すみだ北斎美術館で2019年6月25日~2019年8月25日の会期で開催される「綴プロジェクト 高精細複製画で綴るスミソニアン協会フリーア美術館の北斎展」のブロガー内覧会に行って来ました。ブロガー内覧会に先立って、同じ日、3時間ほど掛けて、鑑賞した上での参加。
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ブロガー内覧会で、「作品の貸し出しを行っていない為、日本での知名度は今一つ」なんて紹介されていたんです(今回の企画展の紹介ページ https://hokusai-museum.jp/tsuzuri/ でも「日本美術の宝庫として知られるフリーア美術館(米国ワシントンD.C.)は、所蔵品に関して門外不出の方針を貫いているため、日本でその名を知る人は多くありません。」なんて書かれています)が、何を仰る、ウサギさん。フリーア美術館(Freer Gallery of Art, Sumithonian Institute)は、日本でもメチャ有名な美術館です。それも、愛憎相半ばする感情を抱かれながら、名は轟き渡ってます。どこまでの名声を期待していると言うのでしょうか?
フリーア美術館 Freer Gallery of Art は、Charles Lang FREERが、自身のコレクションを建物ごと寄贈したものです。その位置たるや…Washington D.C.

上の方にある、紫色の位置にあるのはWhite House、右側の茶色のところに国会(連邦)議事堂、真ん中の黒いところにゃ、Washington Momument。白い塔。で、左側の緑色のところに、Lincoln Memorial。でっかい、リンカーン像のあるところです。

上の方にある、紫色の位置にあるのはWhite House、右側の茶色のところに国会(連邦)議事堂、真ん中の黒いところにゃ、Washington Momument。白い塔。で、左側の緑色のところに、Lincoln Memorial。でっかい、リンカーン像のあるところです。
で、フリーア美術館のあるのは、赤い○のところ。Sumithonian Instituteの一部として運営されていて、スミソニアン協会のエリアが青色のところ。
この計画的な並びを少し拡大してみると、

赤い○のところにあるのが、フリーア美術館。で、はす向かい右側にあるのが、通称、ワシントン・ナショナル・ギャラリー。上野恩賜公園の東京国立博物館と国立西洋美術館などの並びは、東京国立博物館は歴史的経緯の代物であるにせよ、明らかに、このワシントンを意識してます。

