こんにちは!たっくです!
高齢者にとって、
「玄関」は転倒の危険がある場所
として知られていますが、
実際に
どの場面が危険なのか、
ご存じでしょうか?
玄関の段差? 手すりが無い事?
いいえ、それだけではありません!
人間は、高齢になっていくにつれて身体機能が必ず衰えます。
そのため、転倒の危険はかなり高くなってしまいます...
それでもご自宅で安全に過ごすためには、どのような環境が良いのか...?
それは、
身体機能が衰えた状態でも、安全に過ごすことができる環境を選択する
ことで、初めてその方にとって安全な環境と言えるのではないでしょうか?
私ことたっくは、作業療法士として病院や老人保健施設で6年間勤務しています。
その中で、高齢者の方が苦手な動作や姿勢、またその方がご自宅に帰られた際にどういう場所や動作が苦手なのかをたくさん見てきました。
今までの経験を元に、
・高齢者の方はどのような動作が苦手なのか
・どのような環境が転倒の危険があるのか
・一例として、たっくの賃貸住宅の玄関にはどのような危険が潜んでいるのか
について、ご紹介させていただきます。
今回の記事を読んで、賃貸住宅を選ぶ際に少しでもご参考にしていただけると幸いです!
目次:
・高齢者が苦手な動作や姿勢とは?
・玄関周りにある危険とは?
・たっく宅の玄関の安全なポイントとは?
・たっく宅の玄関の危険なポイントとは?
・最後に
高齢者が苦手な動作や姿勢とは?
高齢者が苦手な動作とはズバリ!
・段差の昇降
・立ち上がり動作
・床の物を拾おうとする動作
・方向転換
・手を伸ばして物をとる
・後ろ歩き etc…
パッと考えただけでも、これだけあります。
考えたらもっとありそうですが、今回は玄関での動作を想定していますので、これくらいだと思われます。
意外とたくさんありますよね。
でも、年齢がまだまだお若い方にとってはそんなに難しいと思わない動作だと思いませんか?
それはたっくも思います!
ですが、病院や高齢者施設で勤務していると、
これらの動作が苦手な方をたくさん見かけます!
言うまでもありませんが、高齢になると身体機能、バランス感覚やリズム感、体の柔軟性、肺活量など、全身の機能が徐々に低下していきます。
その影響で、無理な姿勢をとるとバランスを崩して転倒したり、立ち続けると呼吸が荒くなって疲労感が出現し足を上げにくいなど、様々なことが起こります。
よって、単純に「立つ」という姿勢が苦手になる事も多く、ましてや片足を上げる動作や、体をひねる動作、手を伸ばす動作などが、徐々に難しくなってしまいます。
よって、先ほどお伝えした
・段差の昇降
・立ち上がり動作
・床の物を拾おうとする動作
・方向転換
・手を伸ばして物をとる
・後ろ歩き
という動作は、高齢者にとって徐々に難しくなってくる動作になるのです。
では、高齢者が苦手な動作はわかったけど、「玄関」のどの場面に危険があるのかわかりますか?
玄関周りにある危険とは?
玄関にある危険なポイントとはズバリ!
・段差(上りかまち)
・滑りやすい床
・照明などのスイッチの場所
・靴箱や玄関にあるクローゼットの扉 etc...
段差は、片足を上げての動作となるためバランスを崩して転倒しやすいです。
また、滑りやすい床も転倒の危険があります。
ですが、スイッチの場所や、靴箱などの扉はどういうことかと思いませんでしたか?
実はこれらも、場所や仕様によっては、転倒を引き起こす原因となるのです。
例えば玄関のスイッチの場所が、土間から遠い場所にあったら?
玄関から外に出てから照明がつきっぱなしな事に気づいたとします。
その際に、無理に手を伸ばしてスイッチを押そうとした時に、バランスを崩して転倒する危険があります。
先ほども申しましたが、高齢者は立った状態で手を伸ばす動作を行う際に、バランスを崩して転倒する可能性があります。
また、考え事をしている時やふとした時に転倒する事が多いのです。
この場合、焦ってスイッチを押そうとすると、転倒の危険があります。
まさにたっく宅の玄関がそのような環境であるため、のちにご紹介させていただきます。
靴箱やクローゼットの扉は?
それは、扉の仕様によって転倒の危険が変わってきます。
一般的な開き戸や折れ戸(手前に引くタイプの扉)を想定してみましょう。
ドアを手前に引く際に、自然と体を回旋させたり、1〜2歩ほど後ろに下がっていませんか?
実は、これらの動作にも転倒の危険が潜んでいます!
