ーそんな、DASEINの第2章が始まるのではないかというタイミングでの新曲、ツアーには少なからず新たな展開を期待してしまいますが…


R:曲というよりももまずこの「COGITO ERGO SUM」という言葉がずっとあったんですけど。「我思う ゆえに 我あり」っていう意味なんだけど、解散前に活動してたときからずっと自分の中にあったの。この言葉を使いたいって思っていて結局使えずじまいだったんだけど。そういう意味では今回曲は書き下ろしだけど、書きたいコンセプトは昔からあった。オリオンとかは昔からあったデモテープを曲にしたけど、今回はコンセプトを今に持って来たの。あれJOEには言わなかったっけ。


J:いや聞いてないよ、知らなかった。


R:そうか言ってなかったか。でもこの「COGITO ERGO SUM」って言葉は分かりづらいしキャッチーじゃないから、あの当時に出したとしても「キミダケ」みたいな分かりやすいのにしとけ!って言われてたかも。


J:ハハハ。


R:それでずっとそれをやりたいなと思ってて、ちょうど15周年がきてアルバムを出そうってことになって…最初はアルバムのタイトルのつもりで作ってたんだよね。それから色々あってシングルになるんだけど、でも多分アルバムの1曲目になると思うんだよね。


J:そうか。


R:曲は本当に最近かいたんですよ。で、自分の今やりたいサウンドと、今回初めてのアレンジャーも入れて、こんな曲にしたいっていうのを形にしたような感じ。だからJOEに関して言えば、お、こう来たかRicky?っていうのがあるんじゃないかな。だからそれを逆に聞きたいな。JOEには何も言わずに作ったからね。JOEが初めてデモを聴いたときどう思ったか。


ー曲を渡す時に、今回はこんな感じの曲だよーくらいは伝えてたんですか?


J:いや、まったく。リズムに関しては、HBRにしても現存在にしても、トランスに2バスドコドコだけがHBRではないってのは話してたじゃない?

Rickyは何とかビートっていうダンスビートみたいなのが良いと思うんだよねって話してて、俺もちょうど同じ事を考えてたのね。だからリズムというかテンポとかはこういう感じで来るんじゃないかな?って予想はしてた。


R:そうなんだ。


J:でもすぐにサビっていうか、ずっと「COGITO ERGO SUM」の連呼が来たから、あ、これは確実に良くなるなって。


R:DASEINらしいって感じ?


J:昔のRickyらしさというかDASEINっぽさというのもありつつね。


R:JOEはマイナー調の良い曲系を望んでると思ってたから、ちょっと意外だったかなと思ったんだけど、そんなのことない?


J:いや!全然。そこまではないかな。好きだよ。


R:それよりもう待ちに待ったという感じだったよね。やっと来たかって。


J:いやでも作者のペースってものがあるじゃない、だからそれ相応に時間をかけて出て来たのものがかなり手応えを感じたからね。


R:最初にデモを聴いたときと、アレンジが上がって来たときって、徐々に変わって来た?いい感じになってきたなとか。


J:それはもう確信したね。こっちの系統がこれからの新しいDASEIN第2章の一番良い形かなと思った。正直ね。


R:DASEINらしさもあるし多分今までになかった音だと思うよ。曲調もね。


J:中にはすごいこう、起承転結じゃないけど、いくところは派手にいって、リズム的にもドラムンベースみたいなところもあるし、結構盛り沢山になってると思う。ぎゅーっと吸収されて。


R:ミドルな感じだけど、後半はJOEっぽさを出して欲しくてちょっと派手にしてる。


J:あのデモがいい感じのバランスだったもんね。そこを昔だとさ、それ以上のことをやらなきゃって意識があってやりすぎてたんだよね。でも今は違くて、全体を通したところで見られるようになったと思うんだよね。演奏者が思う所とお客さんが思う所と、ボーカリストが思う所全部違うと思うんだけど、自分でもわからなくなってさ。ドラムとボーカルのユニットだからーとか…


R:ちょうど歌録りとドラム録りが同じ日でスタジオが違ったっていう面白エピソードがあって、JOEがこういう感じでいこうと思ってるって言って、最後の方は派手にするって言うから、派手なのは良いんだけど、お客さんがノれないような派手さじゃない方が良いと思うよって言ったんだよね。


J:ははは!


R:あの「奪取」の最後みたいなとこ。奪取奪取奪取!ドコドコドコドコドコ!奪取奪取奪取!ドコドコドコドコドコ!って、あれわからなくなるのよ。どこで奪取って入ったら良いか見失っちゃうんだよね。


J:ははは!チョット変態っぽいよね。


R:でも変態っぽさは欲しいんだけどね。


J:一応それは全部アクセントで頭は分かるようにしたんだけど。聞いてみてここ分からないとかあったら言って欲しい。


R:うん聞いたけど、大丈夫そうだよ。


J:もし何かあったら全然言って!


R:うんわかった。


ー歌詞についてはどうですか?


R:うーん。「COGITO ERGO SUM」ってほぼ現存在なんですよ。僕の中では。


ー原点という意味で、でしょうか。


R:原点なんだけど、原点にただ帰るのではなく…なんて言うのかな。存在のことについて歌ってるんですけど、あからさまに歌詞はもう人間がどう生まれてというところからだからね。「COGITO ERGO SUM」という言葉をちゃんと解釈してない人が書いた歌詞だと思います(笑)


J:え?!(笑)


ー元々その言葉はどこから見つけたというか知ることになったんですか?


