ティト・ビラノバの再発と手術、そして手術成功!  Ànims Tito!! | 蹴球中毒な男の独り言日記-バルサ偏愛的バルサ備忘録

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 フットボールに魅了され、フットボール中毒に侵され、フットボールなしでは生きていけない男のフットボール的な日常についての独り言と備忘録です。愛するFCバルセロナの応援を中心に書いています。バルサのソシオなので、かなりのバルサ偏愛者です。



 バルセロナの19日(水)、日本時間で19日(水)の夜、バルサ公式サイト(スペイン語版)を覗いた時、「今後、ある発表を行なう」と意味深なエントリーがされた。その足でカタルーニャメディアの『SPORT』や『El Mundo Deportivo』、首都系の『MARCA』や『AS』のWebを訪れると、一様にトップに見出しされているのは“木曜日、ティトが手術を受ける”、“ティト、病気が再発”というバルセロニスタを震撼させる衝撃的なニュースだった。


 その後、クラブからの公式発表がされないまま、メディアでは様々な憶測が飛び交うことになった。そのどれもが我々バルセロニスタにとっては悲痛なものだった。アレクシスが24度目の誕生日を迎えたにもかかわらず、喜びを表して今後に期待しているなどと思う気にもなれない衝撃的なニュースだった。


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 プジョール、チャビ、メッシの“トリプル・レノバシオーン”が発表され、アビダルがフットボールをプレーすることを認められる医療的診断を受け、バルセロニスタは幸福感に包まれた直後の出来事だけに、カンプ・ノウ周辺は唐突に舞い込んだ衝撃的なニュースに動揺を隠せないことになった。アビダルの肝臓腫瘍の摘出手術、そして肝移植手術の時と同じように、この世の理不尽さを憎まなければならない事態となった。


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 リーガ・エスパニョーラのコンペティション史上最高のスタートを切ってバルサのレジェンドな指揮官たちと方を並べたフランセスク・“ティト”・ビラノバ(Francesc Vilanova i Bayó | 17/09/1968-)が、2011年の11月に摘出手術した耳下腺の腫瘍が再発したという。


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 ティト・ビラノバ率いるバルサは、リーガ第16節のアトレティコ戦に勝利して15勝1分の46pts.として首位固めに成功した。そして翌日の17日(月)はトレーニング、18日(火)は休養日に充てられ、2012年の最終戦リーガ第17節のバジャドリー戦へ向けた準備は19日(水)18時からのトレーニングとされた。月曜日にはカバ・コドルニウからの招待を受けてカバの里であるサン・サドゥルニ・ダノイア(San Sadurní d'Anoia)へ訪問した選手たちの楽しそうな写真に頬を緩ませ、トリプル・レノバシオーンとアビダルのプレーへの復帰許可のニュースに幸せを感じた。


 選手たちが休養を取るのと同様、ティトも休養日となった18日(火)は耳下腺の腫瘍摘出の術後の定期検査へと赴いたという。何やら検査を終えて帰宅したティトの元へ病院から連絡があり、妻のモンセさんと共に再訪問することになったようで、そこで病院から癌の再発が伝えられたと見られている。ペップからバトンを引き継ぐ際にも健康上の問題は解消されていると言っていたことから、夏以降の間に再発したのだろうか。


 そして火曜日の内にティト自らの口から会長のサンドロ・ロセイへと伝えられ、ロセイは19日(水)に予定していた恒例の報道陣とのクリスマス昼食会をキャンセル、クラブは「ある発表を行なう」というプレスリリースに至ったようだ。日付が変わって水曜日となり、ティトはクラブの医師と共に再び病院を訪問し、症状の報告や早期手術の必要性が話し合われたとされている。耳下腺というのは日本語の文字からするとピンと来ないが、頬の内部にある唾液を作る唾液腺で、週には顔面の神経が無数張り巡らされているらしく、手術はかなりの難易度だという。


 病院からクラブ医師への進言は、耳下腺はデリケートな組織のため、症状が悪化する前に逸早く腫瘍を切除した方が望ましいというものだった。そして19日(水)の夕方、クラブ「ある公式発表」の内容を、「耳下腺の術後診断において病理検査で拡大が認められ、手術を要すると判断された。手術は木曜日に行なわれる。入院が必要とされる期間は3日から4日。術後、フランセスク・“ティト”・ビラノバは化学放射線治療を受ける必要があり、その期間は6週間になる。その間、術後の状態次第では治療と通常業務を並行して行なうことが出来る。患者の要望により、経過についてのプライバシーと経過のプロセスについては敬意を示してもらえることをお願いする」と発表した。


