イースタン・プロミス」(2007)

監督: デヴィッド・クローネンバーグ

脚本: スティーヴン・ナイト

撮影: ピーター・サシツキー

主演: ヴィゴ・モーテンセン


別に意図してではないのだが、最近ロシアンマフィアを扱った映画をよく観ている気がする。まあフィクションで描かれるマフィアと言えばイタリア、中国、ロシアが一般的なので裏社会物を選べばそれに当たる確率は自然と高くなるのだけれども


そんなわけでこの作品にもロシアンマフィアが登場する。演じるのがヴィゴ・モーテンセンとヴァンサン・カッセル。もし彼らが並んで繁華街を歩いていたら、私は黙って道を譲る。あの顔とあの体格で睨まれでもしたら小便をチビリそうなくらいに迫力満点だ。ボス役がアーミン・ミューラー=スタール。カラーコンタクトをしているのか、眼がやけに碧く不気味さを醸し出す


やたらに銃を使わず相手を刃物で殺傷するところが実にリアル。ましてや監督がクローネンバーグとあって、観る側の皮膚に突き刺さるようなエモーショナルな演出には思わずうめき声が漏れそうになる。全裸で無防備のモーテンセンがサウナで格闘するシーンの凄みは格別。彼の役者魂を見た気がする

クリスマスの日に14歳の少女が産み落とした赤子と彼女が遺した日記を巡るサスペンス。ラストシーンでは助産師のナオミ・ワッツが聖母マリアに、そしてモーテンセンがイエスの養父ヨセフのように私には映った

(2022 - No.58)