何でも聞いてやる…
そう思いながらも、焦る輝ちゃんを見てると、どうにも出来なくて
彼女の唇に、人差し指で蓋をした。
焦んなくたって、どこにも逃げやしねぇよ。
「あ、そだ。輝ちゃん、ちょい手、出して?」
不安そうな表情の輝ちゃんに、大丈夫だからと両手を出させた。
そして、瞳も閉じさせ、俺はポケットからビンを取り出した。落とさないように、輝ちゃんの両手の下に自分の手を添えて、そっと手のひらに乗せる。
「もういいぜ?目、開けても」
俺の言葉に、ゆっくり開かれた瞳が、驚きの色に染まる。
次の瞬間、弾かれたように視線が重なった。
「ケン兄、これ…っ」
「ん?、前に話した事あっただろ」
「覚えててくれたんだ!…ありがとう。すっごい嬉しい」
それまでの不安そうな瞳が一変、キラキラと輝かせながら、俺を見上げる。そりゃ覚えてるさ。だって、輝ちゃんの喜ぶ顔が見たかったんだからさ。
久しぶりに見る表情に、心の角にあった罪悪感が、少しばかり軽くなった。
To be next story …
最初から見たい時は
go-back to first story