2005-08-26

川風

テーマ:コトバにできない

「川風」


お酒を飲んだ後で

私たちは

よく川沿いの道を歩いた。


あるときは

川上へ

あるときは

川下へ


星も月もない夜。


街の灯りをうつしてゆらぐ

流れを眺めながら

あなたはいつも

饒舌になった。


またたく水の

よこぎる時間の

かすかなうねり。


弱い街灯のあかりに

暖められるようにして

腕を組み

ゆっくりと歩く。道。


優しい風に

撫でられるようにして

控えめを装う

あなたの言い訳を

今日もだまって聞き流している。


私は。

ただ。

答えるかわりに。


あなたと組んだ手に

ぎゅぅっと力をいれて

もっと近くに寄り添うだけ。


安心したあなたが

つかなくていい嘘を

もうそれ以上

重ねたりしないように。





夏休みも残り少なくなりました。

私の1番好きな季節が、終わろうとしています。

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2005-08-19

別れ

テーマ:喪失

「別れ」


日に焼けた

カーテンの向こうで

しらじらと

夜が明ける。


旅じたくをする

あなたの背中越しに見えるのは

見慣れた私の部屋の

正方形の窓。


まだ

秋風も吹かない晩夏の

熱っぽい夜明けの空気の中で


なぜ今日なのか

理解できずに


かろうじて

出口をふさぐ位置に

ぺたんと腰をおろして

私はあなたを眺めている。


― 僕が先に行くんだ。わかるね。


どうして、とは聞けなかった。


いつも何を聞いても

悲しそうな顔で

いつか分かるよ、と

言われるだけだから。


あなたは忙しそうに

荷物をつめている。

一度も私の方を見ようとしないで。


あの背中にしがみついたら

ここに

とどまってくれるのだろうか。


子供のように声を上げて泣きながら

ふりほどかれても

ふりほどかれても

しがみついたら


そんなふうにあふれる涙で

思い切りその上着を汚してしまえば

あなたは

旅立つのをやめるのだろうか。


思いは駆け巡るけれども

いくじの無い私の体は

ただおびえるばかりで

少しも力が入らない。


泣くことも

理解することも出来ず

もちろん覚悟など

どこにもなく


せめて

あなたが最後に

あのあたたかい

私の大好きな笑顔を

作らないことだけを

ぼんやりと

心のすみで祈っている。


さようなら、と

告げられる時に。





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2005-08-12

テーマ:大切なモノ

「翼。」


ざざざ、と

大きな音をたてて

カーテンを開く。


溢れる朝日にそなえて

目を細めて。


シャワーで

汗を洗い流すように

朝の光で洗い流すのは


夢でクウを切った翼に

付着した暗い

オリのようなもの。


きのうの。

よるの。

忘れたい夢。


それは

飛行ではなくて

落下。で。


タタマレ。


私の肩甲骨の上に

翼は幾重にも重く


オリ。

タタマレ。


私はうまく飛ぶことも

歩くこともできない。


アイジョウ。

トカ イウ。


あなたが望んだ

自由への翼が


私の夢の中では

自由への足枷となる。


助走すら

つけられない体を

夢の中において


いつもの。

朝の。

光の中に

着地する。


飛ぶためじゃなく

また

歩き出すために。






翼はいりません。

高いところは苦手です。


私の好きなものも

私の欲しいものも

この場所から見えるから。

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2005-08-04

誰何(すいか)

テーマ:開かれたマド


からん。


風鈴がひとつ、鳴る。


誰かに呼ばれた気がして目が覚めた。


から、りん。


ひるさがり。


紅いガラスの江戸風鈴は

コップの中で溶けていく

氷の音、で。


から、あん。


誰?


さっきから、呼んでいる。


あの薄く美しい風の発声装置を

私の手のひらに

そっと包み込ませたのは


肩車をしてくれた父さんか。

初めてキスをしたオトコのコか。

優しい目をした露天商のおじさんか。


まだ

覚めきっていない頭で

ゆっくりと記憶をたぐる。


昼間の縁日の光。

原色の屋台の列。

甘いカステラと綿菓子の匂い。


鈴なりにぶら下がり

細いマドラーで

風をかき混ぜていた風鈴屋さんの。


からん。

からん。

から、らん。

から、あん。


ちがう。

あなた、だ。


私を呼んでいるのは。


ここにはいない

遠いあなたの声が

青い空と白い雲を背景にして


からん、と。

鳴っている。


何度も。


泣かさないくらいに優しく

私を呼ぶ





風鈴の音。ステキですよね。

南部鉄の風鈴の「ちりん」という高い音も好きだけど

ガラスの江戸風鈴の

コップをマドラーでたたくような音も好きです。

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