赤い○のところにあるのが、フリーア美術館。で、はす向かい右側にあるのが、通称、ワシントン・ナショナル・ギャラリー。上野恩賜公園の東京国立博物館と国立西洋美術館などの並びは、東京国立博物館は歴史的経緯の代物であるにせよ、明らかに、このワシントンを意識してます。
個人の寄付に基づき建設された施設(連邦に寄付されている? それとも、スミソニアン協会に現物出資された?)ではありますが、明らかに、アメリカの国威発揚の軸を担う施設の一つでもあります。このワシントンの逆T字のポトマック川を渡った西側には、アメリカ国家の為に生き、死んだ者を追悼する為の施設である、アーリントン墓地があります。
この区域は、National Mallと称されているそうです(https://ja.wikipedia.org/wiki/ナショナル・モール ).
この区域は、National Mallと称されているそうです(https://ja.wikipedia.org/wiki/ナショナル・モール ).
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で、このフリーア美術館なのですが、Charled Lang FREERが寄贈の際に付した条件
(1-a)所蔵作品を同館の外で展示しない。
(1-b)同館の中で、他館所蔵の作品を展示しない。
(1-b)同館の中で、他館所蔵の作品を展示しない。
と云う2つの条件によって、今のところ、日本にいては決して、その所蔵作品を見る事は出来ません。日本云々どころではなく、同館に行かない限り見る事は出来ません。また、たとえ行ったとしても、展示されているか否か、は同館の展示計画に拠ります(これは、他館とて同じ事)。それに…ここ数年は、連邦財政年度の初めは、予算案が議決されず、閉鎖されてる可能性も?(連邦の直接運営ではなく、スミソニアン協会運営だから、大丈夫?)
日本美術なんかを見に行くうち、解説などで関連作品が「フリーア美術館所蔵」とあるのを見て、半ば絶望的な気分になった人も多い筈です。私も、写楽の浮世絵作品のうち、ただ一つの実見していない種類は、フリーア美術館所蔵のものです。まあ、世界でそれだけしか存在が確認されていない作品がフリーア美術館の所蔵である、ってだけの事なんですが。
フリーアが先鞭を付けたものなのか否か、この類いの寄贈条件を付ける人って、未だにいます。最近では、北斎の研究者であった永田 生慈 氏(すみだ北斎美術館にも、資料収集員として関わっています)が、生地の島根県に(正確には、島根県立美術館に)寄贈した際(2017年)の条件として「島根県内で展示する事」(裏返せば、「島根県外に出さない事」)を付しました。尤も、永田生慈氏は生前「北斎展」の準備を進めており、この実現されたものが、2019年1月17日~2019年3月24日の会期で森アーツセンターギャラリーで開催された「新・北斎展 HOKUSAI Updated」(https://macg.roppongihills.com/jp/exhibitions/hokusai/ )です。以降は、この条項が問題とされ、県議会が改めて決議をするまでは、県外に出る事は無いでしょう。
他の方での似た寄贈条件としちゃ、現在、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中(会期:2019年4月27日~2019年6月30日)の「印象派への旅 海運王の夢―バレル・コレクション―」で展示されているWilliam BURRELも寄贈条件として「英国外に貸し出さない事」を付しました。しかし、英国は、法制度上は国会(Regis on Parliament; Regina on Parliament「国会に於ける国王」)独裁の国です。バレル・コレクションを展示しているThe Burrel Collectionの全面改修による休館に伴い、女王の裁可を以て、今回、海外の貸し出しが可能となりました。
フリーアの亡くなったのは、1919年9月25日。寄贈の意思は、生前に表明されていましたが、フリーア美術館が開館したのは、1923年です。
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フリーア美術館所蔵と云う事は、現在の日本では見られない、と云う事を意味しますが、フリーア美術館は、日本美術だけを所蔵・展示する美術館ではないものの、日本美術に関して言えば、フリーアが所蔵した事で守られて来た、との側面もあります。
フリーアの亡くなったのは、先に述べた様に、1919年ですが、その後、日本では関東大震災もあり、戦争被害(特に空襲被害)もありました。関東大震災でも、多くの美術品が毀損し(帝室美術館に展示されていたまま、美術館の建物崩壊で犠牲になったものもあります)、空襲で焼失した作品もあります(ゴッホ作品も2点空襲での焼失が確認されています)。松方コレクションの様に、倉庫で保存していた際に、倉庫ごと焼失てな事も起こり得ます(これ故、LOGWYNの主要作品はロンドンで失われました)。フリーア美術館肖像作品は、フリーア美術館に所蔵されていた為、日本での被害を免れた、って事。これからも日本でも米国でも、天変地異に思われる様な災害は起こる筈です。その際に、違う地域に作品があるって事は、作品の存続を考えたとき、リスク回避にはなる。
また、ワシントンで展示されている事で、広く日本美術の価値を知らしめるのに役立って来た、って意味もあります。何かを紹介する際、今ではどうか知りませんが、私の受けて来た教育や何やらでは、その国にある作品を主に紹介される事が多かった。日本では、琳派と言えば、光琳の燕子花図屏風でしょうが、米国では江戸琳派最後の世代の其一の朝顔図(メトロポリタン美術館蔵)となる、てな事。そんなに詳しく教わる訳じゃない(日本でもそうだろうと思います)ので、紹介される画像から勝手に自分の中でイメージを膨らませてしまう。その際に、米国でも一流の作品があったって事は、米国に於ける日本文化のイメージの形成に大きく影響したって事になる筈です。
また、ワシントンで展示されている事で、広く日本美術の価値を知らしめるのに役立って来た、って意味もあります。何かを紹介する際、今ではどうか知りませんが、私の受けて来た教育や何やらでは、その国にある作品を主に紹介される事が多かった。日本では、琳派と言えば、光琳の燕子花図屏風でしょうが、米国では江戸琳派最後の世代の其一の朝顔図(メトロポリタン美術館蔵)となる、てな事。そんなに詳しく教わる訳じゃない(日本でもそうだろうと思います)ので、紹介される画像から勝手に自分の中でイメージを膨らませてしまう。その際に、米国でも一流の作品があったって事は、米国に於ける日本文化のイメージの形成に大きく影響したって事になる筈です。
まあ、これらの点についちゃ、アメリカの他の美術館の有名どころである、ボストン美術館(BMFA)、ワシントン・ナショナル・ギャラリー、メトロポリタン美術館にも言える事ではありますが、日本美術に関しちゃ、フリーア美術館は、ボストン美術館と並ぶ、名品揃い。
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にしても、上記(1-b)の寄贈条件は、他では、あまり見ないもので、異様っちゃ、異様。でも、ここについちゃ、解釈での修正が行われてます。フリーア美術館の東隣に、Arthur M. Sacklerからの寄付によるArthur M. Sackler Galleryがあり、地下でフリーア美術館と繋がってます。

