電車の中で読むもの

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自宅からお店までは電車で通勤をしています。片道1時間半かかる移動中は暇なのではじめの頃はスマホをいじっていたのですが、どうにも目が疲れるので今では本をよく読むようになりました。本を読んでいるとスマホを使うより目は疲れませんし、内容に没頭しているとあっという間に駅に着きます。このときあんまり難しい本は電車の中で読みません、読むのは小説、紀行本、エッセイ、写真集の類です。

 

元々本を読むことは好きで、小学生のころは友達が休み時間になれば運動場へ駆け出していくところを私は図書室へ(もしくは飼育小屋へ)と早足で向かい、書棚から本を取り出しては誰もいない静かな図書室の床に座り込んで読んでいました。サッカーや外遊びを友達とすることはあっても当時は学級崩壊がニュースで取りざたされる時代でしたので、そんな殺伐とした教室やジャイアンたちから逃げるように、ほとんどの時間を飼育小屋・図書室・学校の裏山(友達と秘密基地をつくっていました)のどこかで過ごす少年だったと思います。今日は、そんな少年が大きくなった私が電車の中で読む好きな本、おすすめの本をみなさんに紹介します。なぜ急にって?ほら、秋ですからね。

 

旅をする木 星野道夫 著(文春文庫)

これは写真家・星野道夫さんがアラスカ先住民族や開拓時代にアラスカに入ってきた白人たち、そこに住む動物たちの過酷な極北の地での生と死を綴ったものです。星野さんは市川市ご出身で、78年に魅せられたアラスカへと渡った方です。シロクマやアザラシの写真で有名で、ご本人としてはカリブーにいたく魅せられていたようでした。アラスカ先住民族はモンゴロイドを起源に持つ民族なので、似たような顔つきの星野さんは非常に溶け込むのが早かったとか。残念なことにテレビ取材で訪れたロシア領カムチャツカ半島でグリズリーに襲われ、早すぎる死を迎えました。元々読書好きでもあった星野さんは温もり溢れる文章をお書きになる方で、星野さんがいかに自然と人を愛していたかを感じられる文章です。他にも「イニュニック」や「ノーザンライツ」、「森と氷河と鯨」などをお書きになっています。どれも私の好きな星野さんの本です。

 

きょうの猫村さん ほしよりこ 著(マガジンハウス)

本というよりも、漫画でした。でもおすすめしたいです。家政婦の猫、猫村ねこさんが家政婦の求人に応募し、猫だけども家事の腕前を認められて家庭崩壊寸前のお屋敷へお勤めします。タッチの優しい鉛筆画と猫好きならもだえる猫村さんの仕草の数々、それでいてお屋敷の複雑な人間関係は展開を読ませず、どうなることやらとドキドキしたりなるほどなぁと膝を打ったりこりゃいいなぁとほんわかしたりと、読み終える前に駅に着いてしまったら電車を降りるのを躊躇してしまうほどです。はやく続きを読みたくて、家に向かって歩く速度は気持ちに比例して速くなります。

 

言えないコトバ 益田ミリ 著(集英社文庫)

「おひや」「おもてなし」「結婚しないんですか?」「今の子供は…」などなど、世間ではよく耳にするけれど、いざ自分が言おうと思うと「これ自分が言っていいのかな、なんか言えないな」というコトバの数々についての、「あーそれわかるなぁ」というエッセイ集です。ボリュームは少ないのと淡々と進む内容なので2時間くらいあれば1冊読み終えられる気軽なエッセイ集。益田ミリさんのエッセイはさらっと読めて、それでいて胸に響くものがあり、特に好きな作家さんです。かしこまりすぎていなくて好きです。エッセイ以外に漫画もお書きになるので、そちらもおすすめです。「すーちゃん」シリーズ、「世界は終わらない」など。「すーちゃん」シリーズは「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」というタイトルで柴咲コウさん・真木よう子さん・寺島しのぶさん出演の映画にもなっています。

 

辺境・近境 村上春樹 著(新潮文庫)

文筆家として名高い村上春樹さんの本はこれが初めてです。実は、それもつい先月のことです。世界でも著名な作家さんというのも読んで知ったほどです。読みながら「へぇ!この人ってすごい人なんだなぁ!」と旅の内容とは別なことでも感心していました。小説は読んだことがないのでわかりませんが、紀行本は好きです。この本は村上さんがモンゴル、北米横断、メキシコの田舎町、瀬戸内海の無人島、故郷神戸などを旅した記録であり、一部依頼を受けて書いた記事も入っています。比喩表現の多さに、なるほど村上さんはかなり物知りで知識の幅が広いんだなぁと感心して読みつつも村上さんの人となりが垣間見えるような本書は非常に面白いです。読みながら行ったことのないモンゴルの草原や、砂ぼこりの舞う南米の景色を想像していました。1篇ずつは割と短いので気楽に読める1冊です。写真を集めた写真編もあるので、そちらもおすすめです。

 

みんな山が大好きだった 山際淳司 著(中央公論新社)

山に生き、山に去っていったアルピニストたちの人柄やその生きざま、死を追ったノンフィクションドキュメントです。死ぬかもしれないのになぜ山へ行くのか?なぜ山へ行くようになったのか?いかにして生き、いかにして生を終えたのかが山際さんの静かな情熱溢れる文体で書かれています。その一個人について自分だけでは絶対に知りえないことまでも本を読めばその人の一面を知ることができる、面白い本です。山登りをしない方でも楽しめる一冊かと思います。

 

ここまで紹介した本は日々の生活で硬くなった心と頭を柔らかくできそうなものです。お口に合うか合わないかのご判断は、お任せします。。。

 

最後に、先日山へ行ったときの景色を。山梨県の大菩薩嶺、牛奥ノ雁ヶ腹摺山周辺です。秋山、冬山は低山でも見事な景色が広がるので山々を歩くにはますます楽しい季節になってきました。

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この日は午前中だけよく富士山が見えました。午後にはガスが上がってきてすっかり隠れてしまいました。
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甲府市方面です。あいにく南アルプスは見えませんが、うっすらとしたもやの中に重なり合う低山が広がる景色は水墨画のようで幻想的です。
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10月初旬、2000m以下の山でも少しずつ紅葉が始まっていました。
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真っ赤になったモミジも綺麗ですが、緑が混じるモミジも美しいです。

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牛奥ノ雁ヶ腹摺山は北八ヶ岳のようにコケがとてもたくさん生えています。ふさふさとしたコケの上に降り重なる落葉はあるがままで美しいです。

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強風などで折れたのでしょう、薄暗い樹林帯の中で強い存在感を放っていました。

ではまた。
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