おかあさんは自分の年齢を考え
僕を看取る頃には
深いシニアになっちゃうし
最期迄看取れなかったらどうしようか。
ムリムリムリムリムリって
諦めて僕を開いて見る事をやめたんだ。



それから1ヶ月後

おかあさんは僕の事を思い出し

開いてくれたんだ。  



僕はまだ居た。




おかあさんの心が動いた。




運命の時迄の

カウントダウンが始まる。





その頃の僕といえば

何しても怒らないお兄さんお姉さんが

僕の命の綱だった。






昼間は人間がガラス越しに

手を振ってくれたり声をかけてくれる。

たまに僕を触ってくれる人が来ると

堪らなく嬉しくて楽しくて

遊んで遊んでって沢山甘噛みして

愛嬌振る舞ってたんだ。



僕の1番の楽しみは『ご飯の時間』

朝と夕方の2回。

待ちきれなくて待ちきれなくて

大声で『早く頂戴』って催促。

やったー僕の順番が来た!

『いっただきまーす』

一瞬にして空になるから

『おかわり』

『もっともっともっと頂戴』

『もっと食べたいよ』

『お腹いっぱいじゃないよ』

って叫んでも貰えなかった。


だから敷いてあるマットを食べて

空腹を満たしてたんだ〜〜〜

ペットシートやたまにウンピもね。





夜になるとお兄さんお姉さん達

みんな帰っちゃってだ〜れもいなくなる。

泣いてるお友達もいたなあ。

僕も寂しくて泣いた。

お腹が空いて空いて泣いた。



あの時の仲間は

今、どうしてるのかな?




僕は他のみんなより

どんどん大きくなるんだ。

みんなと同じ大きさのお部屋じゃ狭くて

少し運動ができるお部屋に引っ越した。



ボール遊びももできるし

少しの運動もできる様になった。

お姉さんが投げてくれるボールだって

咥えてお姉さんの所に持って行くし

オテもできる様になったよ。



甘噛みもいっぱいした。

『痛い』『痛い』が『もっと噛んでいいよ』

だと思って力を込めて甘噛みしてやった。



◇◇◇◇◇◇



おかあさんは

心は動くもののまだ悩んでいた。


シェリとルーシーボスレオ、白

先住犬とうまくやれるだろうか?


自分が病気になった時は


災害が起きた時は・・・・・


色んな事を想定したり想像したり

悩みに悩んでた。



おとうさんが『飼ってあげようよ』と

交渉してくれたんだ。

ちゃんと躾けるからおかあさん任せに

しないから約束したんだって。

おとうさんっ子だったレックス兄を

受け止めてあげれなかった事を

凄く後悔してたんだって。

おとうさんはおとうさんで仕事中も

考えてくれてたんだ。



取り敢えずおかあさんは

僕がいるペットショップに連絡し

僕の健康状態、生活状況、

迎えいれる為の順序などなど

質問をいっぱいしてくれた。



お店から

直ぐ写真や動画をおかあさんに

送ってくれたんだ。


動画を見て見てもう4ヶ月。

一日も早く躾を始めないと

大変な事になっちゃう。



訓練士さんにも相談し

沢山のアドバイスも貰った。



最終的に決めるのはわたし達夫婦。



遂におかあさんは決心した。



よし!迎えに行こう。



決心した理由にはもうひとつ

大きな理由があったんだ。

僕も知らなかった。



     続く