フェスタサマーミューザ:東京シティフィル | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

~パイナップル畑でつかまえて?~

今日は上手く仕事を休みにして、図書館→音楽会という流れ。
音楽会はお隣、川崎で行われているフェスタサマーミューザ。
今日は東京シティフィル。

休みを取った理由は、15時からのリハーサル見学。
ホールでのゲネプロも楽しんじゃいました。

今日のプログラムは
🎵W.A.Mozart:「フィガロの結婚」序曲
🎵W.A.Mozart:クラリネット協奏曲(ヴィオラ独奏版) イ長調
🎵L.van Beethoven:交響曲第3番 変ホ長調『英雄』

指揮は音楽監督の宮本 文昭
ヴィオラは川本 嘉子

リハは自由席だから曲によって位置を変えるつもりで…
ホールに入ると、既に宮本さんが木管のところで打ち合わせ中。英雄のフレーズだ。ヴァイオリン奏者も揃ってさらっているから『英雄』の練習からだ。ならば舞台下手(ヴァイオリンの)後ろ側に。上手後ろは 私の好きな場所(今日もそこ)なので、逆側での音を と。舞台後ろだと指揮者の指示が聞きとれるし…

したらなんと、プログラム通りにゲネプロを進めるとのこと。協奏曲は正面で聴きたかったのに…失敗。

まずは前半2曲を、ヴァイオリンの後ろ側の席で見学。
フィガロはまだまだの仕上がり。かなり基本的な部分の注意もあって、大丈夫って感じも。
協奏曲はほとんど完成した状態で、ほとんど止めずに流した感じ。スコア持参でにらめっこして聴けました。クラリネットをヴィオラにしての演奏。音は変えなかったのですが、弦だけあって 倍音が豊かに鳴ったのはプラス。ただ私の耳には、ビブラートの音の揺れがなかなか馴染まなかった。リハーサルで慣れた耳で本番を聴けたので、それは良かった。
英雄は奥のブロックに移動。ホルンの真後ろ、バランス最悪の席。でも普段は耳に入らない第2、第3、4のホルンの音までもじっくり聴けたのは収穫。リハーサルもポイントを押さえた修正をはかりながら…。ゲネプロならではのチェック。どのような演奏をつくりたいのかの要点が良く見えてきて、 こちらも勉強になりました。

2時間の休憩で19時~演奏会。
その前に宮本さんの20分間のプレトークがありました。
ご自身の音楽への取り組みのお話。オーボエ吹きの時代から、今 指揮に変わってなど… お話がうまくて楽しい。
来年、この任期が終わったら指揮も辞めるとまでおっしゃっていました。沖縄でパイナップル畑の農家やりたいとも。

そして演奏会開始。
まずは『フィガロ』
心配したことなく、元気いっぱいの堂々とした演奏。弦も英雄交響曲と同じ14型の大編成ですから、良く鳴る。

次は
『クラリネット協奏曲』
リハの時に第2ヴァイオリンが聴こえなかったのは、後ろだから…と思っていたのですが、お気に入りの上手後ろの席にいるのに、やっぱり弱い。第1ヴァイオリンはしっかり聴こえるのに…
ヴァイオリンの掛け合いが全く生きていない。W.A.Mozartの音楽はソロだけ生きてりゃいいっていう音楽ではないだけに、これは残念でした。
第2楽章はテンポを極限まで落としたスタイル。川本さんにサポートする姿勢がよくわかる演奏だったことから、これはソロの弾きたいテンポだったのでしょう。遅いテンポが選べるのは、弦楽器ならでは かもしれません。
そして第2楽章の再現部では、極限までのpp。リハでは伴奏のヴァイオリンにソロを聴けと言っていた部分。この弱音の選択も 弦楽器ならでは。リードをそこまで小さな音で振動させることができませんから。
このような美しさを追求した第2楽章は、吹くから弾くに変わったことでの 新たな音楽が聴けました。

休憩後
『英雄交響曲』
熱い演奏でした。
リズムを詰めて切迫感を煽ったりと、リハでの1つ1つの宮本さんの言葉が、音楽となって積み上がっていくのが良くわかる。
第2楽章は じっくり、どっしり始めたのですが、 気合いが入って だんだんとテンポが上がっていくところが、生きている音楽って感じ。リハでの分奏を徹底してやったことから、その違いがなおさらでした。
第4楽章はリハで丁寧にまとめたところが、表情豊かに形作られていきました。テンポが遅くなった時のクラリネットソロの歌が素敵でした。

L.van Beethovenで苦手だった英雄交響曲が、かなり身近に感じられるようになりました。
リハーサルというか宮本さんのおかげです。

そんな英雄交響曲、オケのメンバーを見てビックリ。ヴィオラの一番奥に、1人で譜面台を持っている奏者がいる。服装がちょっぴり違う。そう、なんと川本さんがソロのドレスのままオケに入って弾いたのです。リハーサルでは、みんな私服だし、気がつかなかった。いたのだろうか?
川本さんは、水戸室内管のメンバーですから(確かサイトウキネンも)英雄交響曲は弾いたことがあるのでしょうね。そしてどちらも宮本さんもメンバーだったことから考えれば、これは納得って感じです。
こんなサプライズ、古楽では良くありますが、以前 PAC(兵庫県芸)で、チェンバロのソロで 曽根さんが F.J.Haydnの交響曲の通奏低音で座っていた以来かもしれません

夜になっても暑くてどうしましょう、って状態なのに、熱い演奏を聴いて さらに火照って帰ることになりました。

アンコールに
W.A.Mozart ディヴェルティメント ヘ長調 K.138~第1楽章
これも熱すぎる演奏でした。

激辛好きな方は、宮本さんが指揮している間に ぜひ。
おすすめです!