リザスト公式認定コンサルタントの衣川信之です。
「リザストの教科書」の基本連載です。経営とマーケティング視点で、リザストの使い方とリザスト起業成功法をわかりやすく説明していきます。
第2章 リザーブストックの初期設定
2ー1 まず、ゴールありき その3(基本連載)起業の始め方とバリューチェーンの作り方
特にスモールビジネスの経営の領域で、起業の神様と呼ばれることが多いマイケル・E・ガーバーに、「はじめの一歩を踏み出そう 成功する人たちの起業術」という有名な本があります。原題は「The E-Myth Revisited: Why Most Small Businesses Don't Work and What to Do About It」で、「起業家の神話を再訪。ほとんどのスモールビジネスが機能しないのはなぜか、どうすればいいのか」というズバリ直球のタイトルです。
E-Mythは、Entrepreneur Myth(起業家の神話)の略で、起業家が信じ込んでいるが真実ではない思い違いのことを、起業家の「神話」と呼んでいます。E-Myth はガーバーが創った会社名でもあり、最初の著作のタイトル(日本語版は絶版)にもなっています。原著の E-Myth シリーズの全てが邦訳されているわけではありませんが、 E-Myth シリーズは、スモールビジネスにも、いわゆる仕組み化、仕組み経営を導入できる視点と方法を、根気よく伝え続けてくれています。
結論から言えば(こうした世界水準のうまくいくビジネスの考え方を教えてもらっていれば)、最初から「仕組み化」の発想を持って、自社の経営資源を見つけ、独自資源に育て上げ、自社のゴールにふさわしい戦略的ポジショニングを行い、バリューチェーンを築き上げ、効果的なマーケティングができればいいのです。
しかしながら、十分な知識、経験、準備なくスタートすることも多い起業家にとっては、いわば走り出しながら、こうした大切なことを学び続けるよりほかありません。今は、十分な力がなくても、ゴールがあるから、未来の経営者となった自分が進むべき方角を指し示してくれるのだと思います。
「はじめの一歩を踏み出そう」は、十分な知識、経験、準備なく起業をした主人公が、素晴らしい事業を作るために欠かせない考え方と事業の成長過程を学んでいく物語です。
そうはいっても、基本的なバリューチェーン(事業のコア)が「弾み車」(ジム・コリンズ)になるような構想を持ってスタートできるぐらいの経営知識が、十分にある起業家はほとんどいないことも事実です。十分な準備ができたから起業するのではなく、とにかく起業家の物語が始まってしまうことも多いのですから、仕方がないです。そうだとすると、「はじめの一歩を踏み出そう」の主人公サラの課題は、経営者未満の起業家が同書を読むだけでは十分に解決されないでしょう。
多くの個人事業主が直面している課題は、潜在市場が見えない状態で(見えていれば苦労しない)、どうしたら市場のニーズをベネフィットに変換して優れたアイデアを形にできるのか、その優れたアイデアを生み出し続ける「初期状態のバリューチェーン」をどうしたら作ることができるのかということでしょう。
ある程度成功したからこそ生まれてくるボトルネックの解消や、さらにその先の成功を目指す事業の仕組み化は、初期状態のバリューチェーンを作ることができて、事業の成長余地が生まれた、次の段階の課題だと思われます。
では、起業家のバリューチェーンを作ってみましょう。レストランのバリューチェーンは、考えつきやすい。例がたくさんあるからです。自動車会社のバリューチェーンも、考えつきやすい。自動車会社の経営は実際は超が付くほど難しいと思いますが、バリューチェーンの外形自体を想像することは、それほど難しくありません。
それでは、アマゾンのバリューチェーンは、どうなっているのでしょうか?これは、かなり難しいと思います。考えたことがないからです。また、物理空間に店舗や工場があるレストランや自動車会社とは異なり、情報空間に存在するインターネットを存分に活用したビジネスモデルであるため、アマゾンのバリューチェーンを考えるにはかなりの知識と想像力を要します。では、コンビニエンスストアのバリューチェーンは、どうなっているでしょうか?
以前は、物理空間のたくさんの地域に存在する店舗を束ねた高度な流通のシステムを基盤にしていたと考えられますが、現代ではここにインターネットやコンピュータという情報空間のシステムが加わった形になっていますね。ユニクロはどうでしょうか?
そうです。現代の事業は、規模の大小を問わず、物理空間で可視化しやすいバリューチェーンだけではなく、限界費用ゼロ社会のメリットを活かせる情報空間でのバリューチェーンが加わった形になるのです。現代の経営、事業成功には、システムのふるまいをよく理解した複雑で高度な知識が必要ですが、ゴール側から構想されたバリューチェーンが価値創造と戦略立案の起点になることに変わりはありません。
現代の経営、事業成功には、システムのふるまいをよく理解した複雑で高度な知識が必要であるからこそ、物事の外形から入らずに、シンプルな本質に立ち返ることが重要です。目に見えるものは複雑ですが、目に見えない(システムの根本にある)ものはシンプルです。次回は、個人事業主の事業成功を導く、シンプルな、バリューチェーンの作り方を論じていきましょう。
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