名古屋フィルハーモニー交響楽団 しらかわシリーズVol.29〈鈴木秀美の『新世界』〉 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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『節約』
ということで 朝8時前の横浜から 東海道本線の各駅停車を乗り継いで、名古屋へ。ゆっくり出て新幹線で行っても 名古屋では見るところは無いし、お昼に名古屋めしがとれればいいので、起きてすぐに出れば 昼食代が捻出できるし、ついでに電車での読書の時間も確保できる!

でも、やっぱり浜松で飽きた。

数えてはいませんが、この1年で熱海~興津(静岡)を各駅停車で何回通ったのであろうか… 浜松駅もなんか見慣れている…

名古屋での遅めの昼食は 電車で動いていないこともあり、 駅のホームできしめん。今日は『冷やしかきあげきしめん』でさっぱり。

ホテルに荷物を置いて(スコアも置いてきちゃった💦)

名古屋フィルハーモニー交響楽団 しらかわシリーズVol.29
〈鈴木秀美の『新世界』〉


16時~
三井住友海上しらかわホール

指揮:鈴木秀美
名古屋フィルハーモニー交響楽団


コンマスは植村太郎。

今日は前から2列目の真ん中。
メンバー表が配布されたので、人数と名前が開演前にわかるのがいい。3曲とも8-8-6-6-4。前半はコントラバスを雛壇最後列に置く両翼配置で2列目は掛け合いの効果が抜群。

開演15分前から 鈴木秀美さんのプレトークがありました。詳細は略しますが「新鮮な驚きをぜひとも味わってください」と。

最初の曲は
🎵C.P.E. バッハ: シンフォニア第1番 ニ長調 Wq.183-1(H.663)
上尾直毅さんのチェンバロが入りました。
エマニュエルらしい、浮遊感のある作品。この頃は 鈴木秀美さんの演奏会に足を運ぶようになったためか、実演でも良く聴くようになった作品。
エマニュエルにしては編成が大きいので重みのある音が攻めてくる感じが いい。
3つの楽章を続けて演奏する作品ですが、楽章毎ではなく、フレーズ毎に その表情を豹変させながらの色彩の変化が それは見事。
この作品、初めて聴いたのは 90年代前半に東京フィルの実演(井上さんの指揮)でしたが、その時の曲全体をひとつにまとめるようにしていた演奏とは対極。作品を分解しつくし、過激で フレーズの合間から火花が散るような演奏が最高でした。

続いて
🎵ハイドン: 交響曲第92番 ト長調 Hob.I-92 『オックスフォード』
ティンパニはバロックタイプのものを使用。
オックスフォード交響曲は先々週、日本センチュリーで聴いたばかり。
幻想的な序奏は ちょっぴり意外な展開。2小節目などは「テンポは?」ってハラハラしちゃう様。アレグロからは 秀美さんらしい端正な音作り。
第2楽章では中間部のfを熱く鳴らしての演奏が鋭いコントラストとして描かれました。管楽器のアンサンブルは綺麗に響きました。モダン楽器ですが、フルートは木管を使っての温かみのある音が良かったです。
楽譜通りのメヌエットとトリオ。センチュリーと同様にちょっぴりソロの響きなどを期待したのですが、やっぱりそこまではしませんでした。
プレストの第4楽章。できるだけ速い演奏を求めているような楽章ですが、秀美さんは敢えて適度なテンポ設定で、キッチリと一つ一つの音をハッキリ描きました。ところがその中で ビックリさせられたのは 冒頭の主題、♪レソラシド#ド~レ…の『#ド~レ』をポルタメント風に処理したところ。その後の同様のフレーズもすべて同様に、第2ヴァイオリンが入る2回目は第2ヴァイオリンも、とてもお茶目に、しかし悪趣味にならない 八丁味噌みたいな味のある、思わず吹いてしまうような演奏が最高でした。

休憩のあとは 今日のメイン
🎵ドヴォルザーク: 交響曲第9番 ホ短調 作品95(B.178)『新世界より』
ティンパニはモダン仕様のものに替わりました。革のバロックタイプで聴きたいとも思ったので… そして配置が上手手前をチェロとした通常配置、コントラバスは前半同様に雛壇最後列、になりました。
序奏のpはmfか?というハッキリとした音で開始しました。ちょっぴり大味な演奏になるのかな~と思いましたが、楽章が進むにつれて 実に繊細に旋律のまわりを着飾らせていきました。
第1楽章のアレグロ、第3楽章、第4楽章などの速い楽章ではダイナミックで弾むリズム、聴いていてとっても新鮮。
そして第2楽章。有名なソロを担当したコールアングレを吹いたのは第2オーボエの竹生桃さん。今日はコールアングレ奏者を置かずに オーボエとの持ち変え。冒頭の『家路』のテーマはちょっぴり速めで 夕暮れの田園の中を歩く風景というよりは、部活帰りに急いで帰る様。でもそれは忙しないのではなく、充実した帰宅の気分。20世紀半ばの巨匠風の演奏が好きな方には ちょっぴり軽い感じを持つかも…ですが、実演では グイグイと引き込まれる楷書的で音がしっかりと詰まった音楽になりました。そして最後、コントラバスの音が残るところが それは印象的。最後列に配置が効を奏した今日一番のインパクトある瞬間がそこでした。
終楽章のディミヌエンドしていく最後の音は 空の彼方へ夕日が消えていくように 時間楽章止まったように長い音。それは自然の時の繰り返し永久不滅の流れを感じさせました。
ただ、音が消えていくと同時に、まだ演奏者が音の余韻を飛ばしているのに、2階席からの品のないブラボーはその演奏を台無しにしかねない(する)ものでした。

アンコールは
♪ドヴォルザーク:スラブ舞曲 ホ短調 作品72-2
秀美さんが「私の大好きな曲」と挨拶をしたあと、優しい音楽で締めました。

今日は私にもとってはとても魅力的なプログラム。秀美さんの躍動的な演奏に満足でした。ただ前半、どうにも弦楽器(特にヴァイオリン)がまとまらなかったのが残念。今まではそんな感じを受けなかったので…

終演後、ロビーで購入した鈴木秀美さんの新刊本にサインをいただいて帰りました。

今日のホテルは温泉つきの名古屋お気に入り。一旦帰って温泉のあと、今日のブラタモリが名古屋だったので 真剣に見てから夕食へ。涼しくなったので ホテル近くの味噌煮込みうどん屋やさんで食事だけの予定が 梅酒に惑わされて 名古屋コーチンネギマからスタート。やっと締めの『かしわ入り味噌煮込みうどん、ニラトッピング』になりました。
めちゃ美味しい!


ホテルに戻ったら 今日持ってきた当たりの文庫本『山さ行がねが』と 秀美さんの本、読まなきゃ📖