Arthur M. Sackler Galleryの展示施設は主に地下にありますが、ここは、フリーア美術館の一部との解釈で、フリーア美術館の所蔵作品と外部からの作品を用いての企画展などは、このArthur M. Sackler Galleryで行われている様です。
一番最近の2006年の北斎展も、そうして開催された由。

Arthur M. Sackler Galleryの展示施設は主に地下にありますが、ここは、フリーア美術館の一部との解釈で、フリーア美術館の所蔵作品と外部からの作品を用いての企画展などは、このArthur M. Sackler Galleryで行われている様です。
一番最近の2006年の北斎展も、そうして開催された由。
で、フリーア美術館は、その館外貸し出しをしない、って条項の罪滅ぼしの為、高精細複製品を製作し、関係先に寄贈している。…のかと私は思ってたんです、つい最近まで。と言うのは、同館所蔵の菱川師宣・作「江戸風俗図屏風」が千葉県立中央美術館に寄贈された(この件では、鋸南町立菱川師宣記念館が「何で、うちじゃないんだ」と悔しがった、との報道もありました)際、多くの報道で、フリーア美術館の名が先立って報じられていた様に記憶していたので。ですが、これも、今回の、すみだ北斎美術館での展示品と同様、綴プロジェクトによるものでした。今回の展覧会での紹介映像で、気付きました。
綴プロジェクトに関しては、東京国立博物館で 2019年5月3日~2019年6月2日の会期で開催された「美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―」でも紹介されていましたし、最近つとに目にする機会の多いものです(東京国立博物館1Fでは綴プロジェクトなどの映像が流れている事も多いですし)。
綴プロジェクトは、キヤノンと京都文化協会によるプロジェクトで、キヤノンの技術により、文化財を高精細複製品として複製し、現品の保存と、文化財の公開の用に資するもの。
綴プロジェクトに関しては、東京国立博物館で 2019年5月3日~2019年6月2日の会期で開催された「美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―」でも紹介されていましたし、最近つとに目にする機会の多いものです(東京国立博物館1Fでは綴プロジェクトなどの映像が流れている事も多いですし)。
綴プロジェクトは、キヤノンと京都文化協会によるプロジェクトで、キヤノンの技術により、文化財を高精細複製品として複製し、現品の保存と、文化財の公開の用に資するもの。
複製品なんて…と思われる方もいらしゃるかも知れませんが、見た目で、現品との差を見分けられる方は多くないと思います。今までだって、レオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチを展覧会で見た事のある方、ここ何十年以内の事だったら、それは恐らく「全て」複製品です。ファクシミリ版と表記のあるのは、複製品って事。レオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチの現品は、現在、展示を禁じられてますから(イギリス王室所蔵品の展示がありましたが、あれは複製品だったか否か、不確実。現品の展示を禁じたのは、どこによるものだったか…イタリア議会による法律? でも、ビル・ゲイツが所蔵するレスター手稿は、毎年1回、1箇所<論理的に、どこかの特定1ヶ国>で展示されているらしい https://ja.wikipedia.org/wiki/レオナルド・ダ・ヴィンチ )。
それに、日本では国宝なんかは、文化財保護法で権限委任された文化庁の規制で、1年当たりの展示日数が定められていますが、アメリカの美術館の自主的な展示規制たるや、日本の比じゃない。ボストン美術館なんかは、浮世絵でさえ、1度展示すると、その後5年間は展示しません。アメリカの美術館に入った日本の美術品は、厳しく保存されている替わりに、展示機会が限られる事も多いのです(カリフォルニア州のカウンティ美術館の様にイイカゲンなところもありますし、オーバリン大学アレン・メモリアル美術館の様に、学生の自室での鑑賞用に貸し出しまで行っちゃう美術館もありますが…)。その替わりに、ウェブでの高精細画像の公開などは積極的に行われています。
それに、日本では国宝なんかは、文化財保護法で権限委任された文化庁の規制で、1年当たりの展示日数が定められていますが、アメリカの美術館の自主的な展示規制たるや、日本の比じゃない。ボストン美術館なんかは、浮世絵でさえ、1度展示すると、その後5年間は展示しません。アメリカの美術館に入った日本の美術品は、厳しく保存されている替わりに、展示機会が限られる事も多いのです(カリフォルニア州のカウンティ美術館の様にイイカゲンなところもありますし、オーバリン大学アレン・メモリアル美術館の様に、学生の自室での鑑賞用に貸し出しまで行っちゃう美術館もありますが…)。その替わりに、ウェブでの高精細画像の公開などは積極的に行われています。
