▼ オーストラリアのデータ
チオプリンについて調べていたら、オーストラリアのサイトに、潰瘍性大腸炎/クローン病で使われる薬とがんの発生率についての説明図がありました。
日本人を対象とした調査ではないため、日本人にもあてはまるのかは不明です。あくまでも参考用です。
不安な方は、医師に迷わず相談を。
薬は、5-ASA、ステロイド、チオプリン、メトトレキサート、レミケード®類、レミケード®類とチオプリンとの併用利用、エンタイビオ®、ステラーラ®、ゼルヤンツ®の9種類です。
対象の病気は、悪性リンパ腫、骨髄増殖性がん、皮膚がん(悪性黒色腫と非メラノーマ皮膚がん)、消化器がん(胃がん、小腸、大腸など)、子宮頸がん、尿管がん、肺がん、その他の固形タイプのがん(血液のがんは含まない)。
▼ 悪性リンパ腫
血液がん(造血器腫瘍)の1つで、白血球の中のリンパ球ががん化したもの。 リンパ球には、B細胞、T細胞、NK細胞などの種類があり、これらががん化して無制限に増殖することで発症する。
悪性リンパ腫が発生する部位は、リンパ系組織とリンパ外臓器(節外臓器)の2つに大きく分けられる。
◎ リンパ外臓器(節外臓器
胃、腸管、甲状腺、骨髄、肺、肝臓、皮膚など。
◎ リンパ系の組織や臓器は全身にあるため、悪性リンパ腫は全身の部位で発生する可能性がある。
▼ 骨髄増殖性腫瘍
血液細胞のもととなる骨髄系幹細胞ががん化し、無制限に増殖することで発症。稀に起きる。
▼ 皮膚がん(悪性黒色腫と非メラノーマ皮膚がん)
非メラノーマ皮膚がんは、悪性黒色腫に比べ多い。
日本人は、皮膚がんは稀だが、少しずつ増えている。
◎ 図:薬剤とがんとの関係
▼ 5-ASA
サラゾピリン®、ペンタサ®、アサコール®、リアルダ®
大腸がんの予防になる
リスク度:
この薬で9種類のがんになる危険性はない。
▼ ステロイド
リスク度:
1、2:非メラノーラ皮膚がん
それ以外のがんになる危険性はない。
▼ チオプリン
イムラン®、アザニン®、ロイケリン®
大腸がんの予防、高度異形成の予防にもなる
リスク度:
4:悪性リンパ腫、非メラノーマ皮膚がん
3:骨髄増殖性がん、尿管がん
2、1:悪性黒色腫、子宮がん
日本人の皮膚がんは稀とされている。
▼ メトトレキサート
免疫抑制剤。抗悪性腫瘍薬、抗リウマチ薬、妊娠中絶薬などとして使用される。
データー数が少なすぎる
危険度:
3 非メラノーマ皮膚がん
2 悪性リンパ腫、骨髄増殖性がん、悪性黒色腫、消化がん、子宮頸がん、尿管がん、肺がん、他固形がん
▼ 抗-TNF製剤
レミケード®、ヒュミラ®、シンポニー®、シムジア®、ナノボディ®
危険度:
3 悪性リンパ腫、悪性黒色腫(ただし、一部のデータのみの結果)
1,2 骨髄増殖性がん、非メラノーマ皮膚がん、消化がん、子宮頸がん、他固形がん
▼ 抗-TNF製剤とチオプリン製剤の併用
4 悪性リンパ腫、非メラノーマ皮膚がん
3 骨髄増殖性がん、悪性黒色腫瘍がん、非メラノーマ皮膚がん
1,2 消化がん、子宮頸がん、肺がん、他固形がん
* メトトレキサートと抗-TNF製剤併用のデータ不十分 (意味不明・・・)
▼ エンタイビオ®
危険度:
危険なし/データ限定のため不明
悪性リンパ腫、骨髄増殖性がん、悪性黒色腫瘍、非メラノーマ皮膚がん、消化がん、子宮頸がん、尿管がん、肺がん、他固形がん
▼ ステラーラ®
危険度:
データ限定のため不明: 非メラノーマ皮膚がん
危険なし/データ限定: 悪性リンパ腫、骨髄増殖性がん、悪性黒色腫瘍、消化がん、子宮頸がん、尿管がん、肺がん、他固形がん
▼ ゼルヤンツ®
危険度:
2,1,データ限定のため不明:悪性リンパ腫、非メラノーマ皮膚がん、肺がん
*1 件の治験で、特にリンパ腫と肺がんの全体的ながんリスク増加が報告された
データ限定: 骨髄増殖性がん、悪性黒色腫、消化がん、子宮頸がん、尿管がん、他固形がん
*エンタイビオ®、ステラーラ®、ゼルヤンツ®については、長期データが限られています。
*エンタイビオ®および ステラーラ® への曝露によるリスク増加は報告されていません (ステラーラ®の非メラノーマ皮膚がんを除く)。
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