ひより軒・恋愛茶漬け -46ページ目
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映画 猟奇的な彼女

 主人と子供が眠った後の
 DVD鑑賞は無上のよろこび!
 恋愛中心に書いてみたいと思います。
 
 
「猟奇的な彼女」

賞もたくさん受賞し
人気の高かったこの韓国映画、
ごらんになりました?

ある日電車の中で
酔った女性を介抱したことから
大学生キョヌは名門女子大生の彼女と付き合いはじめます。

ところがこの彼女「猟奇的」と言われるだけのことはあって
キョヌに無理なことを要求したり思い切り殴ったり。

でもキョヌは彼女の激しい感情の裏にある寂しさを感じて
彼女をとことん受けとめてあげるのです。

ものすごくコミカルな2人の関係。
でも終盤になると心にぐっとくる場面もあって…感動。
かなり良いです。

映画を見て主人公に自分をダブらせたこと
ありませんか?
私…この映画で思いっきりダブらせました。
20代の自分と。

えっ!いつあんなに可愛いくて美人だったの?
とヒトリツッコミ。
でも確かにあの頃の私は「猟奇的」でした。

お客さんのたくさんいる喫茶店で
彼の顔を叩いたことも
彼にお水をかけたことも
デートの途中でふざけて消えてみせたことも
電車の長いシートに座ってキスをせがんだことも
騒ぐ酔っ払いに「道徳観念のない人ですね!」と
喧嘩を売ったことも

それでも
いつも私を受け止めてくれた彼がいました。

今はどうしているのでしょう。
私と同じように結婚して子供とくらしているのでしょうか。
「猟奇的」ではない暮らしを。

「あなたが教えてくれたこと」


「あなたが教えてくれたこと」

時計の替わりに
やかんの笛が鳴る。

くしゃくしゃの頭を掻きながら
あなたが のそりと起きてくる。
ドラマのありきたりなワンシーンと同じ。
最初から見慣れたような光景。

あたたかい御飯に
アサリの時雨煮をのせて
醤油とわさびを少し添えたら
熱いお湯をゆっくりと注ぐ。

あなたが教えてくれたこと。

おおきな方のどんぶりから
生まれたての湯気があがる。
強く香る、キッチン。

どんぶりを手のひらで包むようにして
まだ冷えているあなたの末端が
じんわりと暖まるのを眺め続ける。

大事な約束を急に思い出したように
顔をあげて
あなたが「おはよう」と言ってくれるまで。



 今日はとても嬉しいことがありました。
 いぜんHPでファンだった「ぢぃ」さんを
 アメブロで発見したんです。

 そしてもっと嬉しかったのは「ぢぃ」さんが
 読者になってくださったこと!
 う~、ちょっと緊張!

 グルメブログをお書きになっている
 「ぢぃ」さんが読者になってくださった記念に
 食べ物のことを今日は書きました。

 嬉しくて雨の中、町内3周!気持だけ!



「 T の告白 ③ 」

「 T の告白 ③ 」

それからしばらく
T は話しかけてきませんでした。
私も気まずくて
なんとなく目もあわせずに過ごしていました。

たまたま委員会もなく
早めに帰って
再放送のドラマをゆっくり見ようと思った日、
下駄箱で T と鉢合わせしてしまいました。

「お。一緒に帰る?」
「うん。いいよ。」
と軽く言ったものの、
あれからカノジョの話は1度もしていないのです。
聞いた方がいいのか、
聞かない方がいいのか。

「この前見た映画なんだけどさ…。」
T がカノジョのことに触れないので
私もだんだん楽しんで話せるようになりました。
良かったね、忘れられたんだね、とホッとしたのです。

そして家の近くで別れるとき
T は鞄から
「これ。この前のお礼。」
といって大きな封筒を取り出しました。
「何、お礼って…。」と言っている途中で
「じゃ、な。」と
T は彼の家のほうへ歩いていってしまいました。

「ただいま~。」と家のドアを開けると
「お姉ちゃん!ドラマ始まるよ!」と
居間の方から妹の声がしました。
私は自分の部屋に鞄を置いて
着替える前に一応見ておこうかな、と
T がくれた封筒を開きました。

それは厚紙にはさまれた私の写真でした。
あの日カノジョを待つ間に
犬とじゃれあっているのを
望遠でこっそり撮ったのでしょう。
大きく引き伸ばされた私の笑顔は
斜めに夕日を浴びて輝いていました。

写っているのは自分の笑顔だけなのに、
遠くでシャッターをきっている
T の笑顔が目の前にあるように感じられて
胸がキュっと音を立てて締めつけられました。

これを T はいつから鞄に入れていたのでしょう。
封筒にはいくつも皺が寄っています。
写真を裏返すと
几帳面な文字でこう書いてありました。

 「幸せそうで人を明るくする笑顔は
 ピンクの服でお遊戯をしていた頃と
 全然変わってないね。
 つまり成長してないってコト!

