防火・防災管理者講習を受けるため、前日から広島入りすることにした。
広島には、以前一緒に働いた同僚が住んでいたので、久しぶりに会ってランチをすることにした。
前回、仕事で広島を訪れたときに食べた府中焼きが非常に美味しく、今回は広島駅近くにある「府中焼き としのや」へ行こうと約束していた。
当日、広島駅のロータリーで待ち合わせたところ、彼は車で迎えに来てくれていた。
そのまま車に乗り込むと、同僚が一言、「おすすめの店があるから、そこへ行こう」と言った。
正直なところ、すでに口が「としのやの府中焼き」になっていたので、少し残念ではあった。
しかし、せっかくのおすすめなので、どんな店なのかと少し期待してしまった。
車を走らせて10分ほどだろうか――
到着したのは、まさかの「とんかつ 濱かつ」だった。
そもそも彼は食にあまり興味がないタイプで、どうやら濱かつが私の地元にもあることを知らなかったようだ。
まあ、濱かつ自体は好きで、よく行っていたので特に不満はなかった。
ただ、「なぜ広島まで来て…」という複雑な思いが正直なところだった。
食事のあと、どうしても訪れたかった平和記念公園と平和記念資料館へ向かった。
以前、広島原爆の被爆者であるお客様を担当したことがあり、その方から当時の話を伺ったことがあった。
語り口に臨場感があり、まるで映像が浮かぶような記憶が今も残っている。
その頃から一度は訪れてみたいと思っていたのだが、なかなか機会がなく、ようやく念願が叶った。
資料館は、日本人よりも外国人の来館者が多かった。
予想以上に展示内容が充実しており、予定よりも長い時間を費やすことになったが、それだけ価値のある時間だった。
資料館を出てすぐ、公園に立ち寄り、静かに祈りを捧げた。
日が傾き始めたので、少し休憩することにし、公園のすぐそばにあるカフェへ入った。
疲れていたせいか、メニューもあまり見ずにエスプレッソを注文した。
しかし、出てきたものを見て一瞬固まった。
普通のコーヒーカップに、底が見えるほどのごく少量。まさに“ちょびっと”だった。
せめてデミタスカップで出てきていれば、まだ気分も違ったかもしれないが…。
今になってメニューを見返すと、「エスプレッソ(40ml)」としっかり書かれていた。
確かに、自分の確認不足である。
