ハイドン名曲聴きくらべ-2 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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💿F.J.Haydn:チェロ協奏曲(第1番)ハ長調


交響曲『朝・昼・晩』と同じ(か直後)に書かれた初期の曲。1961年に発見された、まだ弾かれはじめて50年にも満たない曲。

ソリストに指揮者(オーケストラ)のみ表記。


C コワン/ホグウッド
古楽器。 チェンバロ入。 ソロとオケがとても美しい。 表情豊かに見事に歌いあげる。 第3楽章は元気に正確。 素晴らしい演奏。

鈴木秀美
①クイケン指揮:古楽器。 ソロの弾く部分でオケ伴奏が各パート1名のソリになる。 躍動感あふれ若々しい。 古典派らしいバランスのとれた素晴らしい演奏。

②オーケストラ・リベラクラシカ:古楽器。 ソロの伴奏はソリ。 堂々とした落ち着いたテンポ。 第2楽章で大胆な感情表現。 ライブ。

A ビルスマ/ターフェルムジーク管
古楽器。 チェンバロ入。 オケの音色が美しい。 チェロは激しい。 第3楽章は飛ぶ様な颯爽とした快演(ソロの1音抜けは編集ミス?)。
カップリングのニ長調は恣意的改竄あり。

I モニゲッティ/ベルリン古楽アカデミー
古楽器。 チェンバロ入。 アクセントが小気味良い。 フレーズを細かく刻む。 ソロは力強い。 カデンツァ独創的。 第3楽章も安定した演奏。 好演。

P ウィスペルウェイ/フロリレギウム
古楽器。 チェンバロ入。 歯切れ良いキビキビした演奏。 ソロにオケの表情豊か。 音は厚め。 ソロの音が見事に決まる。

J-G ケラス/フライブルクバロック管
古楽器。 積極的表現のソロ。 ソロの伴奏部のオケはソリ。 快活で安定した演奏。 美しい音色のオケ。 爽やかな名演奏。

D ヴィリアンクール/カトクス
フォルテピアノ入。 ソロとオケ対等。 ソロは深い音色でテヌートきかせ滑らか。 オケは音を短く端正な処理。 快速の第3楽章はソロとオケの呼吸がピッタリで心地よい。 好演。

藤原真理/カントロフ
チェンバロ入。 素朴。 チェロの音色豊か。 オケも丁寧。 第2楽章が美しい。

J シュタルケル/シュワルツ
落ち着いた表現。 丁寧で温かいソロにオケ。 正確で余裕をもった安定した演奏。 地味な好演。

J フォーグラー/ギュットラー
ソロが雄弁。 硬質な響きのオケ。 フレージングは細かく刻む。 手堅い演奏。 カデンツァは大胆な現代風。

A ルーディン
①ソンデツキス:リトアニア室内管
明るいオケ。 熱いソロ。 ソロ中心の録音。 ちょっぴりオケが弱い。 安定したテンポでがっちりした構築の仕上げ。

②ムジカヴィヴァ
爽やか。 小編成オケ。 きれいなソロ。 第3楽章は快速の超絶技巧。 オケがちょっぴり単調な感じ。 ヴァイオリンのピッチは許せるギリギリの線。

③ソンデツキス:グルジア室内管
滔々と豊かに楽器を鳴らす。 オケと被る部分でも積極的表現。 ロマンチックな2楽章。 オケの管楽器が怪しい。 ライブ。

S イッサーリス/ノリントン
目のつんだ美しいバランス。 小編成の明るいオケ。 端正で確実なソロ。 妥当なテンポ設定で快活な清々しい好演。

M ロストロポーヴィチ/バルシャイ
超快速。 超絶技巧。 ソロにオケともに熱い。 推進力抜群。 ソロの表情豊か。 超快演。 63年のモノラルライブ。
弾き振りの落ち着いたスタジオ録音とはまったく異なります。

C シュタルクかE ニーフェネッガー
(曲毎のソリスト表記なし)/ミュラー=ブリ ュール
落ち着た温かい演奏。 ソロ中心の音楽つくり。 オケも小さめ。 特別目立たないがしっかりした好演。

