丘の上の魔女の導きでペーターはいくつかの前世を訪れて、そのたびに怒っている「自分」や周囲を見た。

16世紀末の八十年戦争時のオランダとか、11世紀くらいの平安時代とか。

それらが見えた末ににたどり着いた次の前世。

いきなり黄色い服の袖が見えた。
こーんな服の袖だ。

何故か一発で飛鳥時代だ!!と解った。
それも7世紀初めくらい。
聖徳太子の時代だ。

そしていきなり心の中から「うわーーーーーーーーっ」と大きな感情が湧き上がってきた。
感情はペーターの身体からはみ出して溢れ出ていく。
奔流を制御しきれず慌てる思いと同時に「この時代の前世が怒りの感情の原因だ」と得心して、さらに心の中で目を凝らして見た。

谷あいで何やら土木工事をする人々。
でっかい石を修羅で運んできている。

古墳だー。

まさに墓を造っているところだった。

墓の下の整地された部分に切妻屋根の簡単な建物が並んでいて、そこで親族関係者が揉めているのが見えて。
そしてペーターの前世と思しき男は自分より若い男性に啖呵を切って部屋から出て行って、そして自ら建てさせた簡素な建物を壊させている。

あー。これ知ってる。

日本書紀に出てくるやつ。

ということは…ペーターの前世さんは…!?


「摩理勢だああああ!!」

 

蘇我馬子の弟の境部摩理勢(さかいべのまりせ)だ、と気がついたというわけ。

これは魔女ブナピーさんの誘導でではなく、ペーター自身の知識で解ったことだ。

知識として摩理勢さんの最期も知っていたのだが、場面はすぐにその場面に移った。

兵馬俑の兵士みたいな四角い顔の男に殺されたのだ。

持っていた戈のような?鎌のような?獲物でがっつり右の鎖骨辺りを傷つけられた場面が出てきて、そこで終了。

 

そしてブナピーさんの誘導で、ペーターから摩理勢さんに一言気持ちを伝えてみたりもした。

摩理勢さんは受け入れてくれたようで、とても充実した心持ちになったりして。

 

セッションを終了させるための誘導をしてもらっていても、溢れ出た思いはなかなかペーターの身体に返ってきてくれなかったけれども。

なんとか収めてその日は終了となった。

 

ちなみに余談だが、このセッションを境にペーターの中の自己肯定感が大きく向上していった。

それと、よく自分が変わると周りが変わると言われるが、事実なのだなと感じる出来事が起きた。

職場でのペーターの役割にも少し変化が見られた。ずっとそうなって欲しいと願っていたあり方に変わったのだ。

セッションを受けてよかった!!と思っていたのだが…。

 

それだけでは終わらなかったのだ。