料理教室&BistrotRIANTのメールマガジンです。
料理人・川名克典の料理セミナーでは伝えきれない
技術の裏に隠されているものを書いています。


それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。



  梅雨らしい朝が来た。
  六月も下旬に入ろうとしている。
  ふと、気がつくと全てが後ろ姿を見せながら去って行く。
  チャンスの女神は後ろ髪がないと言うけれど・・・。(笑)
  毎日の女神には、チャンと後ろ髪もあるみたい。


  窓をあけると湿った涼しい風が顔に当たる。
  寝ぼけ眼の僕に思ったより、それは優しい。


  そして料理人の人生を選んだ僕は、優しさに包まれている事を、
  普段思うより沢山の優しさに包まれていることを・・・。
  今更ながら感じる。

  料理人の人生を選んで良かったと、思う。



  そろそろ長女に言っている。

  「何を選ぶのだろう?」
  「どちらの道を進むのだろう?」
  「人生につながる感動と出逢うだろうか?」


  僕の場合、二十一の時に陶芸と出逢ったから今がある。
  勿論料理人として必要な味覚や感性は、今思えば、それ以前の
  生活で育まれていた。


  料理上手で呉服屋の娘に生まれた祖母に、育ててもらった。
  あの時、意識しようがしまいが、祖母の感性を浴び続けていた。
  特に味覚の影響は強い。
  

  家でよく着物を仕立てていた。
  そして、それが出来ると叔父の家に行き・・・。
  帰りに蕎麦や鰻を食べた。


  あれは、叔父から仕立てを依頼されていたのだろう。
  もしかしたら、今でも祖母の仕立てた着物を持っている人がいる
  かも知れない。


  柄など全く覚えちゃいないけれど、同い年の友達の何倍も反物を
  見ていたと思う。
  よく叔父が、祖母の前で広げた反物の両脇を挟んで、話をしなが
  らクルクルと面白いように巻き上げていた。


  何故巻物の両脇を両の手で挟んで、巻き上がるのかが不思議だっ
  た。


  今思えばそんな些細な事が、意識の奥で生きている。
  そしてそう言うのが根っこになって、自分の中で感動がわき起こ
  る。その時、目の前に二又の道が現れる。



  その感動に導かれたい・・・。と一本の道は出来る。


  今、自分の道を選べない人が多いと聞く。
  何をしてもよいから何をしてよいのか決められない・・・。と。


  僕は単純だから、感動した方向へヒョイと動いた。

  大船にあるそば屋が使っている自家製陶器に感動した。
  蕎麦を食べながら涙がこぼれるなんて・・・。
  一生で、もう二度と無いだろう。


  そして、その時の感動に導かれたから今がある。
  僕は、そこに目をつぶって通りすぎることが出来なかった・・・。


  でも、その時料理は・・・。見えていなかった。
  料理人の道は全くなかったのに・・・。
  人生は、だから面白い。
  

  今の若者は、見ようとする。
  いや、多分見えないと進めないのだろう・・・。
  そして、目標があってこその人生というようなハウツー本も多い。
  目標を見つけなさいというモノだ・・・。


  それもいいと思うけど、僕は何時も見えないものに導かれた。

  あの時、僕に涙を流させた小さな器達は、僕を料理に向かわせる
  為の天使だったのかも知れない。
  

そうして、人生を選んでよいのか解らないけれど・・・。
  そうして、生活するためのお金が稼げるか解らないけれど・・・。
  少なくとも「何をしてよいか解らない」なんてもったいない言葉
  は無くなるだろう。


  毎日が目の前を過ぎ去ってゆくのを指をくわえて見ている。
  なんて、嫌だから。


  好きな事や感動する事なんて、お金を手に入れてからいくらでも
  出来ると言う人もいる。
  お金のために全てを捨てているから、と言う人もいる。


  人生は様々だ。



  でも、あの時の感動はもうやってこないだろう。
  それなのに、それを無理に捨ててきたとしたら・・・。
  感動は人の命と同じ・・・。


  感動こそ命。

 


  長女はどんな人生を歩むのだろう。
  そして、僕の残りの人生は・・・。(笑)




今日も、新しいインスピレーションを求めて・・・。
引き寄せる一日でありますように。 (^ー^)v


そして・・・

いつも 「ありがとう」

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