舞台と幻想
降りしきるバラに埋もれて死ぬことを夢見る劇団員。
濃密な淫夢に日常生活も侵食されていく歌舞伎の小道具作りの娘。
母の恋人たちの言葉に母を知る娘。
舞台は別の世界。そこには生と死が同時に存在する。
舞台をテーマにした幻想的な短編集。
しかしどれも皆川先生らしい生々しい人の姿がありました。
愛なのか憎しみなのか、ただ欲する、感じる、
生も死も汚濁も清流もその世界には全て
息づいてる。
特に印象に残ったとともに気持ち悪さと
美しさも感じてしまったのが「紅地獄」です。
夜毎見る淫な感覚の夢がある過去に繋がっていて。
ぶっちゃけるとロリコンのクソ野郎ですが
なんだろうこの純愛と性愛の絶妙な隙間に
存在する感情は。
あと舞台の上にひっそりと存在する幽霊のような
存在との会話や
恋多き?いや、愛多き?母親の記憶を辿る
娘の話もなんとも言えない味わい。
濃厚な薔薇の香りに酔いながら
血の匂いも感じられそうな(鮮血ではなく)
作品集です。
夢に出そう。
次は海外ドラマ
ウェンズデー シーズン1
第5話「悲運の因果」の感想です。