2025年2月練馬区議会第一定例会で会派を代表して行った一般質問について掲載します。

正式な議事録は区議会HPからご覧になれます。

 

 

 

文化、芸術施策について

 

 

  質問

 

区はみどりの風吹くまちビジョンにおいて、緑の中で誰もが文化芸術を楽しめる街の実現を掲げ、音楽などの舞台芸術をはじめ、美術館や博物館事業など、様々な文化施策に取り組まれています。その取り組みの主な成果として、区ゆかりの演者による「練馬薪能」や「真夏の音楽会」は前川区長就任以来、継続して開催し、区の一大文化イベントとして定着しております。

文化芸術と一言で言ってもその幅は広く、オペラ、オーケストラ、合唱などの音楽をはじめ、J-POPなどのポップス。

絵画、彫刻、写真などの美術。漫画、映画、アニメーションなどのメディア。

芸術、小説、詩、俳句などの文学。

ミュージカルや人形劇などの演劇。

能や歌舞伎、阿波踊りなどの伝統芸能、そして区民が作成した作品など、日本古来からの伝統文化や現代における芸術に至るまで、様々融合するものであります。

更には、乳幼児から若者、子育て中の方から、高齢者まで幅広い年齢層があり、その世代ごとに文化芸術の関心がある分野も様々です。

区が展開する文化・芸術施策で重要なことは、その全ての世代が気軽に文化芸術に触れる事により、人々がゆとりと潤いを実感できる心豊かな生活を実現できることや、障害の有無にかかわらず、他者と共感しあう心を通じて相互の理解を促進することで共生社会を実現する事に繋がると考えますが、改めて区が推し進める文化芸術振興における意義とその姿勢についてのご所見を伺います。

 

次に区が推し進める文化・芸術振興の機運醸成についてです。

1月11日の区報を見ると、アトリウムミニステージをはじめ、ジュニアオーケストラの定期演奏会、ふるさと文化館での企画展など、区が文化施策に取り組んでいるものの、練馬区における文化芸術のイメージが区民に十分浸透しているとは言えないと考えています。

例えば、若者に広くクラシックを聴いてもらいたいとしても、興味がなければ残念ながら聴く機会に繋がらないなど、先に申し上げたように、その世代ごとに文化芸術の関心がある分野は様々であることから、区として幅広い文化芸術の門戸を開き、身近な分野から関心を持っていただく事が大切であると考えます。

区には名誉区民でもある、漫画家のちばてつやさん、狂言師の野村万作さん、区文化振興協会理事長である音楽家の大谷康子さん、他にも若い世代に絶大な支持を誇るアーティストなど、練馬にゆかりのある芸術家は大変多くいらっしゃいます。

今後、多くの区民に区の文化芸術振興施策について広く知ってもらえるよう、このような方々に芸術の垣根を超えた機運醸成にお力添えをいただきつつ、文化芸術のすそ野を広げることが必要であると考えますが、いかがでしょうか。

また併せて、まちの中で、区民が気軽に音楽やダンスといった文化芸術を披露する場を作るなど、区と区民が、ともに文化芸術を盛り上げていくような取り組みも必要と考えますが区のご所見をお伺いします。

この項の最後に、美術館・図書館の全面リニューアルについて申し上げます。今後、再整備される美術館・図書館は、国内外で活躍する建築家、平田晃久氏の設計による個性的な建築物となり、区民がアートや本に触れ、感動や発見につながる特別な場所へとリニューアルされます。

建築価値のある新たな美術館、図書館が完成し、建物の中に入れば世界的に有名な芸術や区民作品など、様々な美術品と出会うことは、区民にとって貴重な体験であり、芸術の蓄積を生かした区民の貴重な生涯学習の場となると考えます。

しかし、美術館の役割は、区の文化芸術振興におけるハードの一つであり、重要なことは区が、区民に対して文化芸術振興への確たる姿勢を示すと共に、そこに向かう途上に区民が期待する機運醸成が生まれる事であると考えます。区の文化芸術振興が区民の真の財産となり、将来にわたり芸術といえば練馬と実感してもらえる様、施策の充実、さらには機運醸成に取り組んでいただきたいと要望します。

 

 

 

  答弁

 

●区長

「人の生くるはパンのみによるにあらず」この有名な箴言は、「神の言葉によりて生きるものなり」と続きます。私は神の言葉とは考えませんが、人間は広い意味での「言葉」すなわち表現行為なくしては、一日たりとも生きることができないと考えています。文学はもちろん、絵画、音楽などの文化芸術なくしては生きていけないのです。だからこそ、みどりの風吹く中、誰もが自由に優れた文化芸術を楽しめるまちを創りたい。私は就任以来、この夢を抱き続けてきました。
この夢の実現に向け、これまで開催してきた「真夏の音楽会」や「みどりの風 練馬薪能」は、練馬の季節の風物詩として定着しています。
美術館では、あしたのジョー展、シスレー展、舟越保武展など数々の独創的な企画展を開催し、高い評価を得てきました。また、区民の創作活動の発表の場として区民美術展なども開催しています。
石神井公園ふるさと文化館には、練馬区在住の漫画家、村上もとかさんを館長に迎え、「ねりま漫画サロン」や特別展「大漫会の漫画家たち」など、多彩な催しを開催しました。
「ねりまの森の音楽祭」では、子どもから高齢者まで、誰もが気軽に、自由に参加いただけるよう野外コンサート形式とし、多くの方に楽しんでいただいています。
今後も新しい発想により、誰もが楽しむことができる、練馬ならではの文化芸術を花開かせたい。その先頭を切るのが新美術館です。

 

●地域文化部長

文化芸術の機運醸成について
 区では、身近な場所で誰もが気軽に文化芸術に触れていただけるよう、地区区民館などで行うコンサート「ねりぶん音楽便」や、福祉施設などに演奏家を派遣する「演奏家派遣事業」などを実施しています。令和7年度には、より多くの方に参加してもらえるよう実施回数を増やすほか、休館となる美術館では、地域に出向き、小学生から大人まで楽しんでいただけるワークショップを区内各地で展開します。
また、区民が自ら取り組む文化芸術活動の発表の機会を区民文化祭、練馬まつり、照姫まつりなどで提供し、来場者にも楽しんでいただいています。
文化芸術のジャンルや楽しみ方は様々です。

今後も多様な文化芸術事業を展開することで、誰もが、気軽に、自由に文化芸術に触れる機会を増やしてまいります。
区の文化芸術施策を広く知っていただくためには、様々な媒体を活用した積極的な広報展開が不可欠です。各分野で活躍している区ゆかりのアーティストの方々とのさらなる連携を図りながら、訴求力のある発信に取り組んでまいります。