プロジェクトQ・第15章~『キンダーブックの90年』展~第29回 成人の日コンサート2018 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今日は午前中からスタート。お友達と10時過ぎに上野で待ち合わせ。


プロジェクトQ・第15章~若いクァルテット、ハイドンに挑戦する
【トライアル・コンサート】3日目

11時~
上野学園 石橋メモリアルホール

3日目の今日は
チェルカトーレ弦楽四重奏団
タレイア・クァルテット
の2団体。

トライアル・コンサートとは、若手6団体が2月の本コンサートに向けて曲を仕上げていく中で、11月のマスタークラスのあと、聴衆を入れたかたちで試演をするという場。一昨日から1日2団体ずつ演奏を公開した、その最終日。
私のお友だちが先日、名古屋のホールでタレイア・クァルテットを聴いて「絶対いいから…」ということと、「ハイドンを演奏するのに無視するなんて許されない!」と反論できない論法で誘われた次第。
このシリーズは以前から知ってはいたものの、初めての参加になりました。
それなら…と、気合いを入れて今日はスコア持参で聴きました。

まず最初は
チェルカトーレ弦楽四重奏団
〔関 朋岳/秋山愛乃(Vn) 中村詩子(Va) 牟田口遥香(Vc)〕
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 第75番 ト長調 作品76-1(1797)
結成して1年足らずという、音大・音高生のアンサンブル。
第1楽章、アウフタクトからの第1主題の最初の音を溜め気味に処理はしているものの、それがどうにも音楽の推進力を弱めしまったのが残念。反復をしたあとは 溜めを感じさせない素直な演奏になってはいましたが…
第2楽章はじっくり聴かせる音楽。後半、フレーズの受け渡しで ヴィオラがちょっぴり浮き出てこなかったのが残念。
ハイドンの諧謔精神爆発の第3楽章は、軽快なテンポではあるのですが、それに反応しきれずにちょっぴり真面目すぎ。反復したあと自由に仕掛けるくらいの遊びができなきゃ この作品に取り組んじゃダメ。演奏者が一番楽しまなきゃ!
第4楽章は短調と長調の対比はきれいに出ていましたが、もう少し楽器の対話がはっきり聴こえると良かったかも。
10代の若手の結成1年未満の団体と考えれば、安定した音で弾き切ったレベルは、見事! まずは音のまとめ方の勉強、そののちは長いスパンで見ていきたいと思いました。

続いて
タレイア・クァルテット
〔山田香子/大澤理菜子(Vn) 渡部咲耶(Va) 石崎美雨(Vc)〕
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 第70番 ニ長調 作品71-2(1793)
序奏の最初の音から 4人のまとまった響きで 一発で魅了。
アレグロの部分も推進力いっぱいの力強い演奏。楽器の受け渡しもとてもスムーズ。一体感溢れる文句なしの演奏。反復省略は 下手に同じ演奏を2回聴くよりは良かったですが、古典派の反復をマスターした際には、是非とも繰り返しをした演奏を聴いてみたいですね。
アダージョの第2楽章は美しいカンタービレが綺麗。第1ヴァイオリンを支える他の3つの楽器の一体感が良かったです。
メヌエットの第3楽章では、反復後の第1ヴァイオリンからの装飾付加が生きていました。同じフレーズをヴィオラが奏する時に 第1ヴァイオリンと同じ装飾を加えるなど、アグレッシヴさも感じられました。
終楽章も前半のアレグレットでの構成感のあるアンサンブルのあと、ゴーダのアレグロでの生き生きとした生命力への移行は見事でした。

お友達のお話通り、十分に演奏会で聴かせられるレベルの演奏。大満足でした。

今日の2団体の本番は2月24日。池袋でのオペラのあと、もし間に合えば 今日のお友だちとともに行こうということになりました。

上野駅でお友だちとわかれて、またまたそのお友だちから推薦された今度は展覧会へ。


『キンダーブックの90年』展
印刷博物館〈トッパンホール下〉


に、行ってきました。

キンダーブックはご存知の通り、幼稚園、保育園向きの逐次刊行物。戦前からの書籍の展示を見ながら、世相の変化と印刷技術と編集の推移を眺めるというもの。
展示は3部で
・観察絵本 キンダーブックの誕生
・キンダーブックで見る昭和史
・表現の変遷
私にはどの展示も 目を丸くしながら観続けました。
戦争前夜やその時期のものについては、表紙や見開きの頁だけでなく、内容や方向性まで、つまり全編を読みたかったですね。
また、絵本の展覧会らしく、作者ごとに その原画と印刷された本との比較展示もあり、これは 文章の挿入の配置など、とても興味深く観ることができました。

