて、惑わせて、高値で買わせる?


商品として上手に売る販売戦略に策を巡らすのが賢いやり方なのか。
男にも商品棚に上がらせるのか。


パステルカラーのワンピース、ツヤツヤに整えた髪、薄化粧にみえるよう念入りに計算されたメイク、同調して相槌、甘い香り、さりげなく見せる脚や胸。

ハエトリソウやウツボカズラのように罠を仕掛け、引き摺り込んで飲み込んで、栄養にしてしまおうか。


どうせ値札をつけられるなら、出来るだけ高値で売りたい。
そう思って何が悪いの?


商品であることを受け入れた女は、男よりも強固に他の女も値踏みする。
男以上におんなに役割をおしつける。


なんて息苦しいんだろう。


男はアダルトビデオを見てあの女優の尻がどうの、テンガの使い心地がどうの、なんてテレビで話すのに。童貞やヤリチンをネタにするのに。

なんで女は性欲すら無いのがスタンダードみたいになってるの?

女から誘ったら淫ら?
はしたない?

古事記のむかしからそうだ。
イザナミ(女神)から声をかけて誘ったらダメなんだ。

男から声をかけられるのを待つのがただしい。


待つの。
35億のなかで「いい女」でいたかったら、待つのが正解。


ムラムラしても、自分から素っ裸になって馬乗りになってはいけない。
萎んじゃう。

自分が傷つけるのは平気でも、傷つけられることには慣れてない。

ガラス細工のように繊細な男。
尊重して優しく立ててあげないと勃たない。


男と女は戦争しているわけじゃない。
恐れながら憎みながら、陣地取りの戦いをしているわけじゃない。


自分のからだも心もコントロールできないまま、相手の感情やからだにふりまわされて、許せないのか許したいのか、愛したいのか、ただ快楽を貪りたいのか、嘘と真実も見分けがつかないまま磁石のように引かれたり反発したりしている。



 

先生の白い嘘(8) (モーニングコミックス)

先生の白い嘘(8) (モーニングコミックス) [Kindle版]







 




ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

読者登録してね





blogram投票ボタン


にほんブログ村 本ブログへ  




 

ブログサークル
ブログにフォーカスしたコミュニティーサービス(SNS)。同じ趣味の仲間とつながろう!

 

 

AD

コメント(2)