高齢者は、前に倒れる恐怖心のため、自然と重心を体の後ろ側で保つ姿勢をとる傾向があります。
つまり、本人はわかっていないまま体が後ろに傾き続けている方が多くいらっしゃるのです。
その状態で、後ろ歩きや体を回旋させる動作を行うと、後ろにふらついて転倒する危険があります。
そのため、手前開きのドアは転倒の危険が潜んでいるのです。
対策としては、扉を手前に引く際に、扉を触っていない方の手で周りの壁をつかみながら行うことや、扉が引き戸(横にスライドさせて開くタイプのドア)の住宅を選ぶなどがあります。
ここまで色々なことをお話ししてきましたが、
実際に賃貸住宅の玄関を見学する時は、どのような場所が安全で、どこが危険かをどのように見分けたら良いでしょうか?
たっくの賃貸住宅の玄関を例として、ご紹介させていただきます。
たっく宅の玄関の安全なポイントとは?
①段差が低い!
こちらの段差は、わずか1cmしかありません。
これなら足の力が少なくても段差を昇降することができ、転倒の危険は少ないと感じられます。
ただ、わずか1cmでも油断しているとつまずく場合があるため、注意が必要です。
②土間とフローリングの色が違う
目が見えにくい方にとっては段差が少ない分、床がフラットに見える場合があります。
そのため、段差に気が付かずにつまずく場合もあります。
対策として、目が見えにくい方に対しては、段差の上下で色の変化をつける事により、段があることを認識しやすいため、つまずく危険を抑えることができます。
幸い、こちらの玄関の土間とフローリングの色は、あらかじめ変化があるため、目が見えにくい方でも安全に乗り越えることができると考えます。
③ 土間の床が滑りにくい
滑りやすい床は、言うまでもありませんが転倒の危険が潜んでいます。
幸いたっく宅の玄関の床は、滑りにくいゴムのような素材となっており、少々水で濡れていても滑りにくい素材となっています。
また凹凸が少ないため、砂や塵が落ちていても掃除をした時にすぐに汚れが落ちるため、良いと感じました!
砂や塵が床に落ちていると、その上を歩いた時に滑りやすいですからね。
たっく宅の玄関の危険なポイントとは?
①照明スイッチが玄関ドアから遠い!
土間から35cm、床から高さ114cmの位置に、玄関の照明のスイッチが設置されています。
玄関の照明を消すタイミングって、どのタイミングが良いと思いますか?
スイッチの位置が土間より室内側にある場合、スイッチを押してから(照明を消してから)暗い環境の中で靴を履くことになります。
もしくは、靴を履いた後にスイッチを押す場合、180°方向転換してからスイッチを押す必要があります。
そうなると、暗い中で床まで手を伸ばして片足立ちで作業をすることになったり、180°方向転換する必要があります。
そうなった場合に、転倒の危険がありますよね。
なら玄関の照明は、いつのタイミングで消えたら良いでしょうか?
それは、靴を履いた後に玄関のドアにある程度近づいてから消えたら安全ですよね。
また、屋外から玄関に入った際も、玄関がすぐに明るくなった方が安全ですよね。
そうなると照明のスイッチは、玄関ドアの近くにあるととても助かります。
確かに、リビングに近い位置にスイッチがあった方が便利な場合もありますが、スイッチを押すために必要な動作を考えると、玄関扉側にスイッチがあった方が転倒リスクは少ないと考えます。
そのため玄関の照明スイッチは、なるべく玄関の扉の近くにある方が良いと考えます。
もし可能であれば、人感センサースイッチに変更することも一つの案ですね!
②クローゼットが折れ戸(手前に引くタイプ)
こちらの玄関の扉は折れ戸で、手前に引くタイプとなっております。
先ほども申し上げましたが、
手前に引く扉は後方へのふらつきが出現する可能性が高いです。
そのため、扉は引き戸のタイプをお勧めします。
③幅が狭く、椅子を置く場所がない
前回のブログでも言いましたが、こちらの玄関の幅は狭いです!
そのため、玄関に物を置きたいとなっても、なかなか置くスペースを確保することができません。
高齢になったら玄関に設置したいものといえば、
ズバリ「椅子」です。
なぜかというと、立ったまま床に手を伸ばす動作が転倒の危険があり困難となるため、できれば靴の脱着は座って行う方が安全と言えます。
床に座って立ち上がることができる方であれば、一度床に座ってから靴の脱着を行い、再び立ち上がることができれば簡単にできますが、それが困難な方は椅子を設置する場合もあります。
しかし、こちらの玄関に椅子を設置するとなると、かなり通行の妨げになります。
そのため玄関の幅の広さは、もう少し広い方が良いです。
住宅改修で、壁に折り畳み椅子を設置する方がいらっしゃいますが、賃貸住宅となると家によっては住宅改修ができない場合もありますので、あらかじめ玄関が広い住宅を選択する方が良いです!
最後に
高齢になると、まっすぐ歩くよりも先に、後ろ歩きや方向転換、手を伸ばす動作などが難しくなってきます。
そのため賃貸住宅を選ぶ際に、見た目の美しさや段差の有無だけではなく、
身体機能が衰えた状態でも、安全に過ごすことができる環境を選択する事を考えた上で、どのような住宅が良いかを検討してみてはいかがでしょうか?