オペラ「魔笛」~あいちトリエンナーレ2016プロデュースオペラ | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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≪あいちトリエンナーレ2016≫

今日の『愛知芸術文化センター会場』の後半は、

『2階の大ホール』


あいちトリエンナーレ2016プロデュースオペラ「魔笛」

今回のポイントは
『ダンサーとして演出家として、また美術・照明・衣裳などを自ら手掛ける美術家として、独創的なセンスで世界的に高く評価されている勅使川原三郎と、豊かな音楽的才能で注目を集めるイタリア人の若手指揮者ガエタノ・デスピノーサが、モーツァルトが最後に制作したオペラ「魔笛」の新たな魅力を創り出します。』
と、ある。トリエンナーレオペラは前回、3年前の 蝶々夫人に続いて2度目になります。

あいちトリエンナーレ2016プロデュースオペラ
🎵W.A.モーツァルト作曲オペラ「魔笛」(全2幕、ドイツ語上演、字幕付、ナレーションは日本語)



15時~
愛知県芸術劇場大ホール

指揮:ガエタノ・デスピノーサ
演出・装置・照明・衣裳:勅使川原三郎
賢者ザラストロ:妻屋秀和
夜の女王:髙橋維
王子タミーノ:鈴木准
王女パミーナ:森谷真理
鳥刺しパパゲーノ:宮本益光
弁者&神官Ⅰ:小森輝彦
モノスタトゥス:青柳素晴

ダンサー:佐東利穂子、東京バレエ団
ナレーション:佐東利穂子
合唱:愛知県芸術劇場合唱団
管弦楽:名古屋フィルハーモニー交響楽団


4階正面1列中央(B席)で観ました。
ここは上に5階の天井はなく、舞台もちょっぴり遠いなりにも しっかり見えました。

序曲が始まって、ハッとしたのはオケの中から対旋律がしっかりと聴こえてくること。もちろん上の席ということもありますが、ピットのオケの配置が 両翼で下手側にチェロがいたこと。そのため 掛け合いが左右から明瞭に響いてきました。なお、木管は下手弦の後ろ、金管は上手弦の後ろでした。
今日は名古屋フィル、デスピノーザさんの力もありますが、とても丁寧で細かい演奏が光っていました。旋律の3度下を明瞭に聴かせたり、特定の楽器を強調させたり、テンポを大きく動かしたり。特にパパパの二重唱でのファゴットの残しやパパパの入りをものすごく遅いテンポから始めたり!

歌手は鈴木さん、清楚な声を期待したのですが、この大きなホールでは力不足を感じられたのが残念。
光っていたのはパパゲーノの宮本さんとパミーナの森谷さん。特に後者の第2幕のアリアは絶品、今日の白眉でした。
その他、妻屋さんの低音の魅力はこの大きなホールでも十分。
大人を使った童子は衣装?のおかげて違和感がなくなり、ビブラートを抑えた安定した歌唱で安心。
それに対して侍女はビブラートガンガンで、最初の三重唱の出だしの不安定な響きには…

そして演出が私的には問題でした。

まず衣装。
マシュマロマンのような 可愛い童子!
コケシそっくりの武士!
そして(ムーミンの)ニョロニョロのようなモノスタトス!
マシュマロマンなので大人が入っても違和感なしで そこは良かったのですが、ゆるキャラみたいな動きも、童子??? って。後ろのお嬢さんはカーテンコールで「可愛い」と叫んでいましたが…
あとは腕の無い武士と変な手のモノスタトス。こんな生き物?に最後、夜の女王が「パミーナと結婚させる」ってあり得ない!
それならば合唱団に ピグモンやらカネゴンを着せてくれば話題になるのでは…と弾けた考えに行き着きそうでした。

そして期待の東京バレエ団ですが、第1幕はそこそこ歌唱のバックで踊ってはいましたが、第2幕では出番がほとんど無し。小さなパパゲーノ…でも子どもを含めてバレエの登場無しは寂しかったです。
トリエンナーレで多様な芸術の融合を期待しただけに…

舞台装着は左右と中央に前後に3つずつの上から吊るされた輪を角度を変えたりしながらの表現。第2幕になると その前方に大きな輪がもうひとつ出現。上方からの照明で出来る影をも利用した舞台を作っていました。ただ、私にしてみれば、もっと計算をして、はっきりとした影の動きを使って欲しかったなぁ ということも。

そして今回 最も疑問に感じたのは、歌手の台詞を全てカットして、ダンサーがナレーションすることで ストーリーをすすめたこと。その語りも説明調で、なんとも木に竹を接いだような感じがしたのは 私だけ? 最初、ナレーションが入った時は、わかりやすい!と思ったのですが、それは最初だけ。どうにも格好つかない場面が多々あったのが残念でした。

今回のこのオペラ、まるでオペラのアリア抜粋盤を解説を読みながら聴いているような感じでした。
オペラを観に行くって意気込んで行くと、やられます。私はバレエを期待したので、第1幕はそこそこ楽しめたのですが…

ホールから出るとすでに夕闇。



消化不良気味だったので、帰りに栄の地下街で夕食。味噌カツ屋さんが飲み客で混んでいたので、お隣、先週に引き続き『名古屋セット』(カレーうどん、味噌串カツ、天むす)



お腹を満たして名古屋駅に着けば、3連休で新幹線は超混雑。携帯の電源ピンチだったので『こだま』の端の席(コンセントつき)に座り、ゆっくり。これを書いていたら、新横浜に着いちゃった!