雑司谷拝鈍亭 ニコラウスの館 Ⅵ | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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旅と鉄道と温泉が大好き。
そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

今日は午後から都内へ。
お友達と有楽町線 護国寺駅で待ち合わせ。まず 向かったのは
『鳩山会館』


ここは内閣総理大臣、鳩山一郎の建てた西洋建築の建物と庭園を一般公開しているところ。
鳩山威一朗~鳩山由紀夫という政治家も、パーティーなどで利用したというところ。私的には、建物と庭園に興味をもって行った次第。政治には一切無関心なもので…


そんな建物内部には、鳩山家の政治の歴史が詰まった資料が展示されていました。鳩山由紀夫総理大臣時代に、オバマ大統領からもらった贈り物など、素人目でも話題にできそうなものがありました。



その後、ファミレスでお昼と時間調整をして…


雑司谷拝鈍亭 ニコラウスの館 Ⅵ

17時~
雑司谷拝鈍亭

トリオ・シュタットルマン
バリトン:坂本龍右
ヴィオラ:朝吹園子
ウィーン式コントラバス:菅間周子
 



年2回のバリトン三重奏曲の回、こちらは音楽に併せて カルチャーセンターレベルのトークも楽しみ。今回のテーマは
『メヌエット大解剖』
バリトン三重奏曲に 必ず組み入れられたメヌエットについて、坂本さんの詳細なレクチャーが曲のあいまに組み入れられました。

今回は作曲順ではなく、演奏者が組み替えた順で聴きました。

前半 最初の曲は
🎵ハイドン:バリトン三重奏曲第108番 イ長調 Hob.XI-108
モデラートの第1楽章はバリトンとヴィオラの対話がしっかりと楽しめました。そしてコントラバスの表情豊かな柔らかな響きがいい。最初の楽章から充実した響きが聴けました。
第2楽章は洗練さとは真逆な(初期のバリトントリオと似た)私の好みのメヌエット。今回は速めのテンポ設定。それに対して短調のトリオの粋な対比がハイドンらしい。ヴィオラとバリトンの対話がしっかり聴けました。
フィナーレ・アレグロの第3楽章。田園地帯をスーっと吹いていく風の様に自然な響き。中間部ではバリトンの共鳴弦のピチカートの色彩のコントラストが絶妙でした。
なお、坂本さんいわく「この曲が共鳴弦のピチカートを使った最後の作品」と。

続いて
🎵ハイドン:バリトン三重奏曲第31番 ニ長調 Hob.XI-31
アダージョの第1楽章は、バリトンとともにヴィオラの音色も旋律に加わる豊かな響きが堪能できました。展開部で短調に傾く色合いも美しい。コーダではバリトンのカデンツァ! 坂本さんの表情豊かなバリトンが最高でした✨
アレグロの第2楽章は軽快でとっても心地好い音楽。聴いていて幸せになれる音楽。この楽章でも後半に巧みなピチカートのアインガングが素敵でした。
メヌエットの第3楽章。これってカノン?と思わせる出だしが印象的。それに対してpでひそひそ話のようなトリオ。コントラバスのあいの手がいい感じ。

前半最後は
🎵ハイドン:バリトン三重奏曲第67番 イ長調 Hob.XI-67
この作品は第1楽章がアレグロ。滑らかな旋律が心地好かったです。
メヌエットの第2楽章は強弱の対比をはっきりとしたメリハリのある演奏が聴けました。それに対してトリオではバリトンの共鳴弦のピチカートが 優雅な空間をつくりました。それに乗る朝吹さんのヴィオラが素敵でした。
アレグロの第3楽章は速いテンポの中でのバリトンの共鳴弦のピチカートが幻想的に響いた色合いが絶妙でした。 