で、今回、その綴プロジェクトの一環として、13点の作品が高精細複製品として制作され、その13点が、すみだ北斎美術家に寄贈されました(寄贈式典は、2019年6月24日に行われた由)。この寄贈先は、綴プロジェクトによる選定の様です。
この寄贈決定を受けてのものなのか、どちらがどう動いたものなのか、どの様なタイミングで決定されて行ったものなのか、は知る由も無いですが、今回、このフリーア美術館所蔵の作品を綴プロジェクトにより高精細複製品とし、その展示が、すみだ北斎美術館で行われる事になったのです。
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今回の展覧会「綴プロジェクト 高精細複製画で綴るスミソニアン協会フリーア美術館の北斎展」では、綴プロジェクトによって高精細で複製された、フリーア美術館所蔵作品を軸に、その作品で現れた図像が、北斎の他の作品で、どう描かれているか、似ているものを探し、そのグループを、また似ていないのであれば…と追って行く構成になっています。北斎とて、あちこちの作品で、全く違った表現を次々に行っていた訳ではなく、描く図像は、前のものに基づいて新たなものを加え、また修正して行った訳です。生涯でスタイルを次々変えて行った様に見えるピカソでさえ、同じ様に見える作品を膨大に残している。同じ様に見える試みを成した事で、次の段階に進む事が出来た、って面もある筈です。
ですから、図像の系譜を比較し、追う事も美術の一面の「由緒正しい」方法です。縄文時代の土器の様に、姿形を綿密に比較・検討したものがあってこそ、大きな流れを語る事が出来ます。でも…素人のにわか美術ファンである私にとっちゃ、こうした比較は結構退屈でもあります。私が美術史を専攻しようと思わなかったのも、考古学を専攻しようと思った事が無いのも、こうした検討を行う自信も動機も私の中に見当たらなかったから。
今更、この展覧会で、これを行われても、それを好きになる訳じゃない(笑)。
今更、この展覧会で、これを行われても、それを好きになる訳じゃない(笑)。
…って事で、この構成、正直言って、少し退屈でした。でも、すみだ北斎美術館が2年目でモチーフの種別に着目して展覧会を行って来た事(それ故に、私は1年目は年間パスポートを購入していましたが、2年目は敬遠してました。私が同館を訪問するのは約1年7ヶ月ぶりとなりました)からすれば、この様な姿は、「由緒正しい」発展の仕方なんだろうと考えます。今までの経験を踏まえての展示、です。
個々の作品について、軸となったフリーア美術館の作品と較べて、着目すべき点なんかを短い解説で加えておいて貰うと、私も、その作業を、もう少しは楽しめたかも知れませんが(笑)。北斎の描いた同じモチーフである、似ている、違っている、は分かっても、それを、それ以上に楽しむ事は私には出来ませんでした。
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この展覧会では、13点の、綴(つづり)プロジェクトによる高精細複製画が展示されますが、これは通期(2019年6月25日~2019年8月2日)で、です。前期(2019年6月25日~2019年7月28日)、後期(2019年7月30日~2019年8月25日)で展示入れ替えのものがありますので、前期10点、後期10点の展示となり、通期で展示されるものが7点、前期だけの展示が3点、後期だけの展示が3点となります。何がどちらに展示されているのかは、HP https://hokusai-museum.jp/modules/Exhibition/exhibitions/view/738 の下の方に明記してあります。
「複製画なら、何も、展示替え対象にしないで、全部見せてくれても、いいじゃないか? 保存用に展示を最小限にする必要も無い訳だから」とも思うのですが、そうしないのは、図像比較の展示構成を貫徹する為の配慮なんでしょう。つまり、図像比較を主にした、って事。それは、この展示が高精細複製画を客寄せにしてはいますが、飽くまでも、本物の所蔵作品を展示のメインに置く、って事の宣言とも採れます。
「複製画なら、何も、展示替え対象にしないで、全部見せてくれても、いいじゃないか? 保存用に展示を最小限にする必要も無い訳だから」とも思うのですが、そうしないのは、図像比較の展示構成を貫徹する為の配慮なんでしょう。つまり、図像比較を主にした、って事。それは、この展示が高精細複製画を客寄せにしてはいますが、飽くまでも、本物の所蔵作品を展示のメインに置く、って事の宣言とも採れます。
先に、展示される高精細複製画は、通期でカウントしても13点と言いました。少ない様にも感じますが、「玉川六景図」は12枚の絵で構成される六曲一双の屏風仕立て。これも1点カウントなら、「十二ヶ月花鳥図」もそれぞれの月を描いた12枚の絵から成る六曲一双の屏風仕立てながら1点カウント。前期は、10点カウントと言いながら、その2点を含みますので、結構な見応えがあります。
「十二ヶ月花鳥図」は、手間に畳が敷かれ、そこに上がって、ガラス無しで見る事が出来ます。こんな感じ。

