不動産鑑定評価基準 解説

不動産鑑定評価基準 解説

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このような不動産の特徴により、不動産の価格についても、他の一般の諸財の価格と異なって、およそ次のような特徴を指摘することができる。


(1)不動産の経済価値は、一般に、交換の対価である価格として表示されるとともに、その用益の対価である賃料として表示される。そして、この価格と賃料との間には、いわゆる元本と果実との間に認められる相関関係を認めることができる。


(2)不動産の価格(又は賃料)は、その不動産に関する所有権、賃借権等の権利の対価又は経済的利益の対価であり、また、二つ以上の権利利益が同一の不動産の上に存する場合には、それぞれの権利利益について、その価格(又は賃料)が形成され得る。


(3)不動産の属する地域は固定的なものではなくて、常に拡大縮小、集中拡散、発展衰退等の変化の過程にあるものであるから、不動産の利用形態が最適なものであるかどうか、仮に現在最適なものであっても、時の経過に伴ってこれを持続できるかどうか、これらは常に検討されなければならない。したがって、不動産の価格(又は賃料)は、通常、過去と将来とにわたる長期的な考慮の下に形成される。今日の価格(又は賃料)は、昨日の展開であり、明日を反映するものであって常に変化の過程にあるものである。


(4)不動産の現実の取引価格等は、取引等の必要に応じて個別的に形成されるのが通常であり、しかもそれは個別的な事情に左右されがちのものであって、このような取引価格等から不動産の適正な価格を見出すことは一般の人には非常に困難である。したがって、不動産の適正な価格については専門家としての不動産鑑定士の鑑定評価活動が必要となるものである。


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私見

(1)

価格は賃料から求めることが可能であるし、逆に、賃料は価格

から求めることも可能です。

言葉として注意を要するのは価格と賃料との関係は「相関関係」

であり、「相互関係」ではないことです。細かいところで、

あまり意味は変わらないと思いますが、試験上は注意が必要です。


(2)

価格と賃料は別々の経済的利益であって、同一の不動産に2つ以上の

価格、賃料という経済的利益が生じている場合には、それぞれの価格、賃料について対価が形成されます。

例えば、借地権付建物で用途が賃貸マンションであれば、権利としては、

①土地の所有権

②建物の所有権

③借地権

④入居者の借家権

があります。

そして、これら4つの権利にそれぞれ経済的利益があり、対価があります。

ただ、借地権や借家権については、権利としては認められが、経済的な

対価が形成されるかどうかは、その地域によって異なります。

東京のような大都市であれば、借地権、借家権とも経済的な対価が

認められていますが、地方によっては経済的対価は存在しないという

エリアも多いと思います。


(3)

価格・賃料は地域の特性によって形成されるものでり、地域の変化によって、不動産の価格・賃料も変化します。したがって、その時の価格・賃料は、過去から現時点、現時点から将来における地域の特性を反映して決定されます。

つまるところ、現時点の価格・賃料は、その土地・建物の歴史、未来

をすべて考慮して決定されます。


※確かに古地図をみると、その土地が日本に存在してからずっと、

誰かに利用されてきたわけで、そういったことは、当然、今の価格に影響しているだろうな~ということは感じます。

例えば、外国の大使館は大体、地方の大大名の江戸屋敷跡地だったりします。



(4)

不動産の取引については、ほとんどの場合、個別的な事情が存在します。たとえば、とにかく早く売却したいとか、不動産のことを

ほとんど知らないとか、情報をネットとかでも調べていないとか、

さまざまです。

鑑定評価はそういった個別的な事情がないことを前提とした適正な

価格・賃料を算出することになります。