今までずーっと同じキャノンのFD系レンズをクリーニング&清掃拭き上げ作業してきましたが流石に飽きてきました。
このブログの筆者が飽きてきたという事は、その筆者の記事を読んでくださってくださっている方々もやはり同じように飽きてしまわれているのではないでしょうか?
という事で今回はアサヒペンタックスのスーパータクマー55mm F1.8をクリーニングしていきます。
シリアルナンバーは 1814341 です。
御値段もお手頃(最近はどうなんでしょう?)で最近はかなり人気があるみたいです。
またレンズの構造・構成も非常に単純なため(素直な造りという表現の方相応しい)にフィルムカメラの分解&修理を学ぶ人にとっての入門用に適したレンズの感があります。
そう意味ではキャノンのやり過ぎでいささか食傷気味の私にはデザート気分で作業ができそうです。
次回作業予定のキヤノンの『目玉のおやじ』ことFD 55mm F1.2 と並べてみました。
まるで金剛級超ド級戦艦(左)と軽巡洋艦『夕張』(右)が並んだような迫力、大きさ、格の違いを感じらせられてしまいます。(解り難い例えですみません。筆者の好みです)
乾拭きでチリやホコリを取り除いてみたらレンズには大きなキズも無くとても綺麗でした。
後玉の方にゴミが混入していますね。
青色LEDの灯火でもこの状態なので件の薄クモリも何とかなりそうです。
絞り羽根の動きというか反応・レスポンスが悪いですね。
洗浄が必要です。
レンズ分解の第一歩は銘板外しからですね。
前玉を外しました。
後玉を外して前玉を並べてみましした。
Super Takumar 55mm F1.8にはアトムレンズが一部使われていたんですね。
左の後玉が若干黄色いような気がします。
絞り羽根の作業をしてる間に黄変除去をしておきましょう。
レンズフード&フィルター取付リングを外します。
絞り羽根ユニットを取付けている三本のネジを緩めて外します。
このネジにはワッシャーが付いていました。
珍しいですね。
紛失してしまわないように注意しましょう。
絞り羽根ユニットは左方向に回転させて取り外す様なので、年のため位置合わせのための印を付けておきます。
絞り羽根ユニットのスリーブを取り外しました。
スリーブ側面に大量のスピンドル油のような物が付着していました。
ヘリコイドのグリスが溶け出して来たのでしょうか?
メーカー問わずよくある現象です。
フォーカスリングの内側がやたら汚れていたので分解して清掃します。
こんな風にフォーカスリングは外れます。
実はここで一般的にはかなり深刻なミスを冒してしまいました。
赤色矢印が指し示す真鍮色の部分がヘリコイドリングなのですが、私はてっきり無限遠の位置で『カチッ』と止まると思っていたのですが止まりませんでした?
その結果無限遠を通り越して水色矢印が指し示す左方向へ過回転させてしまいました!
これで正確な無限遠の位置が判らなく解らなくなってしまいました⤵⤵⤵
この無限遠の正しいピント調整は後ほどの組上げ時に行います。
と思ったのですが、
ひょっとしたら黄色矢印のケガキ線の位置に赤色矢印のネジ穴が来た場所が無限のピント位置なのかもしれません。
取り敢えずこの位置で仮組をしておいて後ほどにいつもの要領で無限遠のピント調整を行ってみます。
まず油分を除去するために綿棒にIPAを浸して拭き取ります。
フォーカスリングもIPAで.....と、凹んでる!いや、今しがた凹ましたのかな?
凹みを修正して
仕上げに激落ちくんの電解液で清掃すると
数字の文字がとても綺麗になりました。
まず絞り羽根ユニットにある知り羽根を操作する爪をテープで羽根が一番閉じる位置で固定します。
こんな感じです。
そこへベンジンを注ぎ込みその後絞り羽根を何度も開閉させます。
この動作を何回か繰り返した後に絞り羽根を綿棒で乾拭きします。
その後ベンジンを浸み込ませた新しい綿棒で絞り羽根の表裏両面を丁寧に拭き取っていきます。
清掃が成功していれば絞り羽根は画像のように開放状態になります。
次に絞り羽根ユニットにある黄色矢印の突起を
鏡胴側にあるこの溝に嵌め込みます。
溝と突起の位置が合わない時は左右に回転させて位置を合わせてください。
絞りリングをF1.8の位置にしておいて
絞り羽根のユニットを目一杯左に回してっ絞りが開放になるようにします。
この時にあまりにも目一杯左に回転させてしまうと組上げ後に絞りリングを回転させようとしても動かなくなる場合があるようです。
そして三本のネジで締め付けます。
この時絞りユニットのスリーブの外周端部の銀色の部分をよ~く見ると、今までネジが締まっていた痕が残っているのでそれに合わせるのが一番良いと思います。
続いてフォーカスリングを三本のネジで締め付けて取り付けます。
しかしマイナスネジはどうにも狭くて奥にあるネジ穴にネジをセットするのが難しい場合は画像のように接着剤でネジとドライバーを仮接着してしまうと案外作業が捗ります。そして今回ボンドGクリアーを使用したのですが、これがなかなか良かったですよ。
フォーカスリングを取付けました。
しかし件の理由で無限遠のピントの再調整を後で行うので仮組の状態です。
それとレンズフード&フィルター取付リングはここでは組付けません。
レンズの黄変除去にはもう半日くらい時間を変えたのですがデスマーチの進軍中ですからなんとも…。
取り敢えず前玉は黄変が抜けた(というよりも前玉にはアトムレンズはつかわれていないような気がします)のでコチラだけ先にクリーニングを行います。
う~ん⤵⤵⤵やっぱり急がば周れという自身に決めたルールに従い黄変除去に一晩費やします。
前玉はIPAを使って取り敢えず仕上げたのですが、ちょっと気に入らな部分があるので明日もう一度分解してクリーニングいたします。
もう少しだけ続きます。
『急がば周れ』と後玉の黄変対策のために一晩経過させたのですが、
実は前玉にも気になる事が…。
赤丸の中の2つの白い点がホコリ(チリ)または傷?のようでもう一段下の層に存在しているみたいなんです。
とうことでレンズをもう一枚
外してみました。
やはり一番奥のレンズにありましたね!