この画像は、ブロガー内覧会と云う事で特別に許可を頂いて撮影しているもの(後ほど届け出の上で、再審査がある筈)。通常は、撮影不許です。浮世絵を含む展覧会は、作品の保存の都合上、画像撮影には照度が不足気味となるので、露光時間(シャッタースピード)を長めに採らないとマトモな画像が撮影出来ない道理ですが、私は写真撮影に注力してませんので、この程度が限度(単に、ピントに問題があっただけかも知れません)。使わなくともいい画像ではありますが、せっかくなので、状況説明に。

この画像は、ブロガー内覧会と云う事で特別に許可を頂いて撮影しているもの(後ほど届け出の上で、再審査がある筈)。通常は、撮影不許です。浮世絵を含む展覧会は、作品の保存の都合上、画像撮影には照度が不足気味となるので、露光時間(シャッタースピード)を長めに採らないとマトモな画像が撮影出来ない道理ですが、私は写真撮影に注力してませんので、この程度が限度(単に、ピントに問題があっただけかも知れません)。使わなくともいい画像ではありますが、せっかくなので、状況説明に。
次は、印刷物から引用。

Facsimiles of works in the collection of the Freer Gallery of Art, Sumithonian Institution, Washington D.C.: Gift of Carles Lang Freer,F1904.179-180 すみだ北斎美術館蔵

Facsimiles of works in the collection of the Freer Gallery of Art, Sumithonian Institution, Washington D.C.: Gift of Carles Lang Freer,F1904.179-180 すみだ北斎美術館蔵
12月の、この犬は圧倒的にかわいい。

子犬の後ろにある盥(たらい)は、最初、「罠か?」とも思ったものの、そこで遊ばせる為の仕掛けなんだろう、と思い至りました。人間の思いやりも描かれてる訳です。ここら辺は、同じ図でも解釈で、意味が大きく違って来てしまいます。この画像では撮し切れていませんが、右(11月)の雁(落雁)の羽の描写の美しさも特筆ものです。

