「はいどん楽遊会」その五:雑司谷拝鈍亭 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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~刻みの魅力~

世間は選挙。初めて出口調査(NHK)を受けました。ちゃんとやっているんですね。暖かかったからいいようなものの、霙でも降ったら大変だろうなぁ~
今日はその足で都内へ。
冬の山用ズボンを買う予定でしたが、10000円以内で購入できる(安売りの)ものが無く、断念。代わりではなく、誘惑に負けて 本とCDを購入。時間つぶしがマック。


「はいどん楽遊会」その五

17時~
雑司谷拝鈍亭

ヴァイオリン:若松夏美
ヴァイオリン:竹嶋祐子
ヴィオラ:森田芳子
チェロ:鈴木秀美 


今日は3曲ともスコアを持参で行ったのに、作品17は違った番号を入れてきてしまう失態。似ているから、取ったつもりが 隣のを引き抜いて気づかず ってヤツ。

で、今日の曲は前回に引き続き「1番」を3曲。

最初に
🎵F.J.Haydn:弦楽四重奏曲 イ長調 作品2-1
F.J.Haydnが30歳頃に書いた、まだまだ隙間だらけの作品。弦楽器4部で作曲されていますが、元来はヴァイオリンパートでも最大3人程度(3つの音を重ねている箇所がいくつかあるため)の、弦楽合奏の曲のような感じ。現在では最初期の弦楽四重奏曲として分類されているので、そのように演奏されることが多い作品。
5楽章からなるこの曲の一番の魅力は、第1ヴァイオリンが歌う、美しい第3楽章。
この曲は急-メヌエット-緩-メヌエット-急の構成。
第1ヴァイオリン中心に旋律が歌い、他の3つのパートは伴奏中心で、という構成。
鈴木さんいわく
「第1楽章の冒頭はF.J.Haydnらしい童謡みたいにかわいい主題。それを使って1つの楽章を組み立てるのがF.J.Haydnの魅力」
その通り。

🎵F.J.Haydn:弦楽四重奏曲 ホ長調 作品17-1
F.J.Haydn39歳頃の作品。メヌエットを第2楽章に置いた4楽章形式の曲。
この作品になると、楽器ごとの対話も多くなり、緻密な構成による安定感が気持ちよい。古典派が苦手、もしくは同じように聞こえる人だと、気持ち良く眠れることになる。
第1ヴァイオリンには極限までの高音を要求という、当時の宮廷のヴァイオリン奏者の高い技術を反映させた第1楽章。
F.J.Haydnらしい落ち着いたメヌエット。
充実した響きと第2ヴァイオリンとの綾が魅力の、Adagioの第3楽章。
そして疾走する第4楽章。
すでにF.J.Haydnの魅力がいっぱい詰まっていました。

最後は
🎵F.J.Haydn:弦楽四重奏曲 ト長調 作品54-1
鈴木さんいわく
「この曲は『刻み』がポイント」
普通は下3つが刻んで、第1ヴァイオリンだけが旋律ですが、この曲は みんなで『刻む』。
第1楽章はソナタ形式ですが、呈示部の途中から ゆらゆらとした転調があり、今までのF.J.Haydnとは違う魅力も感じられました。
『刻み』の音楽の構築が見事な第2楽章。反復記号の無い通作形式でも 十分なほど、充実した作品。アレグレットの6/8という、異例ともいえる楽章。
Trioの前半、第1ヴァイオリンを完全に休ませるという異例の形式を持つ、メヌエットの第3楽章。
そしてF.J.Haydnらしい 明るい、まだ模索中といつ感じもする、ロンド風ソナタ形式の終楽章。
最後の最後 おまけのppの3つの音を聴けば、これぞF.J.Haydn。終わった瞬間 みんなが笑顔になれる音楽。
もちろん笑顔を作れる演奏だからこそ。

今日は最後にマニアックなアンコールがついて楽しかったです。
少し早いクリスマスプレゼントでした。