まずシュポシュポでエアブローしてみました。取れませんでした。
次に綿棒でつついてみました。 取れませんでした。
フム。
前玉後ろにリングネジがあります。
もう一枚レンズがある?
そうは思えないけど…。
オープナーで咥え込むようにしてリングネジを外します。
取れました。
レンズはヤッパリ一枚のみのようです。
バルサムで貼り付けられているのか?と思いレンズ構成を調べたらやはりこれ一枚でした。
実はこの商品の到着を待っていました。
商品名やメーカー名が違いますが、東レのトレシーのOEM商品です。
マイクロファイバークロスです。
これでレンズを拭くとしつこい油脂に起因する薄クモリがとれるとか。
たしかにきれいになりましたね。
今まで何回もクリーニング&拭き取りを繰り返していたのでその分の時間短縮が期待できます。
傷までは修復できませんからねぇ⤵⤵⤵
さてさて
若干黄変していた後玉ですが
ここまで黄変が抜ければ良いでしょう。
青色LEDの透過もこんな感じです。
これでほぼ組み上がりました。
後玉は殆ど問題ありません。
前玉はちょっと傷が気にならなくもないですが…。
さて、最後に無限遠のピントを調整してみましょうか。
こちらが仮組の状態です。
それでこちらが左右に回転させながら導き出したポイントです。
ちょっと斜めっていますがこれで良いでしょう。
あの~、
これはペンタックスの工場出荷時から無限遠のピントがズレていたという意味ではありませんから。
私が分解清掃中に誤ってヘリコイドを回転差させてしまったためにピントが狂ってしまったので再調整を行ったまでです。
銘板の文字部の白色が抜けてきているので墨入れもしておきましょうか。
烏口でこんな風に塗料を差してから。
画像には綺麗に映ってしまいましたが肉眼では『Super』の色が若干薄いのでその他も含め薄い部分を再び墨入れします。
少し濃い目に差し込んだので乾燥に時間をかけましょう。
この時間を利用してお米を研いで炊いてきます。
なんとか文字に色が入りましたが塗料の密着性が悪いので遅かれ早かれは剥がれてしまうでしょう。
という事で完成しました。
相変わらずペンタックスのタクマーシリーズは分解&組立て作業が大変やり易かったです。
タクマーの標準レンズの構成・構造はとても素直というか直球勝負みたいなシンプルな感じに出来ているんです。
ですからレンズに化かされて『惑わされる』るような事が殆ど起きないんです。
なのでレンズの構造の基礎を学ぶのには最適ではないかと私は思います。
私が苦手とするキャノンのFDシリーズの分解&組立作業は毎回爪やレバーの位置合わせ、嚙み合わせ、組み合わせが毎回途中から解らなくなってしまい何回も分解&組立を繰り返しレンズに振り回される羽目になります。
まるでとんち対決で一休さんの独自理論で打ち負かされような感じですかね。
キャノンのニューキャノネット QL17やデミEE17、オリンパスのTRIP35やペンEES2のようにとても使い易く銘機とも云えるユーザーから高い評価を得ている機種は、分解&組立作業時にもその整備性の高さ・優秀さを体感させてくれます。
タクマーシリーズも同様に最近非常に人気が高いですよね。このレンズも同様に整備性の良さが光るとても良いレンズです。
P.S.
このレンズのクリーニング中にメルカリでこんなレンズを見つけました。
Auto Takumar 55mm F1.8 レンズです。
この画像からも判るとおり外周端部にカビがほんのちょっと見受けられますがそれ以外の外観は非常にきれいだったので値段的にはちょっと高かったんですが、分解&清掃して再出品すれば最悪でも同じ値段でなら買ってもらえるだろうと思い買ってしまいました。
実はこのレンズを購入した理由はこのレンズキャップだったんです!
レンズキャップに HILAND PENTAX と刻印されているんです。
これ、たしかアメリカでハネウェル ハイランド ペンタックスのダブルネームで販売されていた輸出モデルだと思うんです。
現在で言う『二つ名持ち』ですね。
それでこのレンズを出品している方のその他の商品をチェックしたら案の定ボディの方も売っていたので間違いないと判断して買っちゃいました。
でも…。
レンズ本体は通常のレンズと何も違いがありません。
ネームもペンタックスのみです。
レンズキャップがダブルネームになっているだけですね。
でもこのレンズ、やたらと外観の程度が良いです。
塗装の剝がれが殆どなくミント(Mint)コンディションですね。
もし歴代のタクマー55mmが揃っているようだったらテスト撮影を行ってみようかと考えています。




























