子犬の後ろにある盥(たらい)は、最初、「罠か?」とも思ったものの、そこで遊ばせる為の仕掛けなんだろう、と思い至りました。人間の思いやりも描かれてる訳です。ここら辺は、同じ図でも解釈で、意味が大きく違って来てしまいます。この画像では撮し切れていませんが、右(11月)の雁(落雁)の羽の描写の美しさも特筆ものです。
Cat.no.1「玉川六景図」(前期のみ展示。4F。画像は、https://global.canon/ja/news/2019/20190624.html をご参照下さい)は、現在のフリーア美術館蔵の並びは、右隻に人物画がまとめて6図、左隻に風景図がまとめて6図あるのですが、綴プロジェクトでは、かつて日本美術画報 初編 巻九(1895年)に 同年に上野で開催された日本美術協会主催の秋期鑑賞会での画像が掲載されていて、そこに、この屏風と思われるものの構成(並び)が人物と風景の並びとなっている事から、この画報の画像通りに並べ変えて展示されています。これは、複製画でしか出来ない事。
ですが…新たな仮説も湧いて来ちゃいます。と云うのは、日本美術画報掲載時の並び通りに並べると、右の女性(貴族)の視線が、どこにも合わないから。

Facsimiles of works in the collection of the Freer Gallery of Art, SUmithonian Institution, Washington D.C.: Gift of Carles Lang Freer,F1904.204-205 すみだ北斎美術館蔵

