ロンドン・ハイドン弦楽四重奏団:サルビアホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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秋分の日が過ぎたのに、まだまだ蒸し暑さが残る神奈川。昼間 外を歩くと暑い暑い。
今日は仕事帰りに鶴見まで移動。


Salviahall Quartet Series Season25
ロンドン・ハイドン・クァルテット

ロンドン・ハイドン弦楽四重奏団(クラシカル楽器)
・ヴァイオリン:キャサリン・マンソン
・ヴァイオリン:マイタル・グレヴィチ
・ヴィオラ:ジョン・クロカット
・チェロ:ジョナサン・マンソン
バセットクラリネット:エリック・ホープリッチ

19時~
横浜市鶴見区民文化センター サルビアホール 

弦楽四重奏のシリーズで首都圏屈指の良質の公演を行っている、サルビアホール。このシリーズは平日開催なので、今回がここに初めての訪問。鶴見には雑居ビルと飲み屋しかないと思っていたところに、まったく雰囲気の異なる施設ができて 駅前が大きく変貌したのにビックリでした。

そんな平日の音楽会に来たのは、この弦楽四重奏団の魅力。もう10年近く前になるのでしょうが、この団体が入れたハイドンの初期の弦楽四重奏曲のCDを聴いた瞬間の驚き! 私の理想とするハイドンの音。それから年に1組程度というゆっくりとしたペースでハイドンの弦楽四重奏曲のCDを番号順に録音。今は2/3を過ぎたところ。もちろんすべての録音が私のイチオシ。そんな団体が来日して身近なホールに来るのですから 行かないなんてあり得ない!

今日はシリーズの販売の後、単券発売日にお出掛け中の播州赤穂駅で電話をかけて取った席。5列目のほぼ中央が取れました。まぁ 7列しかないホールですけど…

今週末の名古屋の公演ではハイドンの曲に有名な『ひばり』が入っているのに、今日演奏されるハイドンの2曲は、全集でも作らないかぎり録音がされないような曲集の、さらにタイトルの無い 地味な2曲。これを聴きに来る人は果たしてこのホールに何人いたのだろう… セット券での発売が組まれたからこその、強気の(演奏者の希望の)プログラムと、見た。

そんな地味な最初の曲は
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 ハ長調 作品50-2
スコアの冒頭、ソットヴォーチェと書いた記されている幻想的な第1楽章。寝起きのボーッとした雰囲気を感じるのは私だけ? ここで私に強烈なパンチを与えたのが再現部の開始の美しさ。それはもう例えようのないものでした。そして最後の2つの和音をmfでそっと締めたのが素敵すぎ(スコア指示はff。但しハイドンの指示ではなく、校訂した人の解釈)。
通作形式の第2楽章。第2ヴァイオリンが最初に主題を歌い、それを第1ヴァイオリンが引き継ぐ。その2人の主題の受け渡しの自然なこと!第1ヴァイオリンが主題を弾くときは すでに装飾が施されつつの優雅な歌。それはヴァイオリン協奏曲の緩徐楽章の様。後半の16分音符の列を 大きく揺らしながらの演奏は、ロマン的な華やかさというよりは、バロック~古典のオペラのレチタティーヴォに近い感じ。きらびやかな色彩を受け身で感じるのではなく、何を語って来るのか積極的に耳を傾けることで、理解されるような音楽。絶品✴
ユニークなリズム感覚をもつメヌエット。ハイドンの遊びがここに!
続くトリオはわかりやすく踊れる3拍子の音楽でホッとしたかと思いきや、後半に驚きの休符が2つ!無表情でそこをクリアーしていく4人はどう思って弾いているの? 顔の表情が欲しかったです!
終楽章はハイドンの交響曲で見せた、お客さんに聴いてもらうための 親しみやすく分かりやすい音楽。ここではヴァイオリン2つと、ヴィオラとチェロの組み合わせの対話が愉しそうでした。
ソナタ形式の反復をしっかり守っていたので、ちょっぴり第1楽章が長めで心配をしたものの、聴衆はみな集中。盛大な拍手が最初から。

