(つづき)

手術室に入ったらさすがに緊張するのかなと、骨髄バンクドナーの適合通知が届いてから何か月もの間思っていたのですが、手術開始目前となって手術室の天井をながめても、いつもどおりでした。自分のことでないような気がしていたのかもしれません。

手術室の看護師さんが、何の音楽かけましょうかと、曲名いくつか聞いてくださいましたが、よくわからなかったのでおまかせしました。
(手術室内で横になった状態ではメモも取れないので、このへんやや曖昧な記憶に頼ってます)

手に点滴(麻酔だったか)しますねと言われて、針を刺さしてもらうと、いよいよ開始という実感がしてきます。
「ずっと残るような痛みはありませんか」
と聞かれ、
「大丈夫です」
と答えます。
「今度は、麻酔入っていきますね〜」
と言われて、全身麻酔始まるのかーそろそろかー、と思い、麻酔効いてくる前にちょっと呼吸を整えておこうかと、目をつむっでしまいました。

その後の記憶や意識は、まるでスイッチをオフにしたかのようにその瞬間からストップしていました。

全身麻酔の時は、どんなふうに意識がうすれていくのか興味あったのですが、私の場合は途中経過はなく、ある瞬間を境に完全オフ状態になってしまいました。

他のドナーさんでは、意識がなくなっていくまでの途中経過を体験できた方もいらっしゃるようで、これだけは後で思い返してちょっと残念に思った出来事です。

(つづく)