J デュプレ/バレンボイム
ロマンチックかつ堂々としたソロ。 伴奏は厚く低弦どっしり。 大きな音楽作り。

M クリーゲル/ミュラー=ブリュール
堂々として表情豊か。 ソロ主体。 第2楽章はゆっくりじっくり。 明るく透明な音色が美し い。 中庸で目立たないが好演。

C ワレフスカ/ワールト
チェンバロ入。 テンポは遅めでも熱い。 張りのあるチェロの音。 丁寧な演奏。

S ポポフ/ブレッヒ
ゆっくりとしたテンポで特に第2楽章は幅広い表現。 ソロに角の立つところが独特。

F スプリンゲル/ヴェルデン
チェンバロ入。 確かな技術と張りのあるソロ。 安定した快活なテンポとフレージング。 バランス良いオケ。 古典的清潔さを持った豊かな表現。 素晴らしい演奏。

M ペレーニ/フランツリスト室内管
ダイナミックで魔法の様な多彩な音色のソロ。 オケの色は砂浜みたいなざらつき感。 第2楽章は遅めで滔々と歌う。

L カンタ/ブレイナー
熱い演奏。 明るいオケ。 カデンツァが異質で特異。 よく響き色彩変化が明瞭。 第3楽章が安定した好演。

M マイスキー/ヨーロッパ室内管
洗練された美しい音色。 ロマン的。 ソロの音の厚さと安定感抜群。

J-M GAMARD/ケンツ
オケが粗く貧弱。 優雅な演奏。 第3楽章は速いが小さい。 ライブ。

E クライン/ハンブルクソロイスツ
ソロに細かい装飾。 リズムをしっかり刻んだ端正な表現。 こじんまりとまとめた演奏。

A ノラス/ヴァルヒャル
落ち着いたテンポ。 ソロと絡むオケの表情豊か。 オケの音色にざらつきあり。 ソロは丁寧な音楽づくり。 第2楽章はゆったりのんびり美しいカデンツァ。 好演。


以上のチェロ協奏曲のCDを1週間で聴きました。

あると思っていたヨーヨー マのCDが無かったりと発掘をかけていてビックリでした。またチェンバロ入りが普通のように感じていたのですが、モダン楽器の演奏では入っているのが少ないのもわかりました。

20分余の曲なので毎日愉しく聴けました。

追伸:この日記を挙げたあと、片付けをしていると、ハレル盤とシフ盤とさらにもうひとつ出てきましたが、あとで加えての聴き比べはしませんでした。


<2017年の加筆>
2008年以降もこの作品のCDはどんどん増えています。そこで気になっていたディスクを1つ挙げると
酒井淳。これはヴァイオリン協奏曲+フルート協奏曲と組んだスイス盤。チェンバロの仄かな音色の彩りもある、存分に歌った演奏は 師匠のコワンに匹敵する出来。今年の東京春音楽祭で来日します。ちょっぴり気になっている演奏家でもあります。

ではここでの私のお気に入りの盤を…
ガット弦とソロの伴奏でオケもソリになるのが好きということもあり、
鈴木秀美/クイケン盤が文句なし。私の理想そのもの。

あとは熱い演奏という点では
ロストロポーヴィチ/バルシャイの 初演直後の盤が凄すぎます。
モノラルが気になるなら
ルーディン盤のソロの熱さと拘りはなかなかなのですが、どの盤もオケが微妙なのが残念。ここではムジカヴィヴァ盤の第3楽章は曲芸的にぶっち切りここでオケがピッタリつけてこれちゃうのが不思議。ここだけ聴くのもありかも!

そして万人向きで美しい演奏、初めて聴いても安心して勧められるのが
スプリンゲル/ヴェルデンがチェンバロ入りですが 入手困難かも。
また酒井淳盤も同様。
そこで
コワン/ホグウッドのガット弦の素敵な演奏。私の初めて買ったCDがこれ。そこで聴いたときの衝撃は凄かったです。今でも30年前の盤を良く手に取り聴いています。