57事件 正当事由と建物賃借人側の事情

論点

正当事由の判断要素に建物賃借人側の事情を考慮することができるのか(土地賃貸借の場合)

判旨

正当事由の判断要素としては、土地所有者側の事情と借地人側の事情を比較考量して決する。

そして

借地人側の事情として建物賃借人側の事情まで考慮できるかという点については、借地契約が当初から建物賃借人を容認したものであるとか又は実質上建物賃借人を借地人と同一視することができるなどの特段の事情の存する場合であり、そのような事情のない場合には、斟酌することはできない。

なぜなら

原則を肯定する根拠としては、

土地賃貸人と賃借人の借地契約と建物の賃貸借契約は別個のものだから、後者に起因する賃借人の事情により前者の法律関係が拘束されるいわれはない。


58事件 信頼関係破壊の法理

論点

個人である賃借人がその経営する個人企業を会社組織に改めた場合に、賃借権譲渡があったものとして民法612条の適用を肯定すべきか。

判旨

この場合でも、賃借権譲渡があったことは前提にしつつも、「個人企業時代と実質的に何らの変更がなくその従業員、店舗の使用状況も同一であるような場合には、背信行為と認めるに足りない特段の事情があるものとして612条2項に基づく解除を否定。


59事件 賃借家屋明渡債務と敷金返還債務との同時履行

論点

敷金返還請求権と賃借目的物の明渡請求権が同時履行の関係に立つかどうか

判旨

敷金の性質

敷金とは、賃貸借契約の終了後家屋明け渡し義務の履行までに生ずる賃料相当額の損害金債権その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得することのある一切の債権を担保するもの。

そして

敷金設定契約は、賃貸借契約に付随するものではあるが、賃貸借契約そのものではないから、賃貸借の終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは一個の双務契約から生じる対価的債務の関係にあるものとすることはできず、また両債務の間には著しい価値の差が存しうることからしても、両債務を相対立させてその間に同時履行の関係を認めることは、必ずしも公平の原則に合致するものではない。


60事件 賃貸人の地位の移転

論点

賃貸中の不動産が譲渡された場合に、賃貸人の地位もそれに伴って移転するか。

判旨

賃借権に対抗要件が備わっている場合、賃貸借契約の存続中に賃貸人がその目的物の所有権を第三者に移転したときは、特段の事情のない限り、賃貸人の地位は新所有者に移転するという。

※ 賃貸人の地位の移転があるとされる場合に、賃貸人が賃料請求などをするには債権譲渡の通知や承諾を要するのか、それとも所有権の移転について対抗要件を具備する必要があるのか。

判例はある。

※2 民事裁判実務で賃料請求をする場合には、対抗要件が必要でないと書いてあった。

どっちが先なんやら…。


内民判 40事件まで。

総則は、122判例だから頑張ればつぶせるかも。

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