小倉 貴久子 フォルテピアノリサイタル | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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旅と鉄道と温泉が大好き。
そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
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~幻想的月光~

天気が良ければ昨日から日光に行こうと思ったのですが、あいにくの天気で中止。
で 今日は栃木に日帰り。
浅草から東武で栃木県栃木市西方町の東武金崎駅へ。
東武金崎駅は1時間に1本程度しか電車が止まらないらしいので、少し早めに行こうとしたら 浅草で待ち時間0で会津田島行きに乗れ、そのまま到着というラッキー。
中学時代 尾瀬に入る時に、鬼怒川からバスで会津田島へ行ったのはもう過去のこと。便利になったものですが、鬼怒川~会津田島の間はまだ乗ったことがありません。

利根川を渡り、男体山とその左奥に 日光白根山が名前の通り 白い嶺が輝いているのが近くなると、 目的地 東武金崎駅に到着。思ったより早かった。
時間があったので バイパス沿いの道の駅で町の情報を収集、その後 町の街道沿いの地元のレストランで昼食。トンカツ定食の厚いのに歓喜。衣を含めた厚さが人差し指の第2関節まで。超満腹。あとは寝るだけ~ みたいで行ったのが…


小倉 貴久子 フォルテピアノリサイタル

15時~
西方音楽館 木漏れ日ホール


大きな個人宅のピアノ教室のホール。
60人~70人で満杯になる、演奏者の息づかいが感じられる 宮廷のサロンと同じような大きさの空間。

プログラムはウィーン古典派を生誕順に並べた私好みのもの。
最初は
🎵シュチェパーン(1726~1797): ソナタ ヘ長調 作品1-3
マリー=アントワネットの音楽教師として歴史に名前が出てくる。
古典的な3楽章形式。導入にはピッタリの耳に優しい曲。

演奏のあと 小倉さんの丁寧なお話。楽器のことや曲のこと。すべての曲の合間に いろいろなお話を伺うことができました。

🎵F.J.Haydn(1732~1809) :ソナタ第46番 変イ長調
調の関係もありますが、幻想的雰囲気のある曲。
大きな第1楽章のあとに、 えもいわれぬ浮遊感がなんともいえず心地よい第2楽章。ロマン派の足音が聞こえてきます。
譜面に忠実な等身大の姿の演奏。好演。

🎵コジェルフ(1747~1818): ソナタ ト短調 作品15-1
序奏に続く主部の大規模な構成は、古典的な規模を超えるもの。緊張感漂うこの楽章は 今日一番の充実した音楽。
それに続く明るい第2(終)楽章は、古典の典型の楽しい曲。

休憩には、コーヒーのサービスに加え、地元の五家寶まで。美味でした。

後半は
🎵W.A.Mozart(1756~1791) :ソナタ 変ロ長調 K.333
有名なこの曲。繰り返しでの装飾を期待したものの、今日はできる限り楽譜に忠実な演奏を行っていました。
音楽教室での先生の、模範演奏会的な部分もあったからではないでしょうか。
しかし第3楽章では、小さなカデンツァも入れた、 素敵なW.A.Mozartが聴けました。

最後は
🎵L.van Beethoven(1770~1827) :ソナタ 嬰ハ短調 作品27-2『月光』
有名なこの曲、小倉さんは第1楽章のペダルの扱いについて語りました。
Beethovenはダンパーを上げたままで、と書いてある。だけど今の演奏は…
そして開始された第1楽章は もちろんダンパーを開放。そこには驚くべき響き、時には背中がよじれそうな微妙な揺れがあったりと… それはもう C.Debussyか みたいになっていました。ただ これを現代のピアノで大きな(300人入るくらいの)ホールでやったら、モヤモヤが大きくなりすぎちゃうでしょう。
それとは対照的に、第3楽章は輪郭のハッキリした清々しい音楽が気持ち良かったです。

アンコールに フォルテピアノにピッタリの、
🎵L.van Beethoven:『悲愴』ソナタ~2楽章
絶品でした。

素敵な演奏会、まだ帰宅まで1時間かかりそうですが、日帰りでも行って良かったです。
次回は必ず日光にも行くぞ~。