続く地味なハイドンは
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 ホ長調 作品54-3
第2ヴァイオリンから静かに開始される第1楽章。この雰囲気から作品50-2と似ている。もう少し対照的な選曲でも良かったと思うのですが、淡い色合いの曲が好きなのかなぁ~と、勘ぐってしまう。
穏やかな旋律と3連符のリズムの対比がキラリと光る楽章ですが、私は提示部のコデッタと再現部にみられたシンコペーションの明るいリズムにハッとられました。ホ長調の柔らかな響きはフカフカのベットの様。
穏やかなイ長調の第2楽章はハイドンらしい緩徐楽章。ハイドン得意の装飾もみられる!中間部のイ短調のミノーレは第1ヴァイオリンの華麗なソロが活躍。空気に踊る羽衣の様。第1ヴァイオリンの歌は 楽譜の『指定の長さ』とは無縁に語りました。「ハイドンはこうでなくてはいけません」という 楽譜の意味を読み解いた音楽が聴けました✴
そんな素敵な第2楽章に対して、配布されたプログラムには『長め』とありましたが、それは前半に2箇所の反復があるから。65小節は長いとは言えない。単純に聴いただけでそう書くのかと、解説に残念。
逆符点のリズムが楽しいメヌエット。肩の力が抜けて愉しめました。トリオも転調がないので、仕掛けなしの耳に優しい音楽は 息抜きって感じでした。
お茶目さいっぱいの第4楽章。第2ヴァイオリンが主題を弾くスタイル。アンサンブルの愉しさが伝わってきました。表情豊かに駆け回る姿は 理想のハイドンのそのもの!
終演後の大きな拍手は、ハイドンの魅力がしっかりと伝わったみたいでした。なんか私も嬉しかったです。

クラシカル楽器で弓もバロック風の持ち方。ヴィブラートを装飾として使っていました。開放弦も積極的に利用して 楽器全体を豊かに響かせる奏法に 私はこの上ない魅力を感じました。ハイドンの弦楽四重奏曲の理想の姿の音楽を聴くことができました。

休憩のあとは、超有名な
🎵モーツァルト:クラリネット五重奏曲 K.581
『ホープリッチが復元・制作したバセット・クラリネットが使用』とHPなどに書かれたように、モーツァルトが書いた本来の楽器での演奏。
この頃はこの楽器で聴く機会も増えてきましたね。私が初めてこの楽器の音を実演で聴いたのは、オーケストラ・リベラ・クラシカでコッポラさんがモーツァルトの協奏曲を吹いたとき。もう10年くらい前になるかも。

第1楽章、弦により開始された瞬間、落ち着いた品のあるモーツァルトがホールに広がりました。そこにフワッと温かなクラリネットが乗ると、もうここは天国ではないかと錯覚するかの様。極めつけは第2主題に入る時に、ぐっとテンポを落として、宝物を扱うかのようなデリケートな優しさをもった表現。ここが理想のハイドンを超えてしまった今日の白眉の瞬間。
続いて弱音器をつけたヴァイオリンの甘い音色に寄り添うようなクラリネットが絶品だった、第2楽章。バセットクラリネットならではの低音の豊かな音色にやられました✴
リズムが生き生きと弾んだメヌエット。トリオとの対比も鮮やかで、ずーっと踊っていたくなる様。
終楽章も 弦とクラリネットの柔らかな音色と、お互い寄り添うような温かさを感じるアンサンブルにゆっくり身を委ねることができました。

大きな拍手に応えて、第2楽章をアンコールとして演奏。またまた夢のような時間が…

予想をはるかに超える素晴らしい音楽会でした。

演奏会のあとサイン会。持参した弦楽四重奏曲のCDと購入したホープリッチさんのCDにサインをもらいました😉


土曜日、名古屋(宗次ホール)の公演に行こうかと真剣に考えはじめました。