2025年2月練馬区議会第一定例会で会派を代表して行った一般質問について掲載します。

正式な議事録は区議会HPからご覧になれます。

 

~保育施策について~

 

 

  質問

 

こども誰でも通園事業について。

従来、公的な保育事業は福祉制度として「育児に困難のある家庭」が対象となっており、保護者の就労や、出産、疾病、介護など保育を必要する方、さらに2015年度には求職活動や育休なども追加されましたが、保護者が就労していない家庭などは未だ利用しにくい状況にあります。

令和8年度から全国の自治体で開始する、こども誰でも通園制度は、保育施設に通っていない生後6カ月から3歳未満の未就園児を対象にしており、親の就労に問わず利用できることで、孤立した子育てや育児不安、虐待を防ぐ狙いがあります。

練馬区では、令和7年7月から、こども誰でも通園事業を試行実施するとしていますが、実際に想定されている運用は、定員に空きのある施設が可能な時に利用者を受け入れるというものと考えられますが、区として受け入れが可能な状況にあるのか、お伺いします。

こども誰でも通園制度が多様な支援の一つとして拡充されることは、子育ての選択肢が広がることに繋がる一方、国が示しているモデル事業では、利用時間が月10時間と短いことや、事業者側として人材確保や財政面などの課題や一時預かり事業との違いが指摘されていることから、利用者が利用しやすく、事業者が運営しやすくなるような事業となるべきと考えます。

そのためには、利用者が利用しやすい預かり体制をつくり、事業者に対しては、国や都の補助金を活用し、区独自のスキームを構築していくことも必要と考えますが、どのように保育所や幼稚園などと調整を進めていき、こども誰でも通園制度を実施していくのか、ご所見をお伺いします。

 

保育所整備について。

女性の社会進出による共働き世帯の増加や男性の育児休業制度の取得など多様化する保育ニーズなどに対し、前川区長就任以来、待機児童数ゼロを区政の最重要課題の1つとして位置付け、待機児童ゼロ作戦をはじめ、認可保育所の整備、区独自の練馬こども園の創設などに取り組まれ、全国トップクラスの、9,200人以上の定員増を実現し、4年連続で待機児童数ゼロを達成いたしました。

保育料無償化については、国が3~5歳と住民税非課税世帯の0~2歳を対象に無償化しており、区は、幼児教育・保育の無償化が開始される際には新たな保育需要についても対応されてきました。

現在、都は国の助成に上乗せする形で0~2歳の第二子以降について所得制限なしで全額無償化を行っていますが、来年度には、対象を第一子に拡充するとしており、実施されれば就学前の全ての子どもの保育料が無償化となります。

区は、今後5年間の保育の需要と供給量を定める第三期子ども子育て支援事業計画を今年度末に策定しますが、無償化拡大やこども誰でも通園制度、育休取得の増など、施策の充実により子育て環境が変化している中でどのように保育需要を見込んでいるのかお伺いします。

前川区長就任後に区が誘致した保育園等の数は100園を超え、待機児童解消に向けスピード感をもって取り組まれ、4年連続の待機児童ゼロを達成しました。待機児童対策が一定の成果を得た現在、これまでのような新設園の整備を行うことは、利用者の分散や利用者減による空き定員の増加につながり、これまでの練馬の保育を支えてきた保育事業者の経営圧迫なども考えられます。

今後の保育需要と併せ、新設園の整備についてどのように考えておられるのか、また、継続した保育が可能となるようにどのように取り組んでいかれるのか、ご所見をお伺いします。

 

 

  答弁

 

●教育長

・こども誰でも通園事業について
国は、昨年度からモデル事業を実施するとともに、昨年6月に関係法令を改正し、令和8年度から給付制度として本格実施することとしました。
国のモデル事業は、利用時間の上限を「月10時間」としていますが、慣れるのに時間がかかる子どもへの対応には不十分です。また、国が給付する補助単価が低額なことも課題となっています。
区では、都補助の活用も含め、利用しやすい制度となるよう検討し、本年7月から試行実施します。
実施にあたっては、私立保育所の一時預かり事業の定員枠の転換や私立幼稚園の未就園児保育等を活用して受け入れる予定です。
今月開催する事業者説明会等でのご意見を踏まえ、事業内容を決定してまいります。

・保育需要について
日本全体で少子化が進む中、区の出生数も減少傾向が続いています。一方、共働き家庭の増加や、女性の就業率の上昇により、保育サービスを利用する児童が増加しています。
また、育児休業の取得増や休業期間の長期化が進み、0歳児の保育需要が減少し、特に 1・2歳児の保育需要が増加しています。一部の地域ではひっ迫した状況が生じていることから、来年度の入園募集にあたり、区立保育園3園の0歳児定員枠を活用し、1歳児1年保育を実施します。あわせて、今年度取得した立野町の区有地に、認可保育所を誘致します。
来年度新設する定員拡大に向けた私立保育所等への補助は、国の補助制度等を活用し、1・2歳児の定員増につながる保育環境の整備とあわせて、各施設の課題となっている設備の更新等にも利用できるものとしています。
引き続き、私立保育所等を運営する事業者の皆さんのご意見を伺いながら、今後の支援のあり方について検討してまいります。
都が本年9月から実施を予定している第一子無償化など、今後の保育需要に与える影響について注視するとともに、地域事情等も踏まえながら、既存の保育施設の活用を基本に、柔軟な定員確保を進めてまいります。