2025年2月練馬区議会第一定例会で会派を代表して行った一般質問について掲載します。
正式な議事録は区議会HPからご覧になれます。
学校施設を利用した子どもの居場所づくりについて
質問
区は、平成27年3月策定の「みどりの風吹くまちビジョン」において、すべての小学生を対象とした放課後の居場所づくりを実現するため、小学校の施設を活用して「学童クラブ」と「ひろば事業」を一体的に運営する「ねりっこクラブ」を開始し、全校実施を目指すことを掲げられました。
この間、区は実施校を着実に拡大し、令和7年4月には実施校は62校に、新たに確保した学童クラブ定員は累積で2,500人以上となり、ピーク時に387人まで増えた学童クラブ待機児童は、令和6年度に164人まで減少するなど、放課後の子ども居場所を充実してきた成果が表れてきています。
一方、最近では、朝の登校前の子どもの居場所について保護者のニーズが高まっており、学校の開門を待つ子どもたちへの対応が新たな課題となっています。
区が実施している「子ども・子育て支援事業計画策定に向けたニーズ調査」によると、区内の小学校児童家庭の共働き世帯の割合は、平成30年度調査で48.4%でしたが、令和5年度調査では60.7%と、5年間で12.3%もの増加がみられ、就学前児童家庭の共働き世帯の割合も同様に52.3%から66.1%へと13.8%も増加しています。
こうした、急増する共働き世帯の保護者、特に小学校新1年生の保護者にとって、区内保育園の平均開所時間は7時15分であるのに対し、小学校の開門は午前8時となっておいることから、そのギャップを埋める朝の子どもの居場所がないため、親が朝の対応に迫られ、働き方や仕事を変えなければならない、いわゆる「小1の壁」となっています。
共働き世帯の増加だけでなく、核家族化や、地域住民との関係の希薄化などにより、出勤後に子供のみで在宅させたり、子どもにカギをかけさせて通学させたりすることは、施錠など防犯や防災の面においても保護者の不安要素となっていることから、育児と仕事の両立に向け、社会全体で課題認識を深めていく必要があり、保護者が安心して仕事ができるよう、子どもの朝の居場所づくりは急務であると考えます。
小学校の開門時間は、現在教員の勤務時間にあわせた管理体制の中で、安全を確保できる時間に開門することとなっていますが、保護者の通勤時間に合わせて登校する児童や、子どもが一人で自宅にいたくない、またはいられない、といった児童たちは、開門時間より早く登校し校門前で待つことになり、近隣住民などから、子供たちが道路に出て危ないと心配する声や、うるさいといった指摘を受けたりすることもあるようですが、区は、こうした開門時間前の児童生徒の状況を把握していますでしょうか。また、子どもの朝の居場所についてどのように認識されているのかご所見をお伺いします。
昨年12月、こども家庭庁と文部科学省が取りまとめ公表した「放課後児童対策パッケージ2025」においても「朝の子どもの居場所づくりの推進」が掲げられました。朝の時間帯における学校施設の利用について、教師の負担とならないよう、また管理運営上の責任体制に留意しつつ、自治体における独自の取組に活用できる補助事業や好事例を周知するとしています。
他の自治体をみると、大阪府豊中市では、令和6年4月から、学校見守り員を配置して朝7時からの校門開放を開始しており、都内では、豊島区が令和7年1月から2校で7時45分からの開門を試行しているほか、三鷹市や八王子市などでも実施例があります。子どもの朝の居場所づくりを実施する自治体では、活用する学校施設は様々で、子どもを受け入れる体制も、地域の団体やボランティア、民間企業に委託など様々となっています。
練馬区においても、先行自治体を参考にし、小1の壁対策として、保護者のニーズを把握するための調査を実施するなど、子どもの朝の居場所の確保に向けた取り組みに着手すべきと考えますが、ご所見をお伺いします。
答弁
●教育長
現在多くの区立小学校では、教員の勤務開始時間に合わせて、児童の登校時間を8時15分から25分までとしています。
一方、保護者の出勤時間との関係で、登校時間より前に登校する子どもたちが一定数いることから、管理職や早めに出勤した教員が8時前に校門を開け、校庭や校舎の昇降口前に子どもたちを迎え入れていることを多くの学校から聞いています。
今後も、共働き家庭の増加等に伴い、朝の子どもの居場所に関する保護者のニーズが増加していくことが想定されます。こうした中、昨年12月に子ども家庭庁と文部科学省は、「放課後児童対策パッケージ2025」を策定し、朝の子どもの居場所づくりを推進していく方向性を示しました。現在、実態把握に向けた全国調査が実施されています。
区教育委員会としては、各学校の実態把握に努めるとともに、国の調査の結果や他自治体の事例を踏まえながら、朝の子どもの居場所づくりについて、検討してまいります。