 様々な憶測が飛び、ティトの病状を嘆き、悲しみ、心配する一方で、ティトの代理としてニューヨークで休暇生活を送っているペップ・グアルディオラや、元バルサ戦士にしてバルサBの監督のルイス・エンリケの名前がメディアで浮上した。しかし、クラブはティトへの敬意、ティトの友人であり、仲間であるペップやルーチョへの敬意として即座に事実無根と否定した。ちなみに、ニューヨークに滞在している親友ペップには共通の友人で代理人のジョゼップ・マリア・オロビッツを通じてティト本人から伝えられたようだ。


 常に言葉を選び、賢人として振る舞うだけでなく、ピッチでは激情家の一面が垣間見られたペップと違って、テクニカルエリアにおいても記者会見場においても常に冷静で思慮深さだけを見せるティトは物静かだと見受けられる。しかし、その指揮官としての責任の果たし方、行動や発言など一貫した姿勢には芯の強さが感じられ、指揮官となって時間の経過と共に頼もしさが増すばかりとなった。


 その強靭な精神力で監督としての責務を果たすべく、バジャドリー戦へ向けての準備となる19日(水)、ティトはいつも通り自ら運転する車でシウター・エスポルティーバへと向かった。目的は選手たちへ自らの口で病状や今後のことについて伝えるためだ。


 ティトは選手たちとロッカールームで会う前に、スポーツ・ディレクターであるアンドニ・スビサレッタ、留守を任せることになるセグンド・エントレナドールのジョルディ・ロウラと話し合い、その後に選手たちと話をして、最後に説明会見が控えていた会長のサンドロ・ロセイ、スビサレッタ、副会長のジョゼップ・マリア・バルトメウとの話し合いを設けたらしい。


 報道されたところによれば、ティトは選手たちを前に短時間で、「手術を受けることになったのでチームから一時的に離れる。なるべく早く復帰する」とシンプルに伝え、「お前たちのことはずっと見張ってるからな。もし気に入らない場面を見つけたらダメ出しをするぞ」と冗談で和ませ、「しっかり試合に勝ってくるんだ」という強いメッセージを送ったとされる。


 このティトからの報告を聞いた後のトレーニング(19日(水))から全体トレーニングに例外なく参加したエリック・アビダルと――病のシリアスさを知る者同士の――ティトとがっしりと抱擁を交わした場面では、涙ぐむ選手たちもいたと伝えられている。そして、我らが偉大なるミスターはしばらく離れることになる選手たち一人ひとりと抱擁を交わし、ロッカールームを後にしたという。


 これにより、昼に予定していたクラブの報道陣との昼食会がキャンセルされ、夜に予定されていた選手たちとテクニコたちの夕食会もキャンセルされた。その代わりに、クラブは19時45分からシウター・エスポルティーバのプレスルームで会長のサンドロ・ロセル会長とスポーツ・ディレクターのアンドニ・スビサレッタによる記者会見が行なわれた。この会見にはチームのカピタンであるプジョール、チャビ、バルデス、イニエスタの4選手も記者席から見守った。


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 ティトの耳下腺の腫瘍摘出手術はベイダブロン病院(Hospital Vall d'Hebron)で、昨年の11月と同様のマリア・ソコロ・ベスコス(Maria Socorro Bescos)女医を始めとした医師団により執刀されたようだ。このティトが絶大の信頼を寄せる医師団は国外での手術を検討していたティトに対して必ず成功させるという言葉で相互の信頼を築き上げたチームで、これまでの定期健診も今回の切除手術も担当することになった。


 20日(木)の8時から予定されていた手術は、実際には8時少し廻った時間から開始され、マリア・ソコロ・ベスコス女医率いる医療チームによる執刀は11時に終了したようだ。昨年の11月の手術は5時間を要するものだったことから、今回は医師団の報告通り今回は再発の早期発見だったことで短時間での手術となったようだ。他の部位への転移もなかったようだし、手術の前から復帰へ向けて意欲的過ぎる程に意欲的だったティトのことだから医師団の発表通り治療を終えて然るべき時期に復帰を果たしてくれるはずだ。