特別展のあと、印刷についての一般展示を観る時間が無くなったのは、予想はしていたものの、展示内容の充実していることもあって、残念でした。

今回は売店で図録を購入しちゃいました。
急いで 飯田橋から南北線で溜池山王まで移動。


第29回 成人の日コンサート2018

15時~
サントリーホール 大ホール



成人の日コンサートなので、聴衆は若い人達が多いのかと思えば、平均年齢はかなり高め。振袖の華やかさを期待するも、同じブロックに10人くらいの新成人はいたものの、他には数えるほど。『新成人のための』という企画にはまったく乗れていない。
そういえば 今から20~40年くらい前の成人の日というと、横浜では 神奈川県民ホールでNHK交響楽団の公演が組まれていました。私も自分の成人の日の年にも行きました。成人式のあと 中学校のお友達との食事を振って 県民ホールに行ったその音楽会が、なんと今までのナンバー1の演奏会(マルケヴィッチさんの 悲愴と展覧会の絵)。
そんな成人の日の演奏会。サントリーホールの成人の日コンサートに初めて行きました。

座席はRB外側の5列目。サントリーホールのサイドブロックでは一番好きなところ。

舞台の後ろには金屏風が設え、舞台中央に能舞台の広さの方型の舞台を組んで布が掛けられた舞台。そこには上手、下手から花道が中央に作られていました。

そこでまず最初に
🎵パガニーニ:24のカプリス 作品1~第21番、第9番、第24番
ヴァイオリン:辻彩奈
有名な3曲を並べました。辻さんは名前は良く耳にするものの 実演を聴くのは初めて。今年20歳、今日が成人の日の代表という意味もある演奏。
端正でしっかりとした演奏スタイル。ひとつひとつの音まで丁寧に描いている印象を持ちました。短い3曲だけでは なんか消化不良。これからなのに終わってしまったって感じでしたが、20歳の…なら仕方ないかな。
 
続いて舞台の布を剥がして、私のこの公演の目的の場
🎵狂言『二人袴』
聟:茂山逸平
兄:茂山宗彦
舅:茂山七五三
太郎冠者:鈴木実
後見:島田洋海
大蔵流の公演で以前に観た記憶がある楽しい作品。
最初に島田さんがひとり舞台に出てきて、ご挨拶と狂言のイロハのお話があってからの開演。茂山狂言らしい初めて狂言を観る人にも温かい配慮がありました。
サントリーホールの舞台は、残響が多く演じにくい環境だったと思われますが、熱い楽しい舞台になりました。語りのテンポもいつもよりちょっぴり早めに感じたのは、狂言から離れているせい?
聴衆の反応もよく、最後の舞の場面では爆笑になりました。
逸平さんと宗彦さんの絶妙な(現代的な?)掛け合いのリズムが最高でした。

後半の舞台は 金屏風そのままに、オケを舞台中央に置いて
『フィガロの結婚式への招待』
🎵モーツァルト:オペラ『フィガロの結婚』から(演奏会形式/イタリア語・日本語字幕)
指揮:園田隆一郎
フィガロ:近藤圭
スザンナ:嘉目真木子
伯爵:小森輝彦
伯爵夫人:腰越満美
ケルビーノ:田代万里生
台本作者 ダ・ポンテ:池田直樹
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
 
こちらは『フィガロの結婚』の抜粋を聴くような構成。序曲と15曲のアリアや重唱が並べられました。
曲の繋ぎは池田さんの語りのみならず、すべて歌手が日本語での簡単な寸劇を交えてのわかりやすい舞台となりました。そして池田さんも語りだけでなく、第1幕のバルトロのアリアも歌ってくれたのが嬉しかったです(最後のフィナーレの重唱はもちろんさんが)。
私の座席からだと、歌手が上手を向くとちょっぴり聴こえにくくなることもありましたが、それは些細。舞台の前と後ろを使っての演技も良かったです。
園田さん率いる10型のオケも なかなか。ビブラートをかなり抑えた自然な音と、時にハッとさせられるオケに与えたお洒落な表情が生きていました。


ホールから出ると小雨。
まだ自宅のお風呂が不調なので、今日は蒲田の黒湯温泉の健康ランドに寄り道。昨日、蒲田に宿泊したお友達のおかげで利用券が安く入りました。
今日は帰らなきゃいけないのに、いまだにレストランでのんびり🍷

↑締めはトルコライス