休憩のあとのプログラム後半は
🎵ハイドン:バリトン三重奏曲第6番 イ長調 Hob.XI-6
アダージョの第1楽章は変奏曲形式。主題は前後5小節ずつの反復つきののどかな曲。バリトンが細かく(16分音符で)動く第1変奏。特にヴィオラとバリトンの3度進行の響きが(民族音楽風のようにも聞こえる)とっても美しい第2変奏は心に迫るものがありました。6連符の細かな同音反復がレチタティーヴォのようにも聞こえる第3変奏。主題をバリトンが弾き ヴィオラが『ミドソド』で波を送りながら支える第4変奏は朝吹さんの刻みが良いスパイスに。ただ、今回3人がどのように反復時に(変奏曲を)さらに変奏を加えるか と楽しみに待っていたのですが、なんとこの楽章は反復をカット。めちゃ残念😭
第2楽章はメヌエット。一瞬、カノンかと思わせての、おっとりとしたハイドンらしい愉しいメヌエット。ヴィオラとチェロが眠りを誘うようなフワーっとした響きを醸したトリオが魅力的でしたが、それ以上に目を覚まさせたのは、バスが反復後、ピチカートに変えた驚きの変化。トリオ後半も同様の動きのところでピチカートを待てば、空振り。菅間さんにやられました😅←打ち上げで確認したところ、これは咄嗟に入れたアドリブとのこと。納得!
フィナーレと記された第3楽章。ヴィオラを仲立ちにして3つの楽器が絡みながら、あっという間に駆け抜けました。

続いて
🎵ハイドン:バリトン三重奏曲第92番 ト長調 Hob.XI-92
ソナタ形式の軽快なアレグロの第1楽章。ヴィオラの高く絡む音が印象的でした。
速めのテンポが似合うメヌエットの第2楽章。それに対して東欧の民族色を醸し出すトリオ。その対比は鮮やかでした。
プレストの第3楽章。フーガ?って思わせる出だし。でもここはとってもコンパクトなソナタ形式でした。かわいい音楽。

今日のコンサートの締めは
🎵ハイドン:バリトン三重奏曲第42番 ニ長調 Hob.XI-42
この演奏者の3人には印象深い作品とのこと。それで今日の締めに選んだとのこと。
この作品はバリトントリオの中期の作品らしく、バリトンの共鳴弦を弾く効果を存分に使った作品。
カンタービレと書かれた第1楽章。ゆったりと歌う音楽。コントラバスの合いの手や、ヴィオラの旋律にバリトンの共鳴弦の絡まりが絶妙。音色的には今日の白眉。この楽章はコーダにカデンツァがありました。バリトンは弦を擦りながら、ピチカートを加えるというものすごい技巧も。とっても温かい音楽に、心が洗われる様。
アレグロの第2楽章も人懐こい温かな旋律が魅力。共鳴弦のピチカートを効かせながら、3つの楽器が対等に対話をしながら音楽を作りました。
優雅なメヌエットの第3楽章。トリオとの対比はちょっぴり弱め。どちらもバリトンのピチカートが旋律の合いの手で加えられました。耳では『優雅』と感じるだけですが、坂本さん 大忙し!

アンコールは
🎵ベートーヴェン:メヌエット
初期のピアノをバリトン三重奏に編曲しての演奏。その優雅な編曲は、ウィーンのワルツに近い響きに聴こえました。
ハイドンを6曲聴いた耳には、とっても新鮮でした!この選曲の妙には感服です。
なお、アンコールの前に坂本さんがお話されたメヌエットのレクチャーに、ラヴェルの『ハイドンの名によるメヌエット』について言及されたので、バリトン三重奏でラヴェルが聴ける?と、ちょっぴり期待したのですが、それは見事に肩透かしされちゃいました。

そんな坂本さんの曲のあいまに話された(演奏もされた)レクチャーは、
・モーツァルトの最初の作曲はメヌエットからであった。練習の曲(弾く、作曲とも)として 最適な形式であった。
・メヌエットはフランス起源の音楽である。
・メヌエットは宮廷をイメージさせる代表的音楽である(モーツァルトの『ドン・ジョバンニ』を例にして。
・フランス起源のメヌエットは テンポが遅め、イタリア起源のメヌエットはきびきびしている。
・古典派初期は1拍目開始のメヌエットも多かったのが、時代が進むにつれ、アウフタクト開始のメヌエットが多くなる。アウフタクトのリズムに意味を持たせてくる。
等々
なんと、拝鈍亭でバッハやモーツァルトが演奏されちゃいました😲

終演後は、今日の演奏家の3人に拝鈍亭の住職さんと ハイドンのお好きな方々を交えての打ち上げに同席。音楽(以外)の楽しいお話もいっぱい聞かせていただきました🍷