 僕の写真集の被写体にしてあげるよ。
 っていうか、なってください。
 
 この写真、僕の部屋にも飾ってあるんだ。
 よく撮れたから。
     ソレトヒシャタイガカワイイカラ。
   お世辞!」

居間のテレビから
聞き覚えのあるテーマソングが聞こえてきました。

恋のドラマが始まる時間です。
              -おしまいー


告白するのが好きな人と
告白するのが苦手な人がいますよね。

私は学生の時も大人になってからも苦手でした。
異性と友達にはすぐなれるけれど、
好きな人の前では…いくじがないんです。

「好きです」なんて言えないから
わざと怒らせて気を引こうとしたり…。
「小学生じゃないんだから、もう!」って
いつも思っていました。

いろいろな恋愛ブログを読んでみると
奔放で積極的な話が多いので
羨ましいな。

「 T の告白 ② 」

「 T の告白 ② 」

川沿いの遊歩道・隅田川テラスへ降りていくと
ようやく空がオレンジ色に染まりはじめたところでした。
目の前を東京湾へと向かう水上バスが
ゆっくりと通り過ぎていきます。
昨日降ったばかりの雨が
川の水を増水させているのでしょう。
水上バスが起こした波が
テラスを取りかこむ鉄柵に
大きな水しぶきをかけていきました。

「カノジョは何時ごろに来るの?」
「さあ。」
「さあって…もう!絶対来るんでしょ?」
「…ダメ。緊張してる。何も考えられない。」
見ると顔が蒼白!
それでも鞄から出したカメラを首から下げると
写真部の部長らしく見えなくもありません。
「大丈夫。きっとうまくいくよ。
私がついてるし。」なんて
自分だってドキドキなのに
調子の良い私。

近くなのに隅田川テラスに来るのは久しぶりでした。
ジョギングする人。
犬の散歩に来る人。
ベンチで本を読む人。
そして T のように対岸の夕日を撮りに来る人。
きらきら光る水面と色を変えていく空を背景に、
ゆっくりと時間が流れていきます。

大きな使命があったはずなのに
カノジョが通りがかるのを待つ間、
水際で川を覗き込んでみたり
人なつこい犬とじゃれあってみたり
緊張を少しでもほぐしてあげようと
こわばった T の顔にカメラを向けたりしていました。

「来た。」
T の視線を追うとすぐにカノジョがわかりました。
長い髪を風になびかせ、
小柄で小顔で色白で華奢。
顔のつくりは派手ではなく、
ソックスをきっちり3つ折りにして
まじめそうな雰囲気です。
T と並べばお似合いの知的なカップルの出来上がり。

恥ずかしがっていては
逆に怪しまれると思ったのでしょう。
T はサッとカノジョのほうへ歩み寄っていきました。
「すみません。僕たち○○高校の写真部なんですが、
今いろいろな高校生のスナップを集めて
高校生による高校生の写真集を作る企画を考えているんです。
良かったら写真を撮らせてもらえませんか?」

すごい。T はこの科白をどのくらい練習したのでしょう。
完璧です。
成功間違いない…と思ったそのとき
「なんで。」
とカノジョの不機嫌な返事が返ってきました。
「えっと…それは…。
誰でもいいわけじゃなくて…、
あなたが…その…。」
焦る T の顔は西の空より真っ赤で、
思いっきり告白しているようなもの。

何とか助けなくては。
あわてて私も声をかけました。
「急にこんなお願いして失礼かもしれないけど、
彼も私もあなたがステキだと思ったからなんだ。
こう地味さの中の控えめな魅力っていうか…」
ほめてるよね、これ?

