人生で3回、アフリカ大陸を訪れている。

ケニアに2回、エジブトに1回。

 

いずれもアフリカ大陸に降り立ったとき、なぜかすーーーっと深く息ができるような気がした。

はじめてのような気がしなかった。

 

他の国を訪れたときにこんな風に感じたことはなかった。

 

たったこれだけの理由だけれど、私は前世、アフリカ人だったと思っている。

 

*****

 

数年前、同じ部署で働いていた派遣社員のサガラさんは、27歳の素敵な女の子だった。

ずっと編集の仕事に就きたくて、働く傍らライタースクールに通っていた。

2年ほど一緒に楽しく働いたのち、希望の仕事を見つけて契約は終了となった。

 

その後数ヶ月経ったある日、サガラさんから、アフリカに駐在していた方のお話を聞く会を企画したので参加しませんか、というメールが届いた。

アフリカが好きだという私の話を覚えていてくれたんだな、と思うと嬉しかった。

喜んで、とすぐに返事をした。

久しぶりにサガラさんにも会いたかった。

 

*****

 

約束の日、時間より少し早く六本木交差点ちかくのお店に到着した。

半個室の席に案内されて待っていると、サガラさんと同じくらいの年頃の女の子がやってきた。ザンビアに何年か赴任した経験があるという。

 

少し経ってまた、同じ年ぐらいの女の子が加わった。

学生時代からアフリカ関連のNPO法人の仕事に関わっていたアフリカ通だった。

今は旅行代理店でツアーコンダクターをしているという。

 

若くて才能あふれる女性と話すのは楽しい。

みきさんはアフリカとどんなご縁が、と聞かれて、いや前世がアフリカ人なんですと答えると二人は楽しそうに笑ってくれた。

 

初対面にもかかわらず、アフリカ好きの共通点だけで私たちはすぐに打ち解けた。

 

次に若い男性がやってきた。

ソファに腰かけて簡単な自己紹介をしたあと、ネクタイをゆるめながら彼は、

「いやー、久しぶりですよ、合コンなんて。」、と口走った。

 

なんですと。

 

その場の空気が一気に凍り付いた。

前日サガラさんから、幹事が指定してきたという赤いカーテンで仕切られたムーディーなお店のリンクが送られてきたときから、若干嫌な予感はしていたけれど、やっぱりか。

 

その後男性が2名加わった。

いずれも有名企業の若手社員で、数年前まで南アフリカに駐在していたと言う。

 

ためしにアフリカの話題を振ってみると、紙よりも薄いエピソードが2~3返ってきたあと、血液型とか星座とかの話をキャッキャと振りかえしてきた。

 

女の子たちは明らかに不機嫌になり、そろって煙草を吸い始めた。

私は必死で場をとりつくろった。

 

ようやくサガラさんが登場した。

アフリカをダシにした合コンのお誘いと察しないまま、サガラさんはガチのアフリカ好きを集めてしまったのだ。

 

サガラさんのそんなところも私は好きだった。

 

 

この年で合コンに参加してしまったと思うと途中から可笑しくて仕方なかった。


母親ぐらいの年齢ながら誰よりも一生懸命リアクションする私は、彼らの合コン史上、間違いなく忘れられない存在になったことだろう。

 

*****

 

男性陣は、幸い空気も読めない感じで終始とっても楽しそうだった。

 

その場でグループLINEが作られた。

 

二次会になど流れるはずもなく、帰りの日比谷線で垣間見たグループLINEでは男性陣だけが次回の集まりに向けて無邪気に盛り上がっていた。

 

その裏側で、サガラさんの平謝りするメッセージが届いていた。

 

 

何年か前、大阪で開かれたピアメディエーションという紛争解決のセミナーに参加した。

誘ってくださった女性獣医から、現在地球上に住んでいるすべてのヒトのミトコンドリアは、16万年前のひとりのアフリカ人女性に由来するという、ミトコンドリア・イヴの話を聞いた。

 

ちょっと何言ってるか分からないくらい難しい話だったけれど、私がアフリカに感じる懐かしさは、前世とかいうよりももしかしたら細胞レベルの話なのかもしれない。

 

 

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