執着心
御 教 歌
わが病 惜しや欲しやの 苦しみも
法の教えに いえにけるかな
病の中で一番の病は執着心であるが、仏の教え通り行じていくことにより癒えるものである。
このようにお示しの御教歌です。
仏教では、人がかかる一切の病に「四百四病 」があると云います。
その病の中でも一番の病が貪欲であり執着心です。
欲に執着する病は、時に人を傷つけ、時に落とし入れてまでも己の欲を満足させようとする厄介なものです。
自分が欲しい!と思ったものは、何が何でも手に入れる。
入れるまで決して諦めることなく執拗に追い掛け回します。
そして、手に入れたものにしがみ付き、決して手放そうとしません。
そこに「求不得苦(ぐふとっく)」という苦しみも生じてきます。
このように煩悩欲に執着していくと、結局自分を苦しめていくことになり、その欲に執着する心こそが一番の病であることを教えてあります。
その一番の病を癒していくには、仏の教え通り行じていくことが根本となります。
そのために、仏の教えが現在でも流れているのです。
御指南に
「たとひ心におしやと思ふとも棄捨(きしゃ)したるは、欲に勝ちたる也。」
「たとえ心に惜しい、勿体いと思おうとも捨ててかかれば、欲に打ち勝つことになる。」
このように教えていただいてますから、欲に執着する心こそが一番の病であり、その病は仏道に於いて癒やされていきます。