Facsimiles of works in the collection of the Freer Gallery of Art, SUmithonian Institution, Washington D.C.: Gift of Carles Lang Freer,F1904.204-205 すみだ北斎美術館蔵
もう一つの、砧と布、卯の花と、入れ替えてみたら、どんなだろう? って思っちゃう訳です。そうした場合、この上の画像の右側の女性に対する左側は川を挟んで向こう側に卯の花って構図となり、残る1組は、右側に臼に砧で着物をつく女性2人の図、左側に、上の画像の左側(庭に置いた砧と衣を張って乾かす図と、後ろに卯の花)って組み合わせになります。これが適当か、どうか、は、各人でご判断を(現物を展覧会で見て、判断して下さい)。
この「玉川六景図」と似た画は、揃いで残っているものは少ないのかも知れませんが、個々の画ならば、同じ画は他にもあります。2019年6月1~25日の会期で千葉市美術館で開催された「板橋区美×千葉市美 ちたばし」展で展示された、cat.no.53「井出の玉川図」、cat,no.54「萩の玉川図」なども同じ様な画です。この画の名称の根拠までも問い直してみていいのかも知れない、とは思ってます。
また、cat.no.56「雷神図」の署名は、「八十八歳卍筆」。ですが、この「八十八歳卍筆」の署名と来たら、やたら多いんです。恐らくは、北斎の死後に、残された印章などを使って、北斎の工房の者が量産したのだろう、とも疑われています。類似署名として、今回のフリーア美術館所蔵作品の複製品展示で気付いた限りでも、cat.no.65「琵琶に白蛇図」が「八十八老卍」、cat.no.129「波濤図」が「八十八老人卍筆」。
もともと、北斎の作品では、北斎本人が描いたもの、工房が主となって制作したもの、娘の応為が主たる部分を請け負ったもの、が渾然一体となっており、しっかりとした判別が付いていません。もともとの北斎だけが描いたものを同定する事さえ、出来ていないのです。北斎研究の第1級の資料である飯島 虚心「葛飾北斎伝」では、為一は、北斎が脳梗塞で倒れている期間の応為の筆名である、としているほど。
ですので、フリーア美術館所蔵の北斎作品とされる肉筆画は、90点ほどあるそうですが、かつては真筆は40点前後とされていたものの、研究が進むにつれ、真筆との鑑定が減るどころか増えてしまい、現在では50点ほどが真筆と鑑定されている由。そんな目で見てみると、確実な事は言えないまでも、結構楽しめます。私は、富嶽三十六景の凱風快晴は、富士自体は北斎の筆かも知れませんが、色指定、や雲は、応為によるものだろうと考えています。応為の作品とされるものは、はっきりと署名があるのは僅かですが、はっきりとした色使いと高いデザイン性が特徴です。老齢になっての北斎の画は、応為の助力を得ているのは皆が認めるところですが、では、この展示作品は? 各人で想像を巡らすしかありませんが、私は応為が主に絵付けを行ったものと見ています。皆さんは、どう判断するでしょうか?
ですので、フリーア美術館所蔵の北斎作品とされる肉筆画は、90点ほどあるそうですが、かつては真筆は40点前後とされていたものの、研究が進むにつれ、真筆との鑑定が減るどころか増えてしまい、現在では50点ほどが真筆と鑑定されている由。そんな目で見てみると、確実な事は言えないまでも、結構楽しめます。私は、富嶽三十六景の凱風快晴は、富士自体は北斎の筆かも知れませんが、色指定、や雲は、応為によるものだろうと考えています。応為の作品とされるものは、はっきりと署名があるのは僅かですが、はっきりとした色使いと高いデザイン性が特徴です。老齢になっての北斎の画は、応為の助力を得ているのは皆が認めるところですが、では、この展示作品は? 各人で想像を巡らすしかありませんが、私は応為が主に絵付けを行ったものと見ています。皆さんは、どう判断するでしょうか?
上の「八十八歳卍筆」も北斎の特徴的な署名の一つですが、cat.no.73「遊女図」(前期のみ展示)の署名「北斎宗理戯画」の「北斎宗理」は、かなり少ない割合でしか見られない署名です。私は、北斎の美人画の特徴を、各時期の特徴を以て語れるほどの力はありませんが、各時期の特徴を併せ持つものだそうです(そんなの、尚更ワカランw)。
Cat.no.129「波濤図」(通期展示.。画像は、https://global.canon/ja/news/2019/20190624.htmlをご参照下さい)は、今回の展覧会の開催に併せて来日したフリーア美術館の日本美術担当学芸員のフランク・フェルテンズ氏の、今回の展示作品中、最も好きな作品との事ですが、氏は「波が、この様に見える事は無い」と仰ってました。ですが、ある特定のシャッタースピードで写真を写した場合、この図の様な形になる事が明らかになっています。とは言え、私たちは、この様な姿で波を認識する事はあまり無い。では、何故、北斎は、この姿に辿り着いたか?
想像で、と言うのは簡単ですし、北斎は驚異の動体視力を持っていたのだ、って説も安易に過ぎる気がします。どちらも証明のしようも無い事だから、です。私は、次の様な仮説を持っています。要は、「北斎は波の姿をアニメーションの様に繋いで描いてみたのではないか?その途中に、この様な特徴的な姿を見付け、多用したのでは無いか?」と云うものです。これは、北斎の波の図をアニメーションの様に並べて見せる事が出来れば、可能性が高くなり、その制作年代が似通ったものであり、その後の多用時期に先行していた事が証明出来れば、証明としては、一応成り立つ算段です。誰か、やってみない?
論理の一つの問題点は、何故、それを多用したのか?を実証を伴って立論出来ない(証拠を伴って論証できない)事だろうと考えます。
論理の一つの問題点は、何故、それを多用したのか?を実証を伴って立論出来ない(証拠を伴って論証できない)事だろうと考えます。
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綴プロジェクトに関しては、HPがあります。https://global.canon/ja/tsuzuri/ 。ここで、12色の顔料インクシステムと言っています。プレス配布資料やhttps://global.canon/ja/news/2019/20190624.html に拠ると、今回の第12期から使用機器はimagePROGRAF PRO-4000 https://cweb.canon.jp/imageprograf/lineup/pro4000/index.html であり、特注品では無い模様です。2,400dpiでの出力。
色分解を行った上での出力なのか、否か、は大問題ですが、この製品を使って、短時間で作業を終える(文化財の負担を最小に抑える)としたら、色分解必須でしょう。もし、日本画の顔料そのものを使って出力するとしたら、何回もの重ね刷りが必要になる道理で、短時間での作業完了とは行かない。それに、顔料の種別は撮影で判別可能かも知れませんが、粒子の大きさによって明度・彩度が異なって来ますので、用意すべきものが膨大になり、作業開始から完了までは、ある程度の日数が必要になってしまいます。
色分解を行った上での出力だろうと推測します。
色分解を行った上での出力だろうと推測します。
これだと、真贋の別は比較的容易に判別出来ます。拡大すれば、それで判別可能(通常印刷は、350dpi程度の筈なので、ドットは、かなり小さくなりますが)。どれだけ精密に複製出来ているか、も見どころなのかも知れません。
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私は、1年7ヶ月ほど、すみだ北斎美術館に訪問せずにいたのですが、この展覧会の後期、その後の、茂木本家美術館所蔵北斎展、小布施北斎館展なども見に行こうと考え、年間パスポートを購入しました。展覧会の入場料が1,000円程度であるのに、年間パスポートは3,000円なので、年間パスポートのコスト・パフォーマンスは圧倒的です。