「私、自分の顔嫌いだし、
毎日待ち伏せされるのはもっと嫌い。」
ああ、ばれてる。
「それは彼が部員として
被写体をさがしていたからだよ。」
「写真を撮られるのも嫌いなの。
もうココに来ないで。」
ココはあなたの所有地じゃないでしょ!
と言いたかったけど、
T の気持を考えてぐっと飲み込みました。
地味なんて言ってゴメンネ。
カノジョは気持ち良いほど
キッパリサッパリとした女の子でした。

颯爽と去っていくカノジョの後姿を
これが最後と見送って
(だって、ココに来ないで、だもんね)
T はと見ると、いきなり背を向けてダッシュ!
もしかしたら泣いていたのかもしれません。
              -つづくー


ごめんなさい。②でも終わりませんでした。
明日③で最終回です。

嬉しいことに、読者1!ありがとうございます。
それにたくさんの方に訪問していただいて、
嬉しさのあまり得意の後方伸身2回宙返り!気持だけ!

「 T の告白 ① 」


「 T の告白 ① 」

「名案を思いついたんだけど。」
T が珍しくうつむいたまま話を切り出しました。
近所に住む幼なじみの T とは、
偶然にも高校で同じクラスになったのです。
時々、肩を並べて一緒に帰る私達。
最初こそ友達に好奇の目で見られましたが、
全く正反対の性格で
背が高く肩幅の広い体育会系の私と
中背で痩せ型、色の白い T とは
どこから見てもお似合いのカップルには見えなかったのでしょう。
すぐに「ただの幼なじみ」として公認されました。

「名案って。カノジョのこと?」
「うん。一緒にカノジョに会って欲しいんだ。」
実は T には他の高校に
前から思いを寄せている子がいました。
ある夏の夕方、
写真を撮るのが好きな T は、
自宅近くの隅田川沿いに行き、
夕日にカメラを向けていたそうです。
するとレンズの前を天使が(ここで私は笑いをこらえた)
通り過ぎ…完璧なヒトメボレ。
制服で高校名はわかったものの
声をかける勇気もなく、
ただカノジョに気づいて欲しくて
その場所に通いつづけているというのです。

この時 T が思いついた名案とは
存在しないわが校の写真部をよそおい
私と2人でカノジョに写真を撮らせてくれと頼むこと。
そして写真ができたら渡したいからと
カノジョの住所なり電話なりを聞き出したいというものでした。
声をかける時に女の私がいれば
カノジョも怪しまないだろう…と。

この名案を断ることができなかったのは
私が学園祭の実行委員になるために
T に裏工作してもらったことや、
夏休みのレポートを
ほとんど丸写し状態まで手伝ってもらった
恩があったからなのです。

「それで…いつ会うの?」
「今日、暇だよね。」
たぶん T は私にあまり選択の時間を
与えたくなかったのでしょう。
それだけ切実だったのかもしれません。
仕方なく制服のまま、
カノジョの現れるという隅田川へと足を向けました。
               -つづくー


何か書く前に
ストーリーのようなものを書こうとしたら
少しだけ長い話ができてしまいました。

仕方ないので続きは明日にします。

読者0で連載開始…秋の夜はせつなくて良いですね。




「所帯を持つ」



「所帯を持つ」

 予感がする。
あいつの声が違ったから。
「大事な、話がある」と一瞬言葉を切ったから。
 予感がする。
もうすぐ付き合って半年。
もうすぐ1000回目のキス。
 予感がする。
あいつが私より先にカフェの外で待っているから。
初めてキチンとアイロンのかかった服を着ているから。
 予感がする。予感がする。予感がする。
 薬指がジンと熱くなる。



結婚の数だけプロポーズの言葉がある、と
いうわけではありません。

多くの人が
シンプルな言葉を選ぶのでしょうか?
「結婚しよう」とか「幸せになろう」とか。

もしも、ひと味違う言葉をさがすなら
「所帯を持とう」
こんなプロポーズは、どうですか?

「所帯」という言葉のちょっと古風な響き。
独立と言う言葉に似て自尊心をくすぐられ
生活と言う言葉に似たくつろぎも感じます。

きっとどこかに、こんな言葉にときめく「なでしこ」もいるはず。

もちろん「所帯」と聞いて
「何それ。どんなフォント?」と
聞くような女性は違う意味で魅力的ですが…。

貴方のプロポーズの言葉は何ですか?

今日から
ここに1人所帯を持つことになりました。
お近くにお出での際は、お立ち寄りください。

           世帯主 ひより
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