”こころを磨く言葉-⑧ 安岡正篤”
『人とのつきあい方』
恥を知れば必ず敬を知る。敬を知れば必ず恥を知る。
敬はより高き尊きものに対する人間の感情である。
敬するを知れば、自ら省みて恥ずるようになる。
人間と動物との違いもつきつめると、恥を知ると知らぬとに帰する。
だから人を罵る一番の語を「恥知らず」という。
★「厚顔無恥」は成長を止めるが、「恥」は成長の源となる。
孟子はこう語っています。
「恥じる心は、人間にとって、とても大切なものである。臨機応変にごまかしばかりやる人は、恥というものがないのだ。人に及ばないことを恥じない者は、どうして人に追いつくことができようか」
と。つまり、恥じるから人は学問し、成長しようとするのです。恥を知ることが成長するうえでのモチベーションとなります。
ちなみに、孔子は「敬」をよく説いているのに対して、孟子は「恥」を力説していると、安岡は解説しています。
恥というのは、いまの自分の状態を省みたときに抱く心で、現実に即したものです。これに対して、敬は現実に甘んじないで、より高いもの、より貴いものを求める心であり、理想主義的です。
両者は、恥を知るから敬を知り、敬を知るから恥を知るという関係にあり、一対のものです。敬と恥の本能が人間の学問・文化を発達させたと、安岡はいいます。
