出生前診断、全妊婦可能に 実施施設も拡大、日本医学会(共同通信)
出生前診断には色々な種類があり、様々な利点と問題点があることを以前シリーズでお届けいたしました。本日、日本医学会からNIPTの年齢制限を撤廃すると発表がありました。これは、いわゆる認可施設に限ったお話しです。
記事の背景としては、年齢制限のない無認可施設では2016年から年齢制限なく検査が可能です。その他さまざまな理由で今や無認可施設での検査件数の方が上回るようになってきたことなども考慮し、(遅ればせながら)認可施設でも全年齢の妊婦に対して検査をすることにしました、今後は認可施設も増やすようにするなどサービス向上に努めます、ということです。記事を読むとだいぶ印象が異なりますが。ちょっと調べればわかるので、そのあたりの背景くらいちゃんと取材して記事書いて欲しいものです。
年齢制限(検査対象35歳以上)については様々な意見があるところで、誰でも検査できることが果たしてよいかどうかという話はあります。私が書いたシリーズでも、若年者の検査の陽性的中率の低さについて繰り返し指摘しています。しかし、年齢以外の要素も色々あるし、妊婦の希望も様々なので、どちらかといえば制約を作るよりも検査前の説明を充実させるほうが重要です。いずれにしても認可に年齢制限がなくなった今、無認可施設のアドバンテージが1つ減ったことになるため、今後どうなっていくのかが注目されます。ただ、いずれにしても、認可・無認可によって年齢制限があったりなかったりという状態はあまりいい状態ではないので、色々なことが揃っていくのはよいことです。
私たち産婦人科医からしてもこうした家族観や家族計画、生命観を含めた倫理的な問題は非常に難しい問題ですが、こうしたきっかけ1回1回でしっかり考えていくことが大切ではないかと考えています。
出生前診断【2】染色体異常とは
出生前診断【3】各検査の特徴「上」
出生前診断【4】各検査の特徴「下」 NIPT
出生前診断【5】NIPTと影