比較的低いリスクで比較的高い利益を得る
ことができるミドルリスク・ミドルリター
ン投資は、超低金利時代に適した投資法で
ある。
低リターンの投資では資産運用の効果が薄
く、高リターンを狙うと資産が目減りする
恐れがある。
今回の記事では、両者の中間に位置するミ
ドルリスク・ミドルリターン投資の魅力を
紹介していこう。
■投資におけるリスク許容度3つのパターン
投資を始める前に、まず決める必要がある
のは、投資に対するリスク許容度だ。
投資には下記の3つの方法がある。
●ローリスク・ローリターンの投資
元本保証や最小限のリスクで着実にローリ
ターンを狙う投資法である。
大学入学資金など、使途が明確な資金の運
用に適している。
元本割れは許されないので、元本保証や償
還のある債券に投資する必要がある。
代表的な元本保証商品は個人向け国債であ
る。
社債の場合、債務不履行の心配がない大手
優良企業の新発債を購入すれば、満期時に
販売時に設定された利率で利息を受け取る
ことができる。
ローリターン投資の利回りの目安は0.5~
1.5%程度である。
●ミドルリスク・ミドルリターンの投資
多少のリスクはあっても、一定のリターン
を狙う投資方法である。
いつ使うかは決まっていないが、住宅購入
の頭金を増やしたい場合などに適している。
代表的な商品としては、不動産投資、株式
投資信託、金投資、J-REIT(上場不動産投
資信託)などがある。
ミドルリターン投資の平均利回りは3~5%
程度である。
●ハイリスク・ハイリターンの投資
ハイリスクでもハイリターンを狙う投資法
である。
ボーナスなど生活費とは別に使える余剰資
金での投資に適している。
代表的な商品としては、暗号資産、FX(外
国為替証拠金取引)、エマージング債券
(新興国債券)などがある。
ハイリターン投資の利回りの目安は5~10
%程度だが、株価が急上昇すれば利回りが
高くなることもある。
一方、短期間で大きく下落することもある
ので、初心者は避けたほうが無難だろう。
■超低金利の今はミドルリターンの利益を
狙いたい
日本の金融情勢は超低金利であり、ローリ
スク・ローリターンの商品で運用しても、
わずかな利息収入しか得られない。
3つのパターンで述べたように、資金使途
のタイミングが分からない場合は、ミドル
リスク・ミドルリターンの投資で高利回り
を狙うのが得策かもしれない。
ミドルリスク商品には元本保証やそれに近
いものはないが、ハイリスク商品よりも安
全である明確な理由がある。
例えば、金には発行体がないため、金融機
関の破綻によって価値がゼロになることは
ない。
株式投信は複数の銘柄に投資するので、そ
のうちの1つが倒産しても影響は限定的だ。
また、J-REITはさまざまな不動産に投資し
ているため、安定した配当を出すことがで
きる。
このように、ミドルリスク・ミドルリター
ンの投資は、大きなリスクを負うことなく、
3~5%前後の安定したリターンを得ること
ができるため、現在の低金利環境には適し
ているといえる。
■安定高利回りを狙えるミドルリスク・ミ
ドルリターン投資3選
ここでは、リスクはそれほど高くなくても
比較的高い利回りを狙えるミドルリスク・
ミドルリターンの投資対象を3つピックア
ップし、それぞれの特徴を紹介していこう。
●不動産投資
不動産投資は、賃貸物件の家賃収入でロー
ンを返済するため、比較的安全な投資とし
て知られている。
ローンを返済している間は手取り収入は少
ないが、完済後は純資産となり、売却すれ
ば数千万円の現金を手にすることができる。
長期的な視点で見れば、ミドルリスク、ミ
ドルリターンの投資といえる。
一般社団法人日本不動産研究所が実施した
「第48回不動産投資家調査(2023年4月時
点)」によると、東京都区部の賃貸住宅の
期待利回りは、ワンルームで3.8〜4.0%、
ファミリー向けで3.9~4.1%となっており、
ミドルレンジの利回りが期待できる。
ミドルリスクなのは、空室リスクがあるか
らである。
マンションの一室しか所有していない場合、
