少し間が空きましたが、感想の続きです。

項目立ててバラバラと書いていきます。

 

①作品系統

 系統は「シン・エヴァゲリオン」のような憑き物落としの作品だと思います。

 ただ「シン・エヴァンゲリオン」は、かつて、ファンを突き放しておきながら、にわかに大円団がしたいとニコニコ顔で招き寄せたのに対し、本作は「20年待たせたんだから」と、てんこ盛りのファンサービスに終始していた点が大きく違いましたね。

 エンタテイナーとか置いといて、福田さんっていい人なんだろうなあ、と思いながら観ていました。

 

②福田己津央監督

 テレビシリーズ放映時は散々ぶっ叩かれた感のある方でしたが、本作では前述のファンサービスや、続き物にしないできっちり尺に収めてみせるなど、さすがの力量を見せてくれました。

 

③ライジングフリーダムガンダム

 アゴが灰色なのが斬新なような、メッセージを込めているような、そこだけロービジなのは不完全感あるなあ、と見ておりました。

 現代的にアップデートデザインした機体という匂いはしましたが、つま先がとがっているのがちょっと違和感ありました。

 連合でもザフトでもいいけど、キラの乗るガンダムなんでしょって。

 

④マイティーストライクフリーダムガンダム

 この機体はすごいです。

 何がすごいって「ロボットに日本刀を持たせる。どうだ、似合わないだろう」と言わんばかりに違和感バリバリなところです。 

 なんとなく抱いている「和物とロボット(機械)の相性は合う」なる幻想を打ち砕いていきなり現実に引き戻すような、唸る演出でした。

 ご丁寧に、合いの手はビームサーベルと左右チグハグで、これはもう似合うわけなく、わざとだろ!と。

 あと、腹部のスキュラにバッテンはちょっと正直すぎますね。ササビーの腹部ビームやダブルゼータガンダムのハイメガキャノンのように、形状が六角形だとカッコイイと思うのですが、楕円はちょっといただけないです。ゆえにバツと。

 

⑤アスラン・ザラ

 間違いなく本作の笑わせ役。

 「ヅラじゃない桂だ」とでも言い出しかねない勢いで、中身が銀魂の桂小太郎ではないかという吹っ切れぶりでした。

 劇中時系列で列記しますと…

 ○「やはりアスラン・ザラが最強か」

 ○いつ加勢するのかとヤキモキさせておいて、ズゴックで登場!

 ○ストライクフリーダムをさりげなく乗りこなす

 ○煽りセリフ「使えないな」

 ○ダメ押しの破廉恥攻撃

 そしてイモータルジャスティスガンダムには1ミリも触れない。

 肩ひじ張ったファンの緊張をほぐすような、いいキャラしてました。

 

⑥キラ・ヤマト

 アスランにボコられるシーンにはにやけてしまいました。「あの頃の2ちゃんじゃあるまいし、20年ぶりの憂さ晴らしかよ」と。

 時期を逸すると、もうギャグなんですね。

 

⑦シン・アスカ

 かつて「ガンダムは映像化されたものが公式である」なる文律がありましたが、これを意地悪く改変して「(テレビシリーズの)ガンダムは放映されたものが公式である」となんとなく思っています。

 リマスターやスペシャルエディションなどと称して色々いじってあるのはわかりますが「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」放映時におけるシン・アスカとキラ・ヤマトの関係はあのようではなかったと記憶していますので、本作のシン・アスカがキラ・ヤマトに尻尾を振るありようは、控えめに見ても「見なかったことにする」というのが精一杯でした。

 デスティニーガンダムはカッコよかったですが、旧世代機が最新鋭機を圧倒するなら、∀ガンダムくらい入念な設定が欲しい所です。

 

⑧デストロイガンダム

 敵役で民間人まで殺戮しているのに、主題歌「FREEDOM」の勇壮な前奏部分にマッチしていて闇深いです。

 ガンダムが大きなロボット兵器の話であるなら、デストロイガンダムが真の主役とも言えるので、そういう意味では主題歌とのマッチは考えさせられますね。

 また、現実世界において我々が見ることのできる「動くガンダム」はお台場のガンダムで、巨大な構造物のゆっくりとした動きに最も近いのがデストロイガンダムなのも唸らされます。現実世界のガンダムはスクリーンのどこに投影されているかという。

 プラモデル展開上の都合もあるのかもしれませんが、放映当時まんまの姿が懐かしいような、20年前のデザインも今のデザインもあまり変わらず、時が止まった作品世界を前に年を食って座っている自分が情けないような、ちょっと居心地が悪かったですね。

 

色々書きましたが、きれいさっぱり終わってくれてスカッとする作品でした。

おススメです。