小さな恋の行く先は【26】 | 今日の戯れ言

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何でも聞いてやる…


そう思いながらも、焦る輝ちゃんを見てると、どうにも出来なくて

彼女の唇に、人差し指で蓋をした。

焦んなくたって、どこにも逃げやしねぇよ。


「あ、そだ。輝ちゃん、ちょい手、出して?」

不安そうな表情の輝ちゃんに、大丈夫だからと両手を出させた。

そして、瞳も閉じさせ、俺はポケットからビンを取り出した。落とさないように、輝ちゃんの両手の下に自分の手を添えて、そっと手のひらに乗せる。


「もういいぜ?目、開けても」


俺の言葉に、ゆっくり開かれた瞳が、驚きの色に染まる。
次の瞬間、弾かれたように視線が重なった。


「ケン兄、これ…っ」

「ん?、前に話した事あっただろ」

「覚えててくれたんだ!…ありがとう。すっごい嬉しい」


それまでの不安そうな瞳が一変、キラキラと輝かせながら、俺を見上げる。そりゃ覚えてるさ。だって、輝ちゃんの喜ぶ顔が見たかったんだからさ。


久しぶりに見る表情に、心の角にあった罪悪感が、少しばかり軽くなった。


To be next story …

最初から見たい時は

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