再興100年『院展』と鈴木秀美 KLASSIKの世界〜楽長ハイドン氏の超多忙な日常〜 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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旅と鉄道と温泉が大好き。
そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

今日はゆっくりとスタート。曇りでパラパラと雨の様相も。でも、傘を持たずに横浜まで歩き。
そごう美術館で
再興100年『院展』



現代日本の画家たちの力作84作品を観てきました。中には金屏風に描かれた絵や障壁画にピッタリの私好みの作品から、中途半端に訳がわからない私好みでない作品まで、頭を真っ白にして楽しめました🎨

その後、多摩センターまで移動。時間を検索すると 出てきた4つの中に予定のコースが無い。もしかして高いの?と思い 経由地を入れて調べれば、こちらの方が安いじゃん! と、いうことで アプリに紹介された南武線経由ではなく、相鉄線大和まわりで向かいました。

多摩センターで軽い昼食の後、

鈴木秀美 KLASSIKの世界 Vol.3 ~楽長ハイドン氏の超多忙な日常~

パルテノン多摩 大ホール
15時~

鈴木 秀美(指揮、チェロ)
中江 早希(ソプラノ)
荒木 優子(ヴァイオリン)
上尾 直毅(フォルテピアノ)

オーケストラ・リベラ・クラシカ
ヴァイオリン:高田あずみ(コンサートマスター)、竹嶋祐子、荒木優子、堀内麻貴、山内彩香、廣海史帆、原田陽、高岸卓人
ヴィオラ:成田寛、森田芳子
チェロ:山本徹、野津真亮
コントラバス:西澤誠治、長谷川順子
オーボエ:エドゥアルド・ウェスリィ、ゲオルク・ズィーベルト
ファゴット:堂阪清高、向後崇雄
ホルン:エルメス・ペッキニーニ、ディメル・マッカフェーリ
トランペット:斎藤秀範、霧生貴之
ティンパニ:久保創


チラシ等に
『※古典派時代の音楽会の雰囲気を感じていただくため、交響曲を分割し、その合間に他の曲を演奏する構成をとります。』
と、ある。

今日は前から2列目のど真ん中。
それにしても、2階席はないものの(1階席だけで1500人近く入る)ホール(客席)は大きすぎる。聴衆の入りも半分程度だし…

今日はヴァイオリンを下手にまとめた今どきの配置。

最初の曲はバラバラにされた交響曲。
🎵ハイドン:交響曲第60番 ハ長調 Hob.I.60「うかつもの」~第1楽章
冒頭の音の張りのあること!オケの音の素晴らしさにビックリ。仔細にこの曲の面白さをアピールするような仕掛けを強調する一方、音楽としての細かな表情づけも十分。このまま一気に聴いていたら 名演間違いなし!って感じでした。

曲間で鈴木さんのお話。ハイドンの生活環境から そこで作られた音楽まで。ますはあまり省みられない歌劇の音楽を…
🎵ハイドン:歌劇「月の世界」Hob.XXVIII:7からフラミーニアのアリア 「人には分別があります(Ragion nell’alma siede)」
ハイドンの歌劇で私の一番好きな作品がこれ!2回、実演を観ていますが、そのうちの1回はこの役を森 麻季さんが歌いました。
今日は中江さんがこの役のキャラクターと歌詞の説明を行ったので良くわかりました。
中江さんの清楚な声にこの曲はピッタリ。私の席では 最良のバランスで 美しい声の協奏曲を聴くことができました。

続いて 鈴木さんがこの曲の副題に触れて、多様な人間模様がここでは現れている…と述べ
🎵ハイドン:交響曲第60番 ハ長調 Hob.I.60「うかつもの」~第2楽章
まったく異なる主題が出てくるところを、どう調和させるか、ではなく、こんなに違うの変でないかい? という様な強烈な対比をもって描きました。

次に ハイドンの珍しい曲ということで
🎵ハイドン:管楽合奏のためのディヴェルティメント ヘ長調 Hob.II:23
5楽章からなるこの曲こそ、私の今日のメインプログラム!
舞台上手に設えた金屏風の前での管楽六重奏。ちょっぴり軽く 愉しげに吹く姿は 曲本来の 演奏する楽しみを感じるに十分。鈴木さんの指揮はなし。
私的には鈴木さんのアグレッシヴな気合いが欲しかったかも…
しかし、これでも十分に楽しめました。

休憩のあと
🎵ハイドン:ピアノ三重奏曲 ホ短調 Hob.XV:12
これも舞台上手の金屏風の前での演奏。
ちょっぴりシリアスな響きで始まるアレグロの第1楽章。第2主題でも完全に長調に傾くことはせず、雰囲気そのままで楽章全体を支配する。ハイドンの真面目な側面を伝えるのに十分な演奏が聴けました。
アンダンテの第2楽章は弦のピチカートの伴奏を従えて美しい主題を演奏する。その後 陰影をつけながらの展開。こちらも天真爛漫なハイドンとは別の一面。3つの楽器の調和が綺麗でした。
快速で駆け抜けるロンド形式の終楽章。挿入旋律もロンド主題との関連が感じられるあたりは さすがハイドン。
ここでは楽器ごとの掛け合いの中での丁々発止を通して、鈴木さん主導でハイドンのユーモアを描き出していました。
しかしここはフォルテピアノには明らかに大きすぎるホール。私の席でもピアノの体力不足が感じられました。

鈴木さんがハイドンの生活には様々な民族の人たちが関わった。ここではロマの音楽が聴こえる…と話して
🎵ハイドン:交響曲第60番 ハ長調 Hob.I.60「うかつもの」~第3、第4楽章
ドイツ語圏の滑らかな音楽と ロマやバルカン半島の荒々しい音楽との対比を鮮やかに、分かりやすく描きました。

ここで中江さんが再登場
🎵モーツァルト:コンサート・アリア「私はあなた様に明かしたい、おお神よ(Vorrei spiegarvi, oh Dio!)」K.418
鈴木さんいわく、ハイドンとモーツァルトはちょうど2まわり違う『ネズミ年』云々…
ここでも中江さんの清楚な声が聴けました。ただ、低音域で もう一歩声が伸びれば文句無し!ってところでした。

最後に
🎵ハイドン:交響曲第60番 ハ長調 Hob.I.60「うかつもの」~第5、第6楽章
第6楽章の調弦の件では、第6楽章に入るやオケが混乱して演奏中断、鈴木さん退出。そしてチューニングのあと コンミス(高田さん)指揮で第6楽章を始める、という趣向。

ホールが大きくて入りが半分という動かしにくい空気の中での ハイドン楽長の忙しい日々を綴った寸劇もここまで。盛り上がりに欠けたのは 入りが悪く見えたホールのせい。そこが残念でした。そして オケがとても丁寧な音楽を作ってはいたものの、後半は休み休みで集中を欠いた感があったのも←というか、ここまで完璧に揃えた演奏するとは思ってもみなかったので、それは嬉しい誤算。
このホールだけで終わってしまうにはもったいないような企画(音楽会)でした。

帰りも小田急で大和乗り換え、平沼橋まで。多摩センターは 遠い。