【T】すべてのオスが敵になる仕組み
回想

雨が降るたび、夏の勢いが削がれていく。気づけば、今年も終盤戦。一年なんて、油断していると勝手に畳みにかかってくる。そんな時期になると、いろいろと回想したくなる。改めて思い返してみると、御大の人生、強烈すぎた。
目の敵
そんな中、ふと思ったこと。この人の味方をしてきたのは、なぜかいつも女性だったな、と。男性からは、まあ見事なほど目の敵にされる。本人は、「俺、普通にいい人やろ?w」と言う。いい人…… そこは否定しないけれど、たぶん問題はそこではないだろう。御大は、場に入ると瞬時にその場を掌握する。別に仕切ろうとするわけでも、前へ出て「俺を見ろ」とやるわけでもない。それでも人が見て、寄って、話せば心をつかむし、気がつけば、その場の空気が変わっている。
それが一番たちが悪い
「コーチをしている人は、話が上手いのは普通」指導者から、そう言われたことがあったらしい。しかも2回も、だ。わざわざ二度言うあたり、引っかかるものがあったのだろう。けれど、おそらく話術だけの問題ではない。話術なら、技術として比較も評価もできるし、「上手いのは普通」と片づけることもできる。
厄介なのは、そこでは測れない部分。人気というか、人の心をつかむ力というか、本人の意思とは別のところで人を引き寄せてしまう何か。努力や技術として説明できないものほど、持っていない側には扱いづらい。認めるのも癪、かといって無視もできない。だから男性にとっては、存在そのものが脅威になる。自分の立場も、人気も、人も、全部持っていかれるような感覚になるのかもしれない。実際に奪っているわけではない。本人はただ、そこにいるだけ。それが一番たちが悪い。笑
「女を全部もっていかれると思ってしまうのでしょうね~w」なんて冗談も言いたくなるけれど、そこに限った話ではなく、能力や人気、存在感。瞬時に場を掌握するから、瞬時に弾かれる。

しかも、これが一度や二度ではない。何処に行っても、だ。強い者なら、その力を認められて上へいったり、才能があれば、誰かに見いだされ、引き上げられる。普通はそんなことを想像するけれど、御大の場合、その前に排除される。力を発揮する、目立つ、警戒される、弾かれる、終了。栄光は、即撤去。だから、栄光とは一切無縁だし、後押しも一切ない。誰かの庇護のもとで力を伸ばしたわけでもなければ、権威ある誰かが「こいつはすごい」と引き上げてくれたわけでもない。むしろ、力が見えれば見えるほど潰しに来る。
「すごいから推そう」ではなく、「すごいから今のうちに追い出そう」霊的に言えば、御大を潰すという、『そういう設計』らしいけれど、周りはそんな設計図など見えるはずもない。【すべてのオスが敵になる仕組み】と、本人は笑う。
唯一、友好的だった
ただ、例外もいた。唯一、友好的だった方。その先生だけは、他とは違う観方をしていたらしい。排除するどころか、むしろ周りからの攻撃を庇ってくれていたという。御大の存在そのものに、惚れていたからだろう。そして、もうひとつ。男性でも、御大を「親父」のように慕ってくる人間は残るのだろう。そこには対抗心がないから。
異常行動
最近も、「前に入った車が20キロで走り出して、途中から我に返ったように60キロになったw」と言っていた。これは常にそうで、車が前に入ると、必ず異常行動に移る。妨げろ!と指令が入り、とことん邪魔をされる、という仕組みらしい。人も場も、いやはや前を走る車にまで。
一番の強さ
力があるから認められるとは限らない。強すぎれば、勝負になる前に盤上から降ろされることもある。その結果、勲章も肩書も残らないし、華々しい栄光とも無縁。それでも腐らず、「そういう設計なんやw」と笑って受け入れている。自分を潰した人間を恨み続けるでもなく、認めなかった世界に復讐するでもない。また弾かれた。今回もこのパターンか。そんなふうに、自分の宿命ごと引き受けている。私はそこに、一番の強さを見る。
ずいぶんと厄介な宿命を背負って生まれてきたものだ。しかも、それを笑いながら背負っている。力を持ち過ぎた漢の末路はどうなるのか?それも含めて、わたしはこれからも目が離せないでいる。おわり。
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