こんにちは、心理カウンセラーの伊藤憲治です。
「うちの子、もしかしてADHDかもしれない……」
そんな不安を感じたとき、最初にどんな行動を取ればいいのか迷う方も多いですよね。
この記事では、病院でのADHDの診断がどのように行われるのか、具体的な流れとポイントを分かりやすく解説します。
1. 最初は「問診」からスタート
病院での診察では、まず医師が本人や保護者への問診を行います。この段階では、以下の内容が詳しく聞かれることが多いです:
- どんな困りごとがあるのか:注意散漫や多動、衝動的な行動など。
- 家庭や学校での様子:行動が周囲にどのような影響を及ぼしているか。
- これまでの発達経過:幼少期からの行動や学習、対人関係。
- 家族歴:ADHDや他の精神疾患の有無。
医師に伝える際は、具体的なエピソードを交えると分かりやすいです。例えば、「宿題を始めるまでに1時間以上かかる」「集中力が5分も続かない」など、日常の困りごとを整理しておくとスムーズです。
2. 子どもの行動を「観察」
医師や心理士が、本人の行動を直接観察することもあります。特に小児の場合は、診察室でのやり取りや態度から、注意散漫さ、多動性、衝動性といった特徴が確認されます。
3. 質問票やチェックリストを使用
ADHDの診断には、客観的なデータを集めるために質問票やチェックリストが使われます。以下は代表的な例です:
- Connersの評価尺度:親や教師が記入する質問票で、ADHDの症状やその程度を測定します。
- ADHD-RS:DSM-5(診断基準)に基づき、症状の頻度や強さを評価するツールです。
これらの質問票を使うことで、症状がどの程度日常生活に影響を与えているかが分かります。
4. 必要に応じて「知能検査」を実施
ADHDは、他の発達障害や学習障害(LD)と関連している場合もあります。そのため、知能検査が行われることがあります。主な検査には以下のようなものがあります:
- WISC(ウェクスラー式知能検査):子どもの認知能力を詳細に評価。
- WAIS(成人用知能検査):大人の場合に用いられます。
これにより、子どもの得意分野や苦手分野が見えてきます。
5. 発達検査も視野に入れる
小児の場合、発達検査が行われることもあります。例えば、「新版K式発達検査」や「M-CHAT(自閉症スペクトラムのスクリーニング)」などが使われます。
6. 医師が総合的に診断
最終的には、これらの情報を基に医師が総合的に判断します。診断基準は、**DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル 第5版)**に基づいており、以下のポイントが確認されます:
- 不注意、多動性、衝動性の症状があるか。
- 症状が6か月以上続いているか。
- 家庭や学校など、複数の環境で問題が見られるか。
- 他の疾患(自閉症、不安障害など)との違いが明確か。
診断後のサポート
診断が確定したら、以下のような支援が提案されます:
- 行動療法や認知行動療法:症状の改善を目指す療法。
- 学校や職場での支援:学習環境や仕事環境の調整。
- 薬物療法:必要に応じてメチルフェニデート(リタリン)やアトモキセチン(ストラテラ)などが処方されることがあります。
まとめ
ADHDの診断は、一度の診察で確定するわけではなく、丁寧な観察と評価が必要です。
診断を受けることで、子どもや自分の行動特性を理解し、適切なサポートを得るきっかけとなります。
もし「もしかしてADHDかも?」と感じたら、専門医への相談という選択肢を考えてみても良いかもしれません。
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