2024年6月の第二定例会において会派で行った一般質問について掲載します。

正式な議事録は区議会HPから後日ご覧になれます。

 

熱中症対策について

 

  質問

 

昨年、世界各国で最高気温の記録が更新され、国連事務総長は地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来したと警告しました。 

我が国についても、昨年夏は全国各地で35度を超える日が続き、命の危険を感じるような酷暑が多く、熱中症による救急搬送者数が増加しています。消防庁によれば例年4、5万人前後の方が救急搬送されており、練馬区内の救急搬送者数についても増加傾向にあり、昨年は315人が搬送されています。 

区は昨年、熱中症を抑制する取組みの一つとして、区立施設等を一時休憩所として開放しておりました。昨年度段階から、熱中症予防のために施設を開放したことは区民の命や健康を守るために必要な取組みであったと評価します。

今年度は、4月に改正された気候変動適応法に基づいてクーリングシェルターとして開放しているとのことですが、開放しても認知度が低く利用に繋がらなくては意味がありません。 

そこでまず、昨年度の経験を経て、今年度はどのように周知をしていくかお伺いします。

 

近年の異常ともいえる気温上昇は、日本だけでなく、世界各地で極端な高温の頻度が増加しています。 

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書によると、世界の平均気温は、少なくとも今世紀半ばまでは上昇を続け、向こう数十年の間に二酸化炭素及びその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21世紀中に産業革命以前と比べ1.5℃から2℃上昇するとされており、今後も暑さが厳しくなることも考えられ、最高気温が40℃を超える日も珍しくなくなる可能性があります。 

気象庁によると6月からの三か月予報ではラニーニャ現象により気温が上昇し、今年も猛暑となると発表されました。 

そのような中、今年4月から、重大な被害が生じるおそれがある暑さが予測された場合に新たに発表される「熱中症特別警戒アラート」が運用されています。 

特別警戒アラートが発表された際、クーリングシェルターを開放する時間は、夜間も含めた24時間体制であることが求められますが、夜間や休日は区立施設で対応する職員の確保などが課題となるため、民間施設の協力が必要となると考えます。 

民間施設と協力し区内全域をカバーできるよう配置や対応できる時間帯を考えて協力を求める必要があると考えますが取組み状況をお伺いします。

 

環境省で実施した熱中症警戒アラートの活用状況等の調査結果によると、熱中症警戒アラートについての国民の認知度は80%であり、一定の認知度が確認されていますが、熱中症警戒アラートが発表された際に、水分補給やエアコンの使用、外出・屋外作業の自粛などの行動をとっている割合は、全体としてまだ十分に高くはなく、熱中症予防行動が十分に定着した状況とは言い難いとのことです。 

厚生労働省によると熱中症による死亡数は平成30年から令和2年まで、3年連続1,000人を超えており、中でも高齢者の死亡者数が多く、令和2年では死亡者総数のうちの約86%が65歳以上の高齢者となっています。高齢者や熱中症弱者と言われる子ども、持病がある人、体調不良の人などは、熱中症に特に注意が必要です。 

行政が行える熱中症予防の第一段階は呼びかけによる周知や啓発にあると考えますが、その先に区民や事業者、関係団体等が適切に対応できるようにするためには行事中止、ルールの策定、区立施設への空調導入・更新などを推進し、そのための組織体制、関係部署との連携が必須であると考えますが、ご所見をお伺いします。

 

 

  答弁

 

●区長

近年、熱中症による救急搬送者数、死亡者数は高い水準で推移しています。四月には熱中症特別警戒アラートの運用も開始され、熱中症対策は重要な課題となっています。
既に、ねりま情報メールによる熱中症警戒アラートの配信開始など、予防行動への働きかけを強化しています。高齢者や障害者向けに、それぞれの家庭における熱中症の危険を知らせるため、緊急通報システムの入れ替えを進めるとともに、基礎疾患がある方などリスクの高い方には、個別訪問等により呼びかけを行います。

今月一日、八十八か所の区立施設および六十六か所の薬局を、クーリングスポットに指定しました。生活困窮世帯へのエアコン設置補助事業は助成額を増額し、区立小中学校、幼稚園、保育園等子どもが利用する施設には、気化式冷風機やスポットクーラー、熱中症指数計などを導入します。また、学校安全安心 ボランティアなどが空調服等を使用できるようにしました。
熱中症の危険から、区民の生命と健康を守るため、引き続き力を尽くしてまいります。

 

●健康部長

昨年度、熱中症対策のため設置した一時休憩所を、今年度は名称を「クーリングスポット」として開設しました。入り口に、目印となるタペストリーやポスターを掲出し、区民の皆様に分かりやすく案内しています。区立施設は85か所から88か所に、薬局は 39か所から66か所に、それぞれ増設しました。

 クーリングスポットの開放時間は、各施設や店舗が開いている時間です。今後、夜間等時間帯にも営業している店舗の協力が得られるよう、事業者と協議していきます。
区は、高齢者等に熱中症予防の声掛けを行っているほか、区ホームページから、環境省が策定しているイベント中止の判断基準などを示したガイドラインにアクセスできるようにし、区民や事業者に周知しています。

引き続き、健康危機管理として、全庁的な取組を進めるとともに、事業者と連携して、熱中症対策に取り組んでいきます。