言っていいことと悪いことがあるよな? | コードチェンジのために

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好かれたいけど媚びたくないまだ考えているノート

幼少期、私の弟が『世紀末リーダー伝たけし!』という漫画を買っていて、繰り返し何度も読んだ。その中で、今になっても時々思い出すくらい特に印象に残っている部分が二つある。その内の一つが、主人公であるたけし(小学1年生)が、友人に対して「言っていいことと悪いことがある!」という倫理的な怒りを爆発させるシーンである。

 

主人公たけしはリーダー的存在を自認しており、よって当然ながら倫理的な鋭い感性を持ち、小学校の友人間でもその発言力は大きい。そんなたけしが、具体的にどういう発言に対して「言っていいことと悪いことがある!」と言ったのかは覚えていないが、確か何てことない内容だったと思う。

「言っていい事と悪い事がある!」と倫理的な怒りを爆発させた(かに見えた)主人公たけしは、友人の話を遮って注目を一身に集めたその直後、やにわに穏やかな表情で「今のは言っていい事だったぞ…」と、話の続きを促す。つまりそういうギャグである。

 

確かに「言っていいことと悪いことがある!」というのは、単純に発言の内容を二つに分けているだけであって、実は相手の発言を咎める文章にはなっていない。それを逆手に取った高度なギャグ…!しばしば親や教職員から投げつけられてきた紋切り型の定型文をおちょくり倒すような、フラットなこの言語センスたるや、まさに脱帽に値する…!と、当時の私は大変な感動を覚えたのだった。

 

ちなみに私も、1回だけ談笑の場で、この「言っていい事と悪い事がある!」から「今のは言ってもいい事だったぞ…」という流れをやってみたことがある。結果はややウケであった。このギャグはやはり、普段からたけしのようにリーダー的存在として、倫理的かつ指導的な立場で大きな発言力を持つ者が、自分の特性自体を言わば大きなフリとして活用することで活きるのだと思う。

 

普段から高度に倫理的な存在であることで、たまのギャグもより冴えるわけである。

この作品でもう一つ印象に残っている部分は、なかなか難しくてまだ書けない。