国家試験対策_【更生保護】刑の一部執行猶予制度等 | ペーパー社会福祉士のうたかた日記

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社会福祉士資格をとるまでと、とったあと+α。浮世のつれづれ、吹く風まかせの日々。

11月末のこの時期、毎年恒例、
いただくご質問つかご要望で、

とにかくもう最新情報がほしい!
おたくの本は最新が載ってない!
平成29年の最新はどうなってる!

というのがあるけど、

試験対策屋6年目の実感としては、
そんなに、最新、最新、最新って、
神経トンがらせなくて大丈夫だよー

今年の情報を来年2月に出すことは
まったくといっていいほどないし、
出たとしたって選択肢の1つか2つ。

第29回で平成28年ネタが出たのは、
150問中で以下の2問だけ。

問題61 改正発達障害者支援法
問題126「高齢社会白書」

さらに、「高齢社会白書」は、
なんとまあ同んなじ試験の問題16で、
平成27年度版も出題されている。

どっちも解きにくい問題だったので、
合否にほとんど影響は出なかったが、
同んなじナンチャラ白書でありながら、
作問者が別だと扱う年度も別ってw

こんなんだから、最新がどうしたの、
最新じゃないからどうしたのって、
カリカリするだけ損ってもんですよ。

わしが問題を見てきた限りでいえば、
統計でも法改正でも、
2017(平成29)年の最新情報よりは、
2016(平成28)年あたりのほうが、
やっといて得点できる確率はバカ高。

最新、最新と浮き足立ってる間に、
手に持ってる参考書の中味を
しっかりやっとく方が合格は近づく。

で、掲題の件。

刑法等の一部を改正する法律
薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律

可決成立が2013(平成25)年6月、
更生保護法も改正しているのだが、
これが「最新」だった第26回には
カゲもカスリも出てないどころか
改正前の内容で堂々出題。
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第26回国家試験【更生保護】
問題150 保護観察官の業務として行う「専門的処遇プログラム」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選ぴなさい。

3 専門的処遇プログラムの一つである覚せい剤事犯者処遇プログラムは,簡易薬物検出検査と組み合わせて,断薬の意思を強化しながら実施する。
------------------------------
以降、
第27回、第28回、第29回と、
まったく扱われていない。

これらの施行は昨年6月なので、
施行を待ってからの第30回狙い?
つうことで、やっときます。

前提として、
「刑の執行猶予」は何かってと、
刑の執行を先送りすること。

たとえば、
懲役1年執行猶予3年といわれたら、
「ほんとは懲役1年なんだけども、
執行を3年間、先送りにするから。
そのかわり、猶予中の3年間で、
ちゃんと更生しなさい」ってこと。

反対に、
「実刑」といえば、問答無用、
ただちにすぐに迅速に刑務所行きと、
こういう違いがありました。

で、

「刑の一部を執行猶予」とは、
あくまでも「実刑」の一部の期間を
執行猶予にするっていうものなので、
実刑であることには変わりないよー

カン違いしやすいところですが、
執行猶予か実刑かで迷ったときの、
第3の選択肢ではないことに注意。

ここはっきり理解しておかないと
試験で出たときにできないと困る。
こういうことですよ。


「実刑3年、執行猶予3年」とは、
実刑をまったくなしでも済むけど、
「実刑3年、1年を執行猶予3年」は、
実刑のうちの期間の先延ばしです。

で、

これが適用される対象というのが、
以下の2種類あるのですが、
わしらの知識で重要なのは②です。
------------------------------
≪刑の一部執行猶予制度対象者≫
①初めて刑事施設に入所する者等
②①以外の薬物使用等の罪の者
------------------------------
細かいところまでいってしまうと、
①の規定は刑法で、
②の規定は薬物法なんですけども、
保護観察の規定が微妙に違う。

①「裁量的に保護観察に付される」
②「必要的に保護観察に付される」

より試験っぽく言い換えてみると、
猶予期間中は、保護観察に、
①「付することができる」
②「必ず付される」…となります。

こうなるってことね。


さらに、これに合わせて、
専門的処遇プログラムの
「覚せい剤事犯者処遇プログラム」は
「薬物再乱用防止プログラム」に変更。
特別遵守事項にて受講を義務付ける。

変更後のプログラムは対象薬物を、
「覚せい剤」から「薬物全般」と
守備範囲を広げて対応するとある。

尿や唾液など提出させて検査する、
簡易薬物検出検査は、講座の一環。

従前の「覚せい剤事犯~」では、
提出は任意の自発意思となってたが、
「薬物再乱用防止プログラム」は、
なんとなく義務っぽいニオイがする…
(明記がないからわかんなかった)

けどこれ、考えようによっては、
もし、実刑3年だったとして、
3年真面目につとめあげて出所!

と、

一部の刑を猶予されたことで、
実刑は2年だけど、その後3年間は、
保護観察に付されっ放し。
足すところ5年間は監視下となる。

だったら俺ガチ実刑でいいっす!
みたいな人もいそうな気がする。
ていうか、わしはそう思いそう。

「薬物依存は社会で更生させる」
という目的の効果があるかないか、
こんな感じのことになっている。
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「施設で更生」約束破り続出 導入1年
(毎日新聞2017年10月24日付)

(前略)公判時に「出所後は民間リハビリ施設に入所する」と約束しながら、結局入所しないケースも多く、施設側は複雑な思いを抱えている。(後略)
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問題点も多々あることと思われる。
わしには、刑の一部の執行猶予と、
仮釈放の違いがよくわからないし、
執行猶予と実刑の一部執行猶予を
分ける基準というのもわからない。

そんなに大勢、保護観察に付して、
保護観察の運営体制は大丈夫か?

などなど、

誰が何が目的でこれを決めたのか、
刑務所が単に満員になるから、
できるだけ入る期間を短くしよう、
みたいなことだとしたら、
あまりにも雑で本末転倒ちゃうか。

受験生にとっては、
大事なことがてんこ盛りでしたね。
よーくよく見て、覚えてくだされ。


ではまた近日中。


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第26回問題150選択肢3 ○