空室が発生すると一時的に給料から家賃を
補填しなければならないことがある。
●高配当株投資
株式投資も値上がり益を狙わず、定期的に
配当を受け取るだけの高配当株投資ではリ
スクは限定的だ。
MINKABU調べの配当利回りランキングで
は、配当利回り4%以上の企業が261社(20
23年9月20日現在)あり、キャピタルゲイ
ンがなくてもミドルリターンが得られるの
が大きなメリットだ。
もちろん、高配当株にも値下がりリスクは
あるので、投資する際にはミドルリスクで
あることを念頭に置く必要があるだろう。
●J-REIT
現物不動産を保有・運用する投資法人に分
散投資するJ-REITは、証券取引所に上場し
ているため、株式と同じように売買できる。
投資主としては、原則として年2回、運用
益から配当金を受け取ることができる。
上場している60銘柄のうち、配当金を支払
っている銘柄がないことからも、運用成績
の安定性がうかがえる。
全銘柄の平均配当利回りは、2023年9月15
日現在で4.12%である。
株式同様、値下がりリスクもあり、典型的
なミドルリスク・ミドルリターンの投資と
いえる。
■さらに安全を期すならローリスク・ミド
ルリターンの不動産クラウドファンディ
ング
不動産クラウドファンディングは、最近人
気が高まっている投資商品である。
人気の理由は、投資商品としては珍しいロ
ーリスク・ミドルリターンであることであ
る。
不動産クラウドファンディングとは、イン
ターネット上で事業者が募集する不動産運
用事業に不特定多数の投資家が出資するも
の。
事業者が投資家から集めた資金を不動産に
投資し、売却益や賃料収入から投資家に配
当を支払う仕組みだ。
期待利回りは3~7%程度と高い。
不動産クラウドファンディングは、以下の
理由から低リスクの投資といえる。
・不動産クラウドファンディングは売買市
場がないため、株式のような価格下落リス
クがない。
・多くの場合、「優先・劣後方式」により、
仮に売却損が発生しても、所定の範囲内で
事業者が優先的に損失を負担するため、投
資家の元本が毀損することは少ない。
・多くの場合、資産運用会社が「マスター
リース契約」を締結して一括賃貸している
ため、空室が発生してもあらかじめ決めら
れた賃料が保証されている。
こうした仕組みがあるため、配当金は予想
利回りに基づいて安定的に支払われる。
不動産クラウドファンディングのデメリッ
トは、まれに投資商品が購入できないケー
スがあることだ。
先着順の場合、募集開始から数時間で満口
になることもあるし、抽選制の場合、応募
者が多くて申し込み件数が増えると、購入
できない可能性が高くなる。
先着順の案件に関しては、情報を知らない
と不利になるので、不動産クラウドファン
ディングの比較サイトをチェックすること
をおすすめする。
■ポートフォリオを組み分散投資でリスク
を下げよう
できるだけ資産運用の設計図となるポート
フォリオを組むようにしよう。
ポートフォリオを組まないと、上がりそう
な銘柄に行き当たりばったりで投資するこ
とになり、資金残高が特定の銘柄やカテゴ
リーに偏ってしまう可能性がある。
資産運用に関しては、分散投資でリスクを
減らすことが重要である。
機関投資家もポートフォリオのバランスを
重視する。
例えば、GPIF(年金積立金管理運用独立行
政法人)の基本ポートフォリオは、国内債
券25%(±7%)、外国債券25%(±6%)、
国内株式25%(±8%)、外国株式25%(±
8%)となっており、それぞれプラスマイ
ナスの許容範囲が決められている。
これをモデルに、個人でポートフォリオを
組む場合は、投資カテゴリーごとに保有比
率と増減幅を決め、許容範囲を超えそうな
ら売り増し、買い増しでリバランスするの
がいいだろう。
日銀の低金利政策はしばらく続きそうなの
で、この機会にポートフォリオを見直し、
不動産クラウドファンディングのようなミ
ドルリターンが期待できる商品の組み入れ
を検討してみてはどうだろうか。
退職するなら下記LINE@で相談を!
インスタも登録してね!