皆さま、おはようございます。ご訪問ありがとうございます。

 

昨夕、ご担当の先生から私の今回の腎臓癌は『完全寛解』にいたったとお聞きしました。自分自身はこれまで「癌との共存」、すなわち「無増悪生存期間」の延長を目標としていましたので、#48で述べましたように部分寛解にも驚きましたが、昨夕の完全寛解にいたっては正直いって驚き以外のなにものでもありませんでした。

 

昨夕、昨夜は信じられないという気持ちとただうれしいという感覚でした。そして、いつものように21時半には就寝、今朝方3時過ぎにはもう起き出しましたので、最初はそのままベッドの中で、次にベッドに腰掛けて完全寛解にいたったこと、あらためて考えてみました。

 

その要因は、第1にはやはり友人、同僚・仲間、家族、仕事における関係者他皆さまからの応援や励まし、次に私の性格-興味あるものにはそれなりにストイックになりながらも柔軟に変化も取り入れられる(手前味噌ですいません)-、最後に運が大きく味方した、あるいはいい時代に生まれた(いい時代にこの病気になった)ということがいえるのではないかと感じました。

 

友人、同僚・仲間、家族、仕事における関係者他皆さまからの応援や励ましはこれまでにも述べてきたところです。すなわち、友人、同僚・仲間からの応援・励ましは本当に元気がでてきます。簡単な例では、肝機能が落ちていますのでかなりの倦怠感や疲労感があるのですが、友人がお見舞いに来ますと、元気がでてすっかりテンションあがって話し込んでしまい、倦怠感や疲労感がどこかにいっちゃいます。

 

海外の信心深い友人は、本人はもちろんご家族皆さんにて教会にいくたび、毎回、私の回復を祈ってくれました。また、海外在住の私の友人のご長男は9000 Daysをピアノで弾いてくれ、ショートビデオを送ってくれました。この他、現地で雇用してきた方々、現地でいっしょに働いた政府職員等からも多くの励ましをメイルやSNSで頂きました。本当に元気づけられました。

 

現地でいっしょに働いてきた方々の中には、既に自分で会社を経営している方、また国際機関発注のプロジェクトをプロジェクトマネージャーとして指揮している方、他、現地政府の要職につかれている方もおります。彼ら・彼女らからは、「自分が意志決定で悩んだとき、Mr.○○であれば、どのように取り組み、どのような意志決定を行うであろうかと考えながら、自分の意志決定を行っている」とのメッセージをもらったこともあります。

 

私自身は、現地の方々に対して特段の人材育成を行ったという記憶はないのですね。ただ仕事をする上ではTeam Work(こそ)が重要、そしてTeam Workを機能させるのがLeadershipという考え方をしておりました。大昔であればまだ簡単な時代でした。しかしながら、いまは複雑化しています。環境アセスは当然のこと合意形成や説明責任と行った社会面での対応、加えて衛星データの利用とかクラウド利用下での高度なシミュレーションといった科学技術の急速な発展への対応など、これらはTeam Workがなければやっていけません。

 

したがい、仕事を進める上では日本人のメンバーだけに限らず、現地職員も含めてTeamであたるということはやってきました。その上で、All in Oneで単に詰め込んだ総花ではだめですので、方針と行き先はTeam Leaderが示す、そのための意志決定はTeam Leaderの責務である、そのベースとなるTeam Workを機能させるのがLeadershipというような考え方でしょうか。大きく育った元現地職員からのメッセージ、これらも大きな励ましとなりました。

 

家族の支え、励ましは心が落ち着きました。友人・同僚からの励ましは元気をもらい副作用などに負けないぞという気持ちになるのですが、家族の支え・励ましは心の中の不安さが消えていき、自分は大丈夫だという安心感がでてくるのですね。田舎の母からのメッセージ(#23)、私の兄弟からの応援、そして娘達や妻からの支えは心の状態をいつも落ち着かせてくれました。

 

寛解にいたった第2の要因は、私自身の性格も多少は味方したかなと思っております(手前味噌ですが、寛解にいたってうれしいのでご容赦ください)。私は興味のあることとないことがはっきりしており、興味あることにはそれなりにストイックに打ち込めます(ただ、これが今回の病気の発生に対し悪い方向に作用したようですが)。そして、ストイックになりながらも、いいと思えばそれまでの考えや取り組みも変えていける柔軟さも多少は持っているのではと思っています。

 

それがあって入院中の筋トレの開始、スロトレの取り入れ、退院したときの散歩の早期の再開、筋トレの再開、有酸素運動と無酸素運動を組み合わせての取り入れ、瞑想の取り入れ等々をそれなりに継続してやれます。その他、食事が重要ですがまずは腸内環境を整えること、そして腎臓が片側しかありませんので腎臓に優しい食事や飲み物といったことを念頭に3食とも自分で作るなど、これらはさほど苦労なくやれます。

 

最後の要因は、やはりオプジーボとヤーボイといった免疫抗体治療を保険適用にて使えた、その時代にこの病気になったという幸運があったと思います。加えて、オプジーボとヤーボイが私の癌にあう薬剤だったという幸運もあるかと思います。仮にオプジーボを単体投与したとすると、その効果が表れるのはわずか2割程度の患者さんといわれています。それをヤーボイと併用することにより、効き目は確かに上がるのですが、それでもほぼすべての患者さんに効果ありというわけにはとてもいきません。

 

ただし、効果が表れる患者さんの中には、確かにそれなり、あるいはかなりの効果が現れるケースがあるようです。そして、いまだ研究中のようですが、この効き目の現れ方は、がん細胞の表面に存在する特定のタンパク質の性格(性状?)と関係するというような報告もあるようです。すなわち、私の癌細胞に存在したタンパク質はオプジーボとヤーボイに対してレスポンスがいい性格をもっていた可能性があります。これも、幸運ですね。

 

もちろん、私たちの体の中では健康な方も毎日、癌細胞は生まれています。ただ、通常はそれをもともともっている免疫システムが排除してくれます。私の体の中で生まれている癌細胞は、いま時点ではオプジーボとヤーボイによって強化された免疫システムが相当に(なにせ暴走していますので)抑えていると思いますが、その内に、普通の方と同じようなレベルで新たな癌細胞が生まれるようになります。

 

そしてもともとの性格といったようなこともありますので、日常生活や仕事のやり方に留意していても、やはり癌細胞が増えてきてしまうことはあるのではと、いまから思っております。結果、私の普通レベルにもどった免疫システムによる排除が間に合わず、癌となってしまう、すなわち再発してしまう、あるいは他の種類の癌が発生してしまう、という可能性は通常の方よりは高いであろうと考えています。

 

ただ、それでも、「なんとかなる、癌と共存できる」、あるいは「きっとうまくいく(映画のタイトルにありますが)」といった感覚が体の中にあります。今回の完全寛解を素直に喜ぶとともに、将来再発しても、なんとかなるでしょう。

 

長くなりました。引き続きよろしくお願いいたします。