R:現存在とか、哲学用語を調べていて…僕辞典とかも買いましたから、その中でどういう言葉を使ったら面白いかなと探していた時にこの言葉を見つけたんですよ。でも何も使えずじまいでここまで来て、でも「我思う ゆえに 我あり」なんてDASEINそのものだなと思って。他がどうじゃなくて自分が思ったことが自分なんだということが書いてあって、すごくいいなと思って。


ーでもそれが復活した時ではなく、今このタイミングで世に出るというところに何か意味を感じますね。


R:今までは復活してちょっと思い出に浸りつつなんかこう、昔のデモテープの中から改めてそれを世に出して来たけど、今回に関してはきれいさっぱり今からというようなイメージ。もちろんアルバムの中には昔の曲を持って来ることもあると思うけど、基本的には書き下ろしでいこうかなというくらいの気分で思ってました。今回はアルバムには届かなかったけど、今年末にリリースするという予定で動いています。


ー今回は初めての方にアレンジを依頼したとのことですが、仕上がりはいかがでしたか?


R:まあ僕も事細かにこういう音が作りたいという明確なものがあったので、そのイメージの音を送って、本当に忠実に、いや忠実以上のものを作ってくれたんで、これもやっぱ15年目にしての出会い?なのかな。昔は知らなかった方だし。あるアーティストの方から紹介して頂いたんですけどね。


J:そうね。


R:アレンジャーの方にお願いする前に、一応こんな音を作ってますというのを参考に聴かせてもらったんだけど、その中にはこんなにDASEINっぽい曲はなかったので、ある意味、挑戦というか、冒険だったというか。そしたらもう素晴らしい、しっかりとやりたい方向を再現してくれたので、もうこの方でアルバムもいきたいなと思いました。


J:ここまでパワーアップしたもんねー。


R:多分アルバムだともっと他のテイストも出て来ると思うんですよ。


J:昔はすごくトランス感が強かったんですよね、DASEINって。


R:うんみんなに言われる。


J:ね、でもそこを脱した方が新しいビジョンとしては良いんじゃないかってのがあったんで。ほら、お前が好きなというかこんな感じにしたらいいんじゃないかってのを聴かせてくれたじゃん。あ、こっちの方向で間違いないなと思ったのよ。


R:俺やたら聴かせたもんね。


J:いいじゃんいいじゃんって。本当に新鮮に思ったからさ。それがアレンジャーに渡ってどうなるかなと思ったけど、音色ひとつからパワーアップしてるから。すごく斬新さを感じたんだよね。


ー新しくてそれでいてDASEINらしさも忠実に引き継いでいるということですね。


R:そう、パワーアップといっても昔より良くなったというのとは違くて、新しいものを取り入れたというかね。


J:最初は二人で始めてさ、同期打ち込みでダンスビートだったりトランスを入れて、さらにそこから生楽器を強くしたじゃない。


R:後半になるにつれてね。


J:でも元々は二人で作り出したものだからさ、そこに戻って行って何が始まるかと言えば、やっぱり生色よりはデジタルっていうのを俺はかなり多様するべきだと思うんだよ。


R:昔で言うトランス。でも今回はトランスではないんだよね。だからDASEINはドコドコがあってトランスがあって綺麗なメロディーがあって、っていうのが聴いてくれる人達の一般的なイメージだと思うんだけど、そこはね少し壊したかったの。そのイメージだけでいくとちょっと煮詰まっちゃう。


J:そうなんだよね。


R:こういうノリでEDMっていう…エレクトロダンスミュージックというのも取り入れていって、うまく昔の良い所と融合させたいなと思ったんですよ。もっと言えば二人だけのステージも出来るんじゃないかという事を想定してるんです。


ーそう思えるということはもうお互いが十分に力をつけて、自信もついてきたということでしょうか。


R:あとは、信頼してもらってるというのが強いかも。JOEが、お前から出て来る曲でやろうよって言ってくれる…いや今後はわからないけど。


J:いやいやそれは信頼してるよ。


R:え…?ってのがあるかもよ、この先。


J:いや、ないでしょ。


R:でも基本的に好きな系統は似てるからね。


J:似てるしさ、俺は一番初めに出会って作って来たやつをさ、あんだけ録りためてるやつ絶対もったいないからっていつも言ってる人間だよ?


R:そうなんだよね。JOEは僕が昔に作ってまだ世に出てない曲をどんどん推して来るから(笑)。自分の中ではちょっともう古くなってるから、いや、もっと良い曲作れるから!って思ってるんだけど、でもそれで「未練」とか「君の街に降れるオリオン」とかが出来てるからね。


J:俺ソロの曲も好きなのよ。雨のスパイラルとか。Rickyのソロの曲も好きだから、大丈夫なのかな?って思う所もあるんだよね。作りすぎてて、DASEINで気持ち切り替えて作るって煮詰まっちゃうんじゃないかってそれを心配してたんだよね。


R:ソロの曲もDASEINでもやれると思って作ってるから。ただDASEINはある程度JOEのことも考えて作ってる。ソロは2バスは絶対入って来ないからね。だからそこは分かりやすい、逆に。ドラムさえちょっと変えればソロの曲も一気にDASEINになる。もっと言ったらR*A*Pもね。だって「歩」とか元々DASEINでやろうって言ってた曲だしね。


J:そうだよお前ー!


R:今DASEINで「歩」をリメイクしても良いかなと思ってるもん。


J:俺やりたいよ「歩」。超ーやりたかったんだよ「歩」は!


R:アレンジまでしたんだもんね。


J:そうだよー。あとあれ、「闇」もだよね。


R:そう、だからアルバムはそういう書き下ろしも含めつつ、JOEがやりたい昔のだったり、元々DASEINでやる予定だった曲をあえてリメイクするとかね。


J:いいねー!やろうよやろうよ!


R:曲稼げるし!!


J:何言ってんだよ(笑)



ーーー後半につづくーーー