 クラブの発表では、無事に手術は終了し、現在ティトはICU(スペイン語ではUCI(Unidad de Cuidados Intensivos))に回復中だという。そして、入院時期についても術後の回復次第で決定されるとしているものの約3~4日になると見られている。耳下腺の腫瘍が広がるのを避けるために化学治療、放射線治療が行なわれる予定で、その期間は約6週間になる。ティトのプライバシーに敬意を示してほしいという要望もあり、経過についても守秘義務を行使する。ただ、早期での手術だったこともあり、ティトはクリスマスを自宅で奥様のモンセさん、子供たち(17歳と14歳)たちと一緒に過ごせるようだ。


 だからこそ周囲がすべきは、ティトの回復を祈ることだけだ。20日(木)には、チャンピオンズリーグのノックアウトトーナメント1回戦である1/8Finalの組合せ抽選会が行なわれ、バルサの対戦相手はACミランと決まったが、いまひとつ気持ちが向かないのが正直なところだ。これがレギュレーションであり得ないが、マドリーとの対戦になっていても同じだろう。それ程までに僕らにとってのティト・ビラノバは素敵過ぎる監督なのだ。


 そのティトが手術から回復と治療のために留守する間、バルサのベンチで指揮を執るのはセグンド・エントレナドールのジョルディ・ロウラ(Jordi Roura Solà | 10/09/1967-)だ。ティト体制となってからティトの横に座ってボードを使って選手に戦術を説明したり、それはペップが監督時代のティトの役割を担っている。ペップ体制下でも、ジョルディ・ロウラはテクニコチームに属していて、対戦相手のスカウティング部隊のひとりとして戦術を事細やかに分析していた。ペップとティトの強い要望でペップチームのテクニコに加わったロウラはティト体制になってからティトの右腕として期待されてセグンド・エントレナドールへと昇格したわけだ。


 ちなみに、このロウラ。カルラス・レシャック(爺)が横浜フリューゲルスの監督を務めていた時、助監督として一緒に来日して働いていた経験がある。ティトがテラッサ(タラッサ)でスポーツ・ディレクターをしていた時の助監督も務めた経験もあり、ティトとは互いに信頼を置く存在だ。若くしてテクニコに転身した理由だが、当時バルサBでプレーしていたロウラは、ヨハン・クライフの手によってミラン戦でチャンピオンズでデビューを果たすも、10分にしてマルコ・ファンバステンとの衝突で膝を大怪我、これが原因で25歳の若さで現役引退を余儀なくされたからだという。


 ティト・ビラノバ、サンドロ・ロセイ、アンドニ・スビサレッタ、そして選手たちの全幅の信頼が置かれているジョルディ・ロウラにバルセロニスタも信頼を寄せるべきだろう。ティトの手術の日、記者会見の当番にクラブからの使命を受けたカピタンのプジョール「ロウラは以前から一緒に仕事をしていてチームは彼のことをよく知ってる。物事は変わらず進んでいくだろうし、僕らのプレースタイルが変わることもない。彼はこのクラブの哲学を知ってる。心配しなくても大丈夫だよ」とティト不在を嘆くのではなく、自分たちの仕事に集中すべきと力強く語っている。


 アビダルの病気を巡っては、2度も人生の理不尽さに打ちのめされ、悲しみに暮れ、それでも人の本当の強さを思い知らされ、人生の大切なものについて考えさせてくれた。ティトの病気でもアビダル同様に2度目の様々な感情の起伏を感じることになった。でも病を克服しようと強く願い、努力を重ねる人間はその願いが叶うことを教えてくれたのもアビダルとティトだ。そしてチームはその度に団結を深めてきた。チームはフットボールをプレー出来ることに喜びを感じ、健康であることに感謝し、一時的にとはいえフットボールから離れなければならないティトのためにも目の前のゲームを懸命にプレーして勝利を目指さなければならない。


 22日(土)18時キックオフのホセ・ソリージャでのバジャドリー戦はジョルディ・ロウラが指揮することになる。選手たちは病室のティトのためにもいつもと同じ全力でバルサのプレースタイルに忠実にプレーするだけだ。そうでなければ、病室のティトにダメ出しの電話を掛けさせなければならなくなってしまう。


 そして、ティトが一日も早く元気になってほしいと祈ろう。





Ànims Tito!!!