生理中の小卵胞数(AFC)、FSH値は、一般論とすればその周期の調子、あるいはその方の卵巣機能を診断する上で大事ということになっていて、そんなに大きく間違ってはいないんですが、実際の現場では、結構あてにならない人がいます。

 

そもそもAFCと採れる卵子数がほとんど関係ない人も結構いて、AFCが1~2個だったのに刺激してみたら10個採れたとか、FSHも20くらいまでなら全く関係ないんじゃないかと思われる方も結構います。

 

一方で、一般論通りに、AFCが良い時、FSHが良い時に良い結果となる方もいます。

 

どちらが多いのかと聞かれると難しいですが、こういうデータってばらつきが大きいんです。AFCが3個だった場合、平均すると3個採れるといえば採れるんだが、採卵数としては、1個から10数個まで様々で、結構幅が広いのです。でも、それAFCなんてあてにならないかというと、AFが5個の場合、採卵数としては、1〜2個から20個近くまで様々、それを平均すると5個くらい採れるみたいなイメージです。

 

私たちはそういうイメージで外来するんですが、患者さんは、通常私たちよりも予想レンジがかなり狭いので、どうしても一喜一憂しがちなのですが、結構やってみないと分からない部分もあります。AFCはおおまかな傾向を掴む上ではもちろん大切ですが、あてになると言えばなるが、ならないと言えばならない、でもないよりはいい(ないのは困る)、そんな感じです。

 

そこで大切になってくるのが過去の治療データです。どんな数値でもそうだけど、一般論として、AFCが多くFSHが10未満である周期が良い周期であるという一般論と、個別で自分がそうであるということは別で、今までの治療経過を見直す中で、どういう時にどういう経過になるのかのパターンが分かることもあります。FSHちょっとくらい高くてもほとんど問題ない方、なんなら高い方が採れる方、正常に近くないと結果出ない方、AFCがあてになる方、ならない方がいます。一般論だけにとらわれすぎず、自分の体を見極めながら治療を進めていくことが大切です。絶対値とともに、いつもの自分との相対値でも見ていくという感じです。


当たり前といえば当たり前のことですが、意外と前の治療周期のことは覚えていそうで覚えていないものなので、今日は振り返る大切さのお話でした。