前回のブログで、かなり詳細に新型コロナウイルス(SARS-Co-2;新コロナと略)とその感染症についての特性を述べました。

 

相手を知り様々な情報を得ることにより、どのようにその相手に対処していくかの工夫を、何通りも考えることが可能だからです。

決して一つの方法が全てに対応できるとは考えられませんので、フェイルセーフという考えからもできる限りの情報を集めました。

 

しかし、新コロナに関してその後も次々と論文が発表されてきて、その中の情報で追加の必要があると思われる新たな知見をご紹介したいと考えました。

そして、そこからどのような対応が出来るか次回のブログと絡めて述べていきます。

 

なお、慶應義塾大学法科大学院教授、慶應義塾大学医学部外科学教授、そして参議院議員でもいらっしゃる古川俊治先生が日本抗加齢医学会に提供してくださった、新コロナ感染症に関する多数の重要な科学的証拠としての論文のまとめがあります。

先生は医師に情報として提供してくださり、コピー可と言うことですので、内容の一部をここで紹介させていただきました。一部査読を経ていない論文も含まれますが、私も重要と思う場合はピックアップして、その内容を分かりやすくご紹介しております。

 

 

1. 空気感染 トイレ

新コロナは空気感染を否定できないようです。

また、病棟内での調査では、患者さんのトイレのエリアで、新コロナRNA遺伝子の濃度が一番高かったようです。

便中のウイルス量が多いと言うことだと思いますが、生きたウイルスが便中で検出されています。

 

約6割の患者さんの便から新コロナが検出され、検出持続期間の中央値は22日で、重症例の方がその期間が長く、ウイルス量も呼吸器から検出された量より多かったとの報告があります。

 

更に、消化器はACE2受容体があり、感染ルートとしての可能性を示唆した論文も出ていました。

 

 

2. 唾液とその他の採取部位

 

唾液中からは咽頭擦過検体より5倍ウイルスRNA量が多く検出され、検査の結果にばらつきがないそうです。

この結果から、唾液を用いて新型コロナを検出する方法が、簡単で、侵襲が少ないのでこちらをスタンダードにする動きも出てきているようです。

 

唾液中は生きたウイルスが検出され、発語で唾液が空中に散布されますが、布マスクはそれを防ぐ効果もあるとされます。

 

また、新コロナRNAは精液血液尿結膜擦過検体からも検出されます。

 

(歯科医師さんが治療をするときは大変ですね。また無症候性キャリアとのキスは厳禁ですね😂)

 

 

 

3. 潜伏期間 再感染例

 

発症2-3日前から感染させ、0.7日前がピークで、44%は無症状の期間に感染させています。

 

潜伏期間の中央値は5.1日で、症状が11.5日以内に97.5%の患者さんでていたそうです。

 

再感染例(体内に潜伏した新コロナが再活性化していると考えられています)が20%認められたそうです。

 

2週間の隔離期間を逃れる新コロナちゃんもいると言うことですね。。。

 

 

 

4. 医療従事者

 

ロンドンの無症状の医療従事者を対象とした新コロナのPCR検査をしたところ、一般市民の感染率と同じで、無症状の医療従事者への感染は、院内感染より市中感染状況を反映しているそうです。医療従事者は院内でよりも市中で感染を受けると言うことですね。。

 

 

5. 川崎病(MCLS)

 

新コロナ感染症で肺炎の他、色々な症状を併発してきますが(基本的に血管炎を起こしているので、個人の生活環境、遺伝子の組み合わせてどの臓器の症状が出てきてもおかしくはないと思います)、川崎病類似の症状で発症し、新コロナが検出されたというイタリアの論文があります。

 

日本でも、川崎病(MCLS)の患者さんからRSウイルスが検出され、川崎病の原因ウイルスであるとされたことがありました。

やはり、受け手側の反応が、様々なスイッチによって過剰に反応するケースがあると考えた方が良いのではと感じています。

 

 

 

6. 重感染

 

カリフォルニア北部での調査ですが、呼吸器感染症で新コロナと他の呼吸器ウイルスを検査した研究では、新コロナ感染は9.5%で、それ以外の呼吸器ウイルスは26.1%検出され、新コロナ陽性検体での他のウイルスが検出された重感染率は20.7%だったそうです。

ライノウイルス/エンテロウイルス、RSウイルス、他の普通のコロナウイルスです。

 

他の論文でB型インフルエンザウイルスとの重感染もありました。

 

RSウイルスも色々な呼吸器病原体(インフルエンザ、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス、マイコプラズマなど)と重感染していることが多いウイルスでした。

 

呼吸器感染症の患者さんで、新コロナ感染症と考えても他のウイルス感染であることの方が多く、また新コロナにも他の呼吸器ウイルスとの重感染があり、一人の患者さんで新コロナを検出したとしてもその病気が他のウイルスの影響を受けている、或いはそのウイルスの方がメインで症状が出ていると言うことも考えないといけないかもしれません。

 

 

7. Quasispesis

 

新コロナが変異が激しい(遺伝子がどんどん変わっていく)ウイルスであることは前回のブログで述べました。

ドイツで9人の患者さん(全て軽症)の咽頭部のウイルス排泄量を調査した研究で、1人の患者さんから喉と肺の検体から異なる遺伝子配列の新コロナが持続的に検出されたそうです。

即ち、喉と肺から独立したウイルスの増殖が確認されたと言うことで、同一個体で臓器によっては異なる遺伝子配列の新コロナが増殖し得ると言うことです。

 

まさに新コロナはquasispesisであると思います。

 

 

 

 

8. 抗体検査 抗体依存性感染増強(ADE;Antibody-dependent Enhancement)

 

中国の研究で、新コロナに対する抗体(抗IgG、抗IgM)の反応と予後の関係を見た論文が複数あります。

 

現在、抗体で新コロナの感染の有無を見るキットが発売されてきていますが、この抗体があることで感染症を防げるかどうかは分かっていません。

 

この論文によると、重症例の割合は、新コロナに対する IgG抗体が高値の患者さんの方が、低値に比べて有意に多く、好中球がリンパ球より多い好中球優位;アデノウイルス以外は通常の呼吸器ウイルス感染症はリンパ球が優位となります)患者さんに重症例が多かったそうです。

 

また好中球優位の患者さんは、炎症性サイトカイン(IL-2、IL-6、IL-10;主として免疫担当細胞から分泌される低分子のタンパク質で生理活性物質の総称)のレベルが高く、重症例が多かったそうです。

 

その他の論文も抗体の高く持続する例の方が重症例が多いと記述しており、抗体がウイルスの侵入を促進するADE(Antibody-dependent Enhancement)を示唆しています。

 

ADEからサイトカインストーム・敗血症・多臓器不全を起こしてくるのですが、そこに他のコロナウイルス(地方に流行している普通感冒の原因となるウイルス)の過去の暴露が関与しているのではないかと考えられています。

 

 

これは1918年のスペイン風邪パンデミック(H1N1)では認められている現象です。

サイトカインストームを起こして重症化した例で、28歳前後の若者に死亡例が非常に多かった現象は、幼少時にインフルエンザのパンデミック(1889-1890;Russian influenza pandemic H3N8)を体験した年齢(抗原刷り込みantigenic imprinting;original antigenic sin)(1890年+28歳=1918年)が関与しているとする論文です。

 

  

 

9. ACE2受容体+TMPRSS2

 

新コロナはACE2受容体と宿主のプロテアーゼであるTMPRSS2両方を発現している細胞で、効率よく増殖できることが分かっています。

https://www.labmanager.com/news/preventing-spread-of-sars-coronavirus-2-in-humans-21942より引用

 

TypeII肺胞細胞、回腸の吸収機能を持つ腸上皮細胞、鼻の杯分泌細胞(goblet secretory cell)がその両方を発現している細胞群で、インターフェロンの受容体遺伝子もACE2とともに発現が多かったので、ACE2はインターフェロンで刺激される遺伝子の一つと考えられています。

 

新コロナ感染症で嗅覚障害が初期症状に多いのはこのためと考えられますね。


 

ACE2はアンギオテンシンII(AngII;血管収縮、アルドステロン分泌、そして近年は炎症、酸化ストレス、繊維化などに関与すると言われている生理活性物質)を不活化する酵素でもあります。

 

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1074761320301618より引用

 

新コロナと一緒にACE2が細胞内に取り込まれてしまうと、細胞膜上のACE2が減り、血中のAngIIが上昇してきます。

 

AngIIは自身が炎症を起こさせるサイトカインとしてIL6を増やし、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を起こしてくる原因ともなります。

 

また、ACE2はARDSを抑制する効果があることも認められていて、新コロナが感染することによりACE2の減少から悪循環が起こってくるわけです。

 

ADE+サイトカインストーム→ARDSと言う流れをブロックする一つの方法として、ACE2を点滴で補充して、おとりとして新コロナを捕獲する方法もありかなと感じました。

 

 

 

10. Tリンパ球

 

新コロナが免疫担当細胞であるTリンパ球に、ウイルスのS蛋白を介して膜融合を起こし感染しているとの論文です。

Tリンパ球で感染性ウイルスが増殖するか、その機能を破壊しているかは、今後の研究で明らかにしていくそうです。

 

 

 

11. リュック・モンタニエ博士

 

AIDSウイルス(HIV)を発見し、ノーベル医学賞を受賞したリュック・モンタニエ博士が、新コロナは人工ウイルスで、エイズウイルスワクチンを開発中にコロナウイルスをベクター(HIV遺伝子の運搬因子)として使用し、ワクチンを作成したことから始まっているのではと述べています。

 

更に、「自然は人為的な改変を受け入れないので、この不自然な変化を排除していくはずです。しかし、状況が次第に良くなって行くには長い時間がかかります。」と述べています。


 

この人工ウイルスであるという発表はすぐに他の科学者達に否定されていますが、私は自然は人為的な改変を受け入れないという博士の言葉に救われました。

新コロナにHIVの遺伝子が挿入されている場合は、Tリンパ球に感染することは想像できました。

 

しかし、RNAウイルスの特徴と考えられるquasispesisと言う動態からは、変異を起こしても最終的にはその個体での共生が出来、宿主とともにウイルスが生き延びられる遺伝子が優性となっていくことが考えられているからです。

ウイルスは寄生する病原体で、宿主が破壊されれば、自身も生き残りのチャンスが少なくなるからです。

そこに、ウイルスを殺すのではなく(攻撃することにより、宿主の細胞も破壊されるので、数を0には出来ない)、共生しながら宿主が生き延びられる手段を考えることが必要だと思っています。

 

 

12. ワクチンについて

 

新コロナのワクチンが必要だと言うことが、今声高に主張されています。

しかし、今まで検討してきたこのウイルスの特徴を知れば知るほど、ワクチンは解決にならないと私は考えます。

 

変異が激しいウイルスである、重症な症状は、ウイルスの毒力ではなく、個体の免疫暴走状態によるところが大きい、ウイルス、更にそのワクチンが免疫担当細胞に感染する可能性がある、等でしょうか。

 

 

1983年に分離されたHIVに対しては、37年たった今でもワクチンは出来ておらず、治療は抗ウイルス薬のカクテルが主流です。

 

私の研究テーマであったRSウイルスもRNAウイルスで、1967年、不活化ワクチンが小児に接種され、ワクチン接種群の方が肺炎死亡例が多かったと言う歴史があり、それ以来色々なワクチンが試作されてきましたが、未だに有効なワクチンは存在していません。

 

 

コロナウイルスのワクチンが2015年にパテントを取っていますが、これがコロナウイルスによる人間の感冒に使用されたというニュースを私は聞いたことがありません。

 

新コロナ遺伝子の変異動態を調査したところ、受容体結合ドメイン(領域)の中で、ACE2受容体結合力が弱い変異体が見つかり、ワクチン開発が無駄になる恐れがあるとする論文も出てきていました。

 

 

 

以上、新コロナの特性を追加させていただきました。

 

かなり新コロナの性質が分かってきましたので、このまとめを踏まえて次回のブログで私自身が取っている新コロナ対策について述べようと思います。

よろしくお願いいたします。しっぽフリフリ音譜ペンギン

 

 

 

 

 

ゆいクリニック院長   由井郁子(ゆい